イベントレポート

開発中の富士フイルム「GFX ETERNA」など、各社が動画向け新製品を出品

Inter BEE 2024(前編)カメラボディ/レンズ/フィルターメーカー編

Inter BEEは2024年に60周年を迎えた

プロ向け映像/音響機器の展示会「Inter BEE 2024」(国際放送機器展)が11月13日〜11月15日に幕張メッセで開催された。主催は電子情報技術産業協会(JEITA)。

前編ではカメラ、レンズ、フィルターを紹介する。後日掲載の後編ではそのほかの撮影アクセサリーを取り上げる。なお12月13日(金)までオンライン会場がオープンしている。

多くの来場者が詰めかけていた

開発中の動画カメラが公開(富士フイルム)

Inter BEEの会期直前に開発発表した映像製作用カメラ「FUJIFILM GFX ETERNA(エターナ)」のモックアップを展示していた。

「GFX100II」をベースに動画向けの仕様にしたカメラ。GFXシリーズの色再現性の良さなどから動画に適したカメラの要望があったという。2025年発売で、詳細な仕様は未定となっている。

マウントはGマウントでAFも可能。PLレンズ用のマウントアダプターをオプションで用意する。また、冷却ファンとNDフィルターを内蔵するとのことだった。

展示では同時に開発発表したズームレンズ「FUJINON CINE ZOOM GF LENS 32-90mm T3.5 PZ OIS WR」を装着していた。

ボディの両サイドに表示パネルやMENUボタンなどを備えているように見え、どちら側からでも設定などができるようだ。また、後部にはVマウントと見られるバッテリーインターフェースもあった。

発売前の「Z50II」が展示(ニコン)

12月13日(金)発売の新型ミラーレスカメラ「Z50II」を展示していた。動画の業界では昨今フルサイズミラーレス機が人気だが、DXフォーマットの本機も多くの人が手に取っていた。予約も大変好調とのこと。

開発発表のあった動画向け標準ズームレンズ「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」も展示されていた。FXフォーマットに対応し、パワーズーム機能を搭載している。

「Z9」用の開発中のファームウェアも見られた。シャッタースピードを映画撮影などで使われる「アングル」で表示できる機能が追加される。

2024年に子会社化したシネマカメラメーカー「RED」関連の展示もあった。N-Logで収録した素材に適用できるRED監修のLUTをニコンが公開しており、その紹介を行っていた。

外付けモニターでLUTの効果を確認できる

またRAWの動画素材にPCでREDのLUTを適用する体験コーナーもあった。REDのカメラと併用しても近いルックになるほか、ニコン機単体でも使い出がありそうだ。

ブースにはREDのカメラにニッコールレンズを付けた展示もあった

未発売レンズ4本が並ぶ(キヤノン)

11月から12月にかけて発売するRFマウントの新レンズ4本を展示していた。

「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」は大口径の望遠ズームレンズで、パワーズームアダプターで電動ズーム化できるのが特徴。ズーミングで全長が変わらない点も動画では使いやすそう。

「RF50mm F1.4 L VCM」は大口径の標準レンズ。動画でも滑らかなフォーカシングができるほか、同シリーズで外寸などを統一している。

「RF24mm F1.4 L VCM」も上記の50mmレンズと同じシリーズで、ジンバルなどでの使用を前提にサイズ感を揃えている。

「RF-S7.8mm F4 STM DUAL」は3D撮影用のレンズで今回唯一のAPS-C対応レンズとなる。従来魚眼タイプの3Dレンズをラインナップしていたが、本レンズは画角を狭くすることでコンパクトになっている。アップなどの近接撮影で特に臨場感のある映像が撮れるという。

カメラボディではフラッグシップモデルとなる「EOS R1」(11月29日発売)が発売前の製品として体験できたほか、8月発売の「EOS R5 Mark II」の姿もあった。いずれもケージに入れた動画撮影のスタイルで展示していた。

EOS R1
EOS R5 Mark II

ブースでは魚眼タイプの3Dレンズを使って、今年モンゴルで撮影されたVR映像も体験できた。カメラ3台を気球に吊り下げ360度撮影を行ったものだ。

実際の撮影に使われたセット
プロジェクトの概要

安価なAF対応ポートレートレンズ(SIRUI JAPAN)

国内初公開というフルサイズの大口径単焦点レンズ「Aurora 85mm F1.4」を展示していた。2025年初頭にEマウントを発売し、その後XとZマウントを順次投入する。

AF対応ながら他社よりも安価という10万円を切る価格を売りにする。また67mmという小さめのフィルター径で、重さも540gと比較的軽いほうとなる。

メーカーではフォーカススピードの速さもアピールしていた。絞りのクリックはスイッチでOFFにすることもできる。今後Auroraシリーズとしてラインナップを増やす計画とのこと。

フードを付けたところ

絞りの形状が変わるレンズ(E&Iクリエイション)

10月に発売されたSG-image(深光影像)の「50mm F1.8 ファントムレンズ」を展示していた。フルサイズ対応で、各社のマウントを用意する。

星形やハート型といった4種類の絞り板が内蔵されており、リングの回転で切り換えられる。玉ボケが絞りの形状になるのが特徴となっている。フォーカスはマニュアル。外装は金属製だ。

また、E&Iクリエイションが2025年1月からレンズブランドの「VILTROX」を取り扱うことが明らかになった。ブースには1,700万円という弩級のVILTROX製シネマレンズが展示され来場者の目を惹いていた。

広角レンズ対応のバリアブルNDフィルター(ケンコー・トキナー)

新型となる「Variable ND-W」を展示していた。広角レンズで発生しやすい画質のムラを抑えたという。レバーを搭載しているほか、側面に減光量のメモリを刻印した。

価格を抑えたバリアブルNDフィルター(マルミ)

10月に発売した「DHG SUPER BARIABLE ND」を展示していた。82mmで1万4,800円という国産としては求めやすいという価格が特徴。側面にはムラが目立ちやすくなる場所にマークを付けている。

カラーエフェクト用フィルター(ケンコープロフェショナルイメージング)

Formatt Hitechの「Vignette Filter」(ヴィニエット・フィルター)を参考展示していた。発売は未定。画面に色を付けることができるクリエイティブなフィルターで、ミュージックビデオやファッション動画などに向ける。

フィルターはSchott製ガラスと接着してあり、透明度と耐久性に優れるという。展示品はサンプルで、実際には4×5.65インチの角形フィルターとして提供される。顧客の要望に応じた色やパターンでの製作も可能とのこと。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。