写真展PICK UP

GRの開発に携わってきた野口智弘、初の写真展

KKAG(東京・東神田)で4月14日から

GRの開発者として「ミスターGR」と言われるなど、さまざなメディアに登場する野口智弘氏による初の写真展が4月14日から開催される。開発者という立場から退いた後もGRのファンイベントでMCを努めたり、CP+2021 ONLINEでは森山大道さんにインタビューを行うなど、その活躍は止まることがない。

以前にデジタルカメラマガジンで取材をしたときに、彼が過去について語っているが、大学までは文化志向で小説や詩を書いて応募をしたことがあることを明かしているが、今回の作品群もそうした流れを汲むものなのかもしれない。

しかし、挨拶文を読むと肩の力を抜いたような文字が並ぶ。

「展示全体のテーマやコンセプトはありません。ステートメントで伝えたいメッセージも、これと言ってありません。テーマは後から浮かんでもいいし、浮かばなければそれでいいです。メインがないから、箸休めもありません。」

写真展のタイトルは「Slow Waltz」—終わらない序章の始まり—というサブタイトルが続く。ゆっくりとしたワルツの音色が聞こえてきそうな写真という意味なのかもしれない。もしくは主役となる写真は存在せずに、ある意味で抑揚のないスローなテンポな写真群ということを示しているのかもしれない。

「友達の部屋に入ると机の上に旅のスケッチが散らかっていた、そんな空間にしたいと思いました。写真を塊としてストーリーにまとめるのではなく、一枚の中に小さな物語がある写真が私は好きです。」

挨拶文はこのように続いていく。写真はある時間軸を閉じ込めて、1枚の画として記録する。しかし、野口氏の写真を見ていると、写真の中に存在する何かがゆっくりと動き出すような印象がある。海辺で寄り添うカップル、裏路地を歩く鳩、教会で話し合う二人の少女、湖畔の白鳥。どれもゆっくりと動いているのかも分からないぐらいのスローなテンポで、動き出すかのようだ。野口氏はそれを「Slow Waltz」と名付けたのかもしれない。

野口智弘写真展「Slow Waltz」

会場

Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery
東京都千代田区東神田1-2-11アガタ竹澤ビル405

開催期間

2021年4月14日(水)〜5月1日(土)

開催時間

15時00分〜21時00分
※4月23日(金)および5月1日(土)は18時まで

休廊

日曜日、月曜日、火曜日