イベントレポート
エプソン「EW-M973A3T」で写真展に挑戦!コムロミホさんがGANREFメンバーに作品プリントを指南
プリントすることで見えてくるものとは?
2022年8月17日 07:00
弊社インプレスが運営する写真SNS「GANREF」において「注目製品レビュー エプソン EW-M973A3T vol.2」が開催中だ。
事前に選ばれたGANREFメンバー6名が、プリントを通してその魅力を発信する企画。好評だった昨年のvol.1に続いて今回第2弾の開催が決まった。メンバーには実機が貸し出され、GANREFページにおいて本セミナーでの課題の結果や使用した感想などを投稿する。
今回は写真展のための作品をプリントするのが目標で、セミナーを重ねたのち実際に写真展を開催する。
すでに今回のレビュー記事が投稿されているので、EW-M973A3Tに興味のある方はご覧になっていただきたい。
ここでは、同企画の一環として開催されたオンラインセミナーの模様をお伝えする。
セミナーの講師は写真家のコムロミホさん。街スナップをライフワークにしており、旅先での作品の数々は人気が高い。YouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」「カメラのコムロ」でも活躍中だ。
本セミナーは4回に分けておこなわれる。
1)使いこなしセミナー (7月31日)
2)アドバイス&展示作品検討 (8月11日)
3)アドバイス&展示作品提出 (8月21日)
4)ギャラリー講評会 (9月4日)
1回目のセミナーでは、EW-M973A3Tの特徴や使いこなしと写真展に向けた説明があった。
普段使いもできる写真向けプリンター
EW-M973A3Tは、A3ノビサイズ対応で写真作品のプリントに適するインクジェットプリンターだ。
顔料と染料の2種類のブラックインク(マットブラック・フォトブラック)にカラー4色(CMY+グレー)を加えた6色インク「ClearChrome K2 Plus インク」を採用しているのが特徴。ハイレベルな作品を生み出しているGANREFメンバーも大注目のプリンターだ。
エコタンクを搭載することでランニングコストに優れるのもポイント。さらにスキャンおよびコピー機能を搭載した複合機型となっており、ビジネスやファミリーといった普段使いでも便利な1台となっている。
セミナーに先立って参加メンバーからは、
「これまでプリントの機会が少なかったので、これを機に本格的にプリントしたい」
「写真展を経験しているが、手元で思い通りにプリントできる環境を作りたい」
「顔料プリンターは知っているが、染料プリンターが気になるので実力をチェックしたい」
といった声が寄せられていた。
写真上達の秘訣はプリントにあり!
今回のセミナーは、最終的に写真展での展示を目標にしたものとなっている。メンバー全員がグループ展として、1週間の展示を行う。そのため、参加者も良い作品を作ろうとコムロさんの講義に真剣に耳を傾けていた。
コムロさんからはまず、写真上達の秘訣が披露された。
1つは「たくさん撮る」。
これで被写体の見つけ方や撮り方など、どう表現するかをしっかりと考えられるようになるそうだ。
そしてもう1つが、「プリントをする」。
コムロさんは良い写真が撮れたらアーカイブとしてプリントしておき、同じ場所で次に撮る際などに見て今度はどう撮るかを考えるようにしているとのこと。日頃からプリントすることを大切にしているそうだ。
また、写真のセレクトでもプリントが役立つ。同じ場所で何枚か撮影した中から一番良いものを選ぶ際もプリントして眺めるとうまく選べるという。
一例として、このシーンでは立っている男性が主題だが、プリントすると右側のトラックが目立ってしまうことが分かったそうだ。
そのためにトラックが写っていない別のカットを選ぶことができた。
「このように、プリントすることで見えてくるものがあるんです」(コムロさん)。
また、失敗したと思った写真もプリントしてみると意外と良かったなどという場合もあるとのこと。
コムロさんは、その場で写真を消すことはせず、全て保存しておくそうだ。これもプリントによる新たな発見と言えそうだ。
そのほか、カラーにするかモノクロにするかと迷った場合も一度プリントしてみると選びやすい。
「紙によるトーンもあるので、写真はプリントしてみないと分からない。写真は撮ってからさらに面白い世界が待っている。今回それを体験して欲しい。プリントの作品を通して写真への向き合い方が変わってくると思います」(コムロさん)。
参加者全員で写真展を開催
続いてグループ展に向けた進め方の説明があった。
今回は1名当たり、A3サイズ4枚を展示する。
一般的なグループ展では全体のテーマを決めることが多いが、今回は展示までの期間が短いことから全体のテーマは決めず、各自が自分のテーマを掘り下げて作品作りをおこなう。
展示する4枚は組写真にする必要があるため、メンバーの参考になるようにコムロさんは自身が過去におこなった写真展の内容を説明した。
例えばプラハでは飼い犬が多いことから犬と人をテーマにしたほか、空がきれいな場所では空の表情が海に映る点に着目して「空に染まる」というテーマで作品をまとめたそうだ。
写真のセレクトは難しいが、コツとしてはPCでセレクトする際に絞りすぎないようにする事が大切という。これは、良い写真が抜けてしまうのを防ぐためだ。
コムロさんはPCでの粗選びの後に2Lサイズにプリントしてセレクトを進めていくそうだ。
プリンター本体で簡単に作品プリント
今回使用するEW-M973A3Tは染料インクの機種で、コムロさんによると発色がクリアで鮮やかな上、光沢感が得やすいそうだ。
特に純正光沢紙の「写真用紙クリスピア<高光沢>」を使うと染料機ならではの光沢感が活かせて風景写真に向いているとのこと。
また、プリンターを選ぶ際はグレーのインクを搭載しているかが重要なポイントなる。グレーインクが無いとカラーインクを混ぜてグレーを作るため色転びがおきやすい。
EW-M973A3Tはグレーインクを搭載している上、フォトブラックインクとマットブラックインク(顔料)が自動で切り替わるシステムなので、モノクロ作品もニュートラルで豊かなトーンにプリントできる。
ところでプリントの方法は様々だが、SDカードをプリンターに直差してのプリントは簡単ということでコムロさんもお勧めしていた。
PC側のキャリブレーションが行われていない場合でもきれいにプリントできるという。プリンター本体で余白の設定もでき、明るさやコントラストも調整できる。
さらに、「一覧印刷」では中央の元データに対して明るさとコントラストを変えるなどしたパターンが並ぶので、気に入ったものを簡単に選べる。これだと「PCで補正してプリントする」という繰り返し作業が不要なのがメリットだ。
こうした一覧印刷では1枚の写真が大きくなるのでA3ノビ対応のEW-M973A3Tは使い勝手が良い。
PCからのプリントであれば、色々なソフトからのプリントが考えられるが、「Epson Print Layout」を使用するのが良いそうだ。ディスプレイのキャリブレーションをしておけば、プレビューとほぼ同じ見た目でプリントできるとのこと。
写真展での額装を想定し、マットの仕組みやそれに適したプリント方法も伝授された。
Epson Print Layoutでは、マットの窓開きサイズよりも5mmプラスした数字を入れるとでちょうど良い余白のプリントになるそうだ。
用紙選びもこだわりたい
コムロさんは「紙を選ぶ沼にハマって欲しい」と言うほどで、プリント用紙によって表現の幅が広がることを強調していた。
基本的なプリント用紙の種類は3つで、光沢紙、半光沢紙、マット紙となる。光沢紙は鮮やかで白色度が高い。
半光沢紙は若干の輝きがあり、落ち着いた雰囲気になる。紙はやや青みがある。
マット紙は落ち着きのあるプリントができる。暗部が浮いたり発色が悪い場合があるが、純正の「Velvet Fine Art Paper」は暗部の締まりと発色の良さがあるとのこと。テクスチャーもあるので立体感が生まれる。また、白色度も高く、元の色を壊さずに表現できるとした。
なお、セレクトには2Lの「写真用紙<絹目調>」を勧めていた。適度な輝きがあって、光沢紙とマット紙の両方の仕上がりを想像しやすいという。また、指紋や傷が付きにくく、セレクト作業に向いているそうだ。