イベントレポート

開催迫る!写真展に向けて作品を最終チェック…エプソン「EW-M973A3T」セミナー第3回

個性に合わせたレイアウトやフレーム選びを学ぶ

講師のコムロミホさん

弊社インプレスが運営する写真SNS「GANREF」において「注目製品レビュー エプソン EW-M973A3T vol.2」が開催中だ。

事前に選ばれたGANREFメンバー6名が、プリントを通してその魅力を発信する企画となっている。すでにメンバーによるレビュー記事が掲載されつつあるので、EW-M973A3Tに興味のある方はご覧になっていただきたい。

エプソン EW-M973A3T 注目製品レビュー vol.2

ここでは、セミナーの3回目として開催された「アドバイス&展示作品提出」の模様をお伝えする。セミナーの講師は写真家のコムロミホさん。会場は東京都中央区日本橋小伝馬町のアイアイエーギャラリー。本セミナーの最終ゴールとなる終了展の会場でもある。

本セミナーは4回に分けておこなわれる。

1)使いこなしセミナー (7月31日)
2)アドバイス&展示作品検討 (8月11日)
3)アドバイス&展示作品提出 (8月21日)
4)ギャラリー講評会 (9月4日)

この日は、今回の企画で目標としている終了展のための作品が各自から提出された。その上で写真の並べ方や額、マットの選定を行った。後半は、コムロさんから今後の作品作りに役立つプリント用紙の紹介があった。

セミナーが行われたアイアイエーギャラリー。終了展の会場でもある

写真展では並べ方が大切

まず各メンバーがA3サイズ4枚からなる展示用作品を提出。メンバー一人一人が改めて作品の意図などをプレゼンした。それを受けてコムロさんが様々なアドバイスを行った。

最初に作品の並びを検討した。大きくは、4枚を横一列に並べるか田の字型に並べるかだ。それを決めたら各写真の配置を考える。今回はほぼ全部の作品が組み写真的に関連のあるものだったので、そのストーリーが重要になる。

コムロさんはまず作品の並びを決めた。この作品では田の字型をチョイス

インパクト強い写真を一番前に持ってくるのも手だが、逆にインパクトの弱い順に並べていくという方法もあるとのこと。コムロさんとメンバーがディスカッションして、ストーリーが上手く伝わるように検討を重ねた。

ストーリー性の強い作品は作者と共に並び方を熟慮した

横一列の場合、左から右に向かってストーリーが展開するように並べるのが基本だそうだ。まさに起承転結というイメージで並べていく。

一方で、あまりストーリーのない作品もある。そうした場合は、敢えて似たものを離しておくといった変化のある並びにするもの良いとのことだった。

フレームやマットの選定も写真展ならでは

つづいてフレーム(写真額)の色を選んだ。枠の色としては黒と銀が用意されており、黒は全体的に締まった印象に、銀は明るくさわやかな印象になる。実際に額の上に写真を置いてみて、合っている方を選択していった。今回はほとんどの作品で黒が合っていたとのことで、黒を選ぶ参加者が多数を占めた。

フレームの枠の色も重要。黒と銀、どちらが良いかを検討中

次にマットの種類とサイズを考えるわけだが、その前に余白の大きさを決めておく。作品の印象に大きく影響するからだ。

コムロさんによると、余白を多めにとって広がり感を出したり、逆に余白を無くして印象を締めるのもあり。基本的には、5mmほどの余白にすると適度な緊張感が生まれて良いとのことで、参考にしたい数値だ。

余白を計算してマットの窓サイズを決めていく
マットは見本を当てつつ検討する

加えてマットには色や厚みという要素もある。やはり作品の雰囲気に合う色を選ぶことが重要とのことで、セミナーでは実際のプリント作品にギャラリーが用意してくれたサンプルを組み合わせて印象を確認していった。

ちなみによく使われるマットの色は乳白色。多くの作品に合うという。黒のマットは重厚な作品に適しているそうだ。

重厚な作品には黒のマットもありとのこと

「”紙沼"にハマって欲しい」とコムロさん

後半はエプソン純正紙以外のプリント用紙の紹介があった。様々な用紙で多彩な表現ができるのもインクジェットプリンターの利点。「様々な紙にプリントできるのは本当に楽しいこと。ぜひ"紙沼"にハマって欲しい」とコムロさんが話すと、どのメンバーも興味津々で解説に聞き入っていた。

各用紙のプリントサンプルを実際に見せてくれた

紹介された用紙は、どれもフォトグラファーの上田晃司さんとコムロさんが運営する「MONO GRAPHY Camera & Art」で販売しているものだ。MONO GRAPHYで扱っている用紙は国内外6メーカーの計50種類ほど。どれも1枚から購入できる。

ということで終了展の作品制作とは別に、好きな用紙でプリントした結果をGANREFのレビューに投稿していく予定だ。

コムロさんによると、SIHLの「メタリックパール ハイグロスフォトペーパー290」はパールのような輝きがありアーティスティックな仕上がりになる。このメーカーは高品質な割りに安価なのが特徴とのこと。

また、ピクトリコの「シャイニーゴールド」と「シャイニーブルー」のように見る角度によって色が変わるという面白い用紙もある。

以上は光沢や半光沢系だが、マット紙のほうはテクスチャーを重視して選ぶのがひとつのポイントになるという。

ハーネミューレの「ウィリアム ターナー」はマット紙の中でもテクスチャーの粒子が大きく、展示に向くとのことだ。

マット紙でもピクトリコの「GEKKO レッドラベルプラス」のようにインクのある部分に光沢が生まれるといったタイプもある。

和紙も人気のあるジャンルだ。アワガミファクトリーの「椿 厚口 生成」は少し色の付いた和紙で独特の雰囲気が出せてお勧めとのことだった。

和紙へのプリントは難しいイメージもあるが、コムロさんによると手差し給紙を使うことで簡単にプリントできるそうだ。

なお、非純正紙をプリントする際も純正のプリントプロファイルが使えるとのこと。光沢紙系ならクリスピアのプロファイルを適用するなどでほぼ問題無くプリントできるそうで、試して欲しいと説明していた。

次回はいよいよ終了展開催!

最終回となる次回は、8月30日から開催される終了展の会場で、総まとめとなる講評・反省会が行われる。いよいよ終了展という完成形が現れ、そのなかで自分の作品がどう見え、評価されるのか? メンバーも待ちに待った時といえそうだ。

終了展は8月30日~9月4日にかけて開催。クローズ後に講評会が行われたので、その模様を次回のレポートでお伝えしたい。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。