イベントレポート

Thunderbolt 5対応のSSDや、ワンアクションで脚が伸びる三脚など

Inter BEE 2024(後編)三脚/ストレージ/照明・音響関連など

プロ向け映像/音響機器の展示会「Inter BEE 2024」(国際放送機器展)が11月13日(水)〜11月15日(金)にかけて幕張メッセで開催された。主催は電子情報技術産業協会(JEITA)。

後編では三脚、ストレージ、照明関連などのアイテムを紹介する。前編ではカメラ、レンズ、フィルターを取り上げている。なお12月13日までオンライン会場がオープンしている。

会場の様子

ワンアクションで脚が伸びる三脚(SmallRig)

動画用三脚「SmallRig×Potato Jet TRIBEX油圧式カーボン三脚キット」が展示されていた。10月に13万円で発売済み。

本体から出ているグリップを握ると、3本すべての脚のロックが解除される機構を搭載。三脚を持ち上げた状態でレバーを握ると脚が自重で落下し、レバーを離すとロックされるためセッティングが速い。レバーも折り畳んで収納できる。

また「All-In-Oneモバイルビデオキット(SmallRig×Brandon Li共同デザイン版)も11月発売の新製品。価格は4万2,000円ほど。

スマートフォン用の汎用リグシステムで、ケージが大きめに作られている。対応機種であればマグネットで装着できるほか、クランプでの固定も可能。グリップ部分にM.2 SSDを内蔵することもできる。67mm径のフィルターが装着可能。

迷彩柄の動画三脚(ジャパンブロードキャストソリューションズ)

カメラ用ケージで知られるTILTAの新型動画三脚「CT08」を展示していた。価格は17万円ほどで、発売済み。本体部分が迷彩柄という珍しいデザインを採用している。ダイヤルでのカウンターバランス調整など本格的な仕様となっている。

カラーは上記のスノーカモに加えて、グリーンベースの迷彩であるフォレストカモも用意する。

また、より小型の「VT05」も新モデルで価格は5万円ほど。トラベル向きの三脚だが、こちらも動画用の油圧式雲台を搭載している。

カウンターバランスをゼロにできる三脚(スリック)

ダイワブランドの「MODEL # FORSEITE 4.0」を2025年1月に発売する。価格は10万円ほど。小型カメラ用の三脚だが、カウンターバランス5段階のほかゼロにもでき、軽量なスマホなどでも反発なく使えるという。ドラッグ調整もパンとチルトで独立している。

より小型の「MODEL # FORSEITE 2.0」も4万円ほどでラインナップする。こちらはカウンターバランスが固定式となっている。

耐荷重10kgのミニ三脚(SIRUI JAPAN)

卓上三脚サイズで耐荷重10kgの三脚「AM-TT50」を7月に発売した。価格約7,400円。

脚を反転して小さく畳めるトラベルタイプで、エレベーターも備える。脚は1番下を捻ってロックするワンアクションのタイプとなっている。スマートフォンホルダーが付属する。

寒冷地用の自由雲台(レオフォト)

マイナス数十度という寒冷地でも使えるという自由雲台「HB-30」を展示していた。価格は未定だが、年内から2025年はじめに発売する。

ボール部分はもとより、下部の回転部分などもグリスを不使用としたことで低温環境でも動作するという。オーロラ撮影なども想定していることから、どの向きでも固定ノブと干渉せずにカメラが上方を向くように、切り欠きのあるパーツが回転する仕様となっている。

動画用雲台では従来の「FH-10」の上位モデルとなる「FH-20」が登場する。価格は未定で、年内から2025年初頭にかけての発売になる。カウンターバランスが15段階で、ゼロポジションもあるので軽量なカメラでも使用可能とのこと。

片手で伸縮できる一脚(浅沼商会)

IFOOTAGEの自立式三脚「COBRA3 STRIKE A150S III」が展示されていた。11月の発売で価格は6万6,000円ほど。片手でロックノブを握ることで脚の伸縮とロックが可能なのが特徴となっている。

またラウンドベースの一脚「RB-A400」の展示があった。価格は2万7,500円。ライトスタンドなどとして使用する。一般的なライトスタンドよりも壁に寄せて設置できるため、狭い場所で複数立てるといったことができるとのこと。

ワンロック式のハイポジション三脚(平和精機工業)

1本の脚を1カ所のレバーでロックできるリーベックブランドの三脚「QL40B」を12月に発売する。価格は8万7,000円ほど。ボール径75mmのダブルシャンク型三脚となる。

全高が181.9cmと高く、ハイポジションでの撮影が可能。耐荷重は35kg。各種雲台とのセットも用意する。

CFexpress 4.0 Type B対応の新製品など(Nextorage)

TLCを採用してコストを抑えたメモリーカードなどを展示していた。11月から12月にかけて発売する。「NX-B3AE」シリーズはCFexpress 4.0 Type BでVPG400規格にも対応する。

その下位モデル「NX-B3SE」シリーズはCFexpress 4.0 Type B対応だが、VPG400を非対応としたスタンダードモデルとなる。

新たにCFexpress 4.0に対応したType Aカード「NX-A2SEシリーズ」も登場する。

CFexpress Type A対応カードリーダー「NX-SA1PRO」も新モデル。インターフェースはUSB4となる。

またUHS-II対応のSDカードリーダー「NX-DF1CL」も発売する。デュアルスロットを備え、同時読み出しでも双方最大300MB/sの速度が出せるという。ライトプロテクトスイッチも備える。

ロック機能付きのSSDが参考展示されていた。2025年発売予定。暗号化されるため、紛失してもデータの流出を防げる。ブラウザでのパスワード入力やNFCカードでのロック解除に対応している。SSDの速度や寿命などの表示機能もある。

Thunderbolt 5対応の高速SSD(OWC)

まだ珍しいThunderbolt 5対応の外付けSSD「Envoy Ultra」を11月末に発売する。価格は4TBが9万8,990円、2TBが6万3,790円。

Thunderbolt 4やUSB 4の2倍の速度が出るとしており、最大転送速度は6,000MB/sという。デモではThunderbolt 5対応のMacBook Proで読込7,000MB/sオーバーの速度が出ていた。

高解像度データでの動画編集など速度が要求される分野に向ける。ケーブルは直付けとし、防塵、防水、耐衝撃性能を持たせた。筐体はアルミ製で、側面と底面にはリブが設けられている。

加えて「Thunderbolt 5 Hub」も12月に発売する。価格は未定。80Gbpsの双方向転送が可能なほか、ノートPCに140Wの電源供給ができる。

価格を抑えたMini LEDのディスプレイ(アイ・オー・データ機器)

Mini LED採用のクリエイター向け27型ディスプレイ「LCD-LDQ271JAB」が展示されていた。10月に発売済みで価格は6万4,900円ほど。Mini LED採用モデルとしては安価に設定したという。

バックライトにMini LEDを使うとローカルディミングが可能なため、コントラスト性能に優れる。Adobe RGBカバー率は98%。AHVAパネルで、ノングレア仕様となっている。

また、10月発売のスマートフォン向けの外付けSSD「SSMG-UWC」も出品。MagSafe対応で、付属のケーブルがフラットタイプで使いやすいという。価格は2TBが4万8,950円、1TBが2万7,610円。ProResファイルの記録にも適するとのこと。

空気で膨らむLEDライト(プロ機材ドットコム)

フルカラーエアチューブライト「APARO HT-12C」を9月に発売した。価格は1万1,000円。空気で膨らませることで拡散光のバーライトになる。空気を抜くとかさばらずに持ち運べるのが特徴。

ソフトな光で人物撮影にも向くという。背面がマグネットになっており、ライトスタンドなどに付けることもできる。

AfeftのLEDライト「SQ2」も新製品。バッテリー駆動などの機能を省き、250Wで2万7,500円と安価にした。室内でのストリーミングなどに向けたシンプルな灯体となっている。ボーエンズマウントアクセサリーが装着可能。

ワイドアングルのLEDライト(SAEDA)

PhottixのLEDライト「Nuada C6a」が展示してあった。12月に5万5,000円ほどで発売する。発光面が曲面になっており、小型だが240度と広く照射できるのがメリット。狭い場所でも多灯ライティングができるとのこと。出力は50Wでバイカラー方式。NP-Fバッテリーも使える。

小型のバッテリー対応LEDライト(ケンコープロフェショナルイメージング)

GODOXのLEDライト「ML60II Bi」にVマウント対応の「Kit2」が加わった。価格は3万8,300円。New GODOXマウント(AD300Proと同じマウント)のため、アクセサリーが共用できる。

「ML100 Bi」も新モデルで、100Wクラスとしては薄型の本体になっている。同梱のリフレクターを付け替えると照射角を変えられる機能を持っている。モバイルバッテリーホルダー付きとVマウントホルダー付きがあり、各4万4,800円となっている。

matthewsの新製品として「Apple BoxTopper」の展示があった。アップルボックス(箱馬)に被せるとイスになるというクッションで、1万2,000円。厚みが10cmあり座り心地は良かった。

持ち手を備えるほか、箱馬とはベルトで連結できる。側面にポケットもあり小物を入れられる。

ストロボメーカーから本格派LEDライト(プロフォト)

ストロボで有名なプロフォトとして初のLED専用ライト「L1600D」が2025年1月に発売される。価格は未定だが、海外では9,000ドルとなっている。

最大LED出力は1,520W。色温度はデイライト固定。電源部は内蔵タイプとなる。最大出力にはスタジオ用電源が必要で、家庭用コンセントの場合は出力が1,275Wになる。

プロフォトはストロボで独自のマウントを採用しているが、本機はLEDライトで標準になっているボーエンズマウントを採用した。変換アダプターも用意しており、多くの自社マウントのアクセサリーも使える。

変換アダプターを付けたところ

写真撮影でも定常光が使われるケースが増えていることなどから、LEDライトに参入した。今後バイカラータイプや小型のタイプなどラインナップを拡充させる。

本体を支える支柱で回転させると簡単に真上に向けられる

Flip Bounceに新サイズが追加(H&Y Filters Japan)

SMDVの「Flip Bounce」に、従来よりも小型の「28」と大型の「52」が加わり2025年春に追加される。価格は未定。

28サイズ

Flip Bounceは拡散面を下に設置することで天井バウンスのような効果が得られるストロボアクセサリー。これまで「44」サイズが販売されていた。28サイズは、狭い場所でも使いやすいのではないかとのこと。

28サイズ

中が見えるタフネスカードケース(VANLINKS)

新たに取り扱いを開始したケースブランドGUTEKのメモリーカードケース「T-MCC-1」が展示されていた。価格は3,000円ほど。

透明で中身が見えるほか、IP67や-50度の耐寒性能などを備える。水没しても水に浮く。SDカード、micorSDカード、CFexpress Type A/B、CFを収められる。

GUTEKは各種のハードケースも手がけている

煙入りのシャボン玉が作れる(アガイ商事)

新型の小型スモークマシン「SmokeNINJA PRO」のデモを行っていた。価格は3万6,850円。従来のSmokeNINJAに比べて、連続発煙時間が3倍になるなど性能を向上させた。

アクセサリーとして「バブルノズルキット」(1,980円)が用意される。煙入りのシャボン玉を作ることができ、撮影の演出に利用できる。割れたときに煙が出てくるのも面白い効果になる。比較的大きなシャボン玉も作れる。

32bitフロートのレコーダー(TASCAM)

XLR入力などに対応した音声レコーダー「FR-AV2」を展示していた。7万円ほどで10月に発売済み。最大2入力/2トラックの収録が可能。

タイムコードジェネレーターの搭載も特徴となる。本機からカメラに音声ケーブルでタイムコード信号を転送しておくことで、編集時の同機が容易になる。オプションのBluetoothアダプターを使うとワイヤレスヘッドホンでモニターできるようにもなった。

着るカメラリグ(三友)

機材を固定できるベスト「ZINKII」が展示されていた。2025年1月に9万8,000円で発売する。

これまでカメラ側のリグなどに装着していたバッテリーや外付けモニターをベストとして装着できるアクセサリー。カメラやジンバル側が軽量になり、腕などの負担が減るという。フレーミングも安定するとしている。

ロック付きのHDMIケーブル(エーディテクノ)

ロック機構付きの18Gbps対応HDMIケーブル「AHL」シリーズが関心を集めていた。9月に発売し、0.5〜100mの11種類をラインナップする。

コネクタ部分をスライドさせると2つの爪が出現し、ジャック側の穴に引っかかる独自の仕組みを採用。特許も取得しているという。固定用のクランプなどを使わずに抜け止めができる。

緑位置はロック解除
赤位置はロック状態

ブースでは2kgの重りを吊って展示されていたが、瞬間最大保持力は7kgとのこと。

ラジオ局とコラボしたヘッドホン(アツデン)

ラジオ局の「えふえむ花巻」(FMOne、78.7Mhz)と共同開発したヘッドホン「MH-787」を11月13日に発売する。価格は1万9,800円。人の声をしっかり再現する、長時間使っても疲れない、耐久性があるといった同局の要望を実現した。動画編集やライブ配信などにも向くという。

自社開発、生産の40mmドライバーを採用し、自然な定位感や聞き疲れしにくいチューニングも施した。ステレオミニプラグでケーブルは2.5m。

同局ではアツデン製のマイクで収録した音をオンエアする番組「アツデン至高の音を求めて」を放送していることからコラボレーションに繋がった。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。