イベントレポート
エコタンク搭載A3ノビ複合機 エプソン「EW-M973A3T」にGANREFメンバーが挑戦!使いこなしのポイントは?
写真家 長瀬正太さんによる第1回セミナーの模様をレポート
2021年8月19日 07:00
弊社インプレスが運営する写真SNS「GANREF」において「注目製品レビュー エプソン EW-M973A3T」が開催中だ。
選ばれたGANREFメンバー6名に実機が貸し出され、プリントを通してその魅力を発信する企画となっている。参加メンバーは期間中、GANREFページにおいて本セミナーでの課題の結果や使用した感想などをレビューとして綴ってゆく。
この記事を執筆している時点で、既に多数のレビュー記事が掲載されているので、EW-M973A3Tに興味のある方はご覧になっていただきたい。
ここでは、同企画の一環として開催されたオンラインセミナーの模様をお伝えする。
セミナーの講師は写真家の長瀬正太さん。情緒豊かな風景写真や心温まる草花のマクロ写真で人気を集めているほか、セミナー講師としても多くの実績がある。
本セミナーは3回に分けておこなわれる。
1)使いこなしセミナー (8月1日)
2)アドバイス&講評会[1] (8月9日)
3)アドバイス&講評会[2] (8月22日)
8月1日に実施された1回目のセミナーでは、EW-M973A3Tの特徴や使いこなしについて長瀬さんから説明があった。
コピーもできるA3ノビ対応写真プリンター
EW-M973A3Tは、A3ノビサイズ対応で写真作品のプリントに適するインクジェットプリンター。写真向けだが、スキャンおよびコピー機能を搭載した複合機型となっており、ビジネスやファミリーといった一般向けとしても導入しやすいモデルとなっている。
また、同社のColorioやプロセレクションと異なり、エコタンクを採用。ランニングコストにも優れるのも特徴となっている。エコタンクとはいえ、顔料と染料の2種類のブラックインク(マットブラック・フォトブラック)にカラー4色(CMY+グレー)を加えた6色インク「ClearChrome K2 Plus インク」を採用。写真プリントに詳しいGANREFメンバーに興味を抱かせるに十分なスペックだ。
セミナーに先立って参加メンバーからは、「長く使っているプリンターの買い換えを検討しており、EW-M973A3Tを候補として考えているので詳しく知りたい」や、「最新のプリンターの進化や実力を確認したい」といった声が聞かれた。
用紙の違いを知ることも大切
講師の長瀬さんは自らを”プリントマニア”というほどで、写真プリントには特にこだわりを持っている。実際、個展も数多くおこなってきたという。
そんな長瀬さんはEW-M973A3Tを「使いやすさが特徴。スキャン、コピー機能もありながら、今まで使った同クラスの中でも小さい。画質面では階調がかなり出ているのが良い」と評した。使い勝手の面では、液晶パネルの角度が変えられるのが見やすくて気に入っているそうだ。
また、エコタンクについても「インクの減りが従来よりも少ない印象で、コスパが高い」と語った。
プリントの楽しみの1つが、プリントする用紙によって表現が変わることである。そのため、今回の企画ではEW-M973A3Tともに3種類の用紙をレビュワーの自宅に送り、試してもらうことになっている。
1つは「写真用紙クリスピア<高光沢>」。長瀬さんによると、周りのものが映り込むのが弱点だが、黒が凄く締まるのがメリットで、カラーはもちろんモノクロとの相性も良いとのこと。
続いては「写真用紙<絹目調>」。「私自身よく使う用紙。写り込みが少なく、光を柔らかく反射するので使いやすい」そうだ。
最後は「Velvet Fine Art Paper」。塗料を塗った水彩画のようなイメージになるそうで、どんな写真でも適するそう。反射は無いものの、黒は締まりにくいという。
良い作品作りには、目的に合ったプリンターと用紙の特徴を把握しておくことが重要だそうだ。「プリントの質感、そしてプリントしたからこその観賞を楽しんで欲しい。今回の企画では3種類の用紙の違いを大いに楽しんでもらえるでしょう」(長瀬さん)。
写真家ならではの使いこなしを披露
使いこなしの面では、ディスプレイとプリントの違いを理解することが重要だとした。前者は光の三原色、後者は色の三原色で表されるため、色を一致させることは難しいことを前提にしておく必要があるという。
「ディスプレイの脇にプリント置いて比較するのは良くない。色が合うはずが無いんです。プリントはそれを飾る環境でどう見えるかを優先して色を決める必要があります。そのため、ディスプレイと比べて違いを感覚的に捉えられるようにしておくと良いです。そういうふうに色を把握しておくと、色調整が楽になります」(長瀬さん)。
また、エプソンが用意しているプリントソフト「Epson Print Layout」(以下Print Layout)の紹介もあった。
例えばAdobe Lightroom Classic CC(以下Lightroom)である程度レタッチした写真をPrint Layoutに書き出す事で、プリントが一層しやすくなるとのこと。
手順としては、まず書き出された写真をPrint Layoutでそのままプリントして結果を確認。その結果をもとにLightroomやPrint Layoutで色や明るさを補正しているそうだ。Print Layoutはモノクロの設定も細かくできるそうで、「ぜひ使って見て欲しい」と長瀬さんは言う。
なお、プリントする際は、その時の設定値をまめにメモしておくのが上達への近道だとのこと。
長瀬さんは今回初めてPrint Layoutのモノクロ設定でウォーム調やクール調の機能を試したそうだが、「新しい表現の幅が見えてきました。こういうのを探るのは予想外の発見があります」という感想を持ったそうだ。メーカーによる設定を無視する人は一定数いるが、自分の表現の幅を広げる意味でも、こうした機能を試してみる価値はあるだろう。
EW-M973A3Tにおける給紙に関するワンポイントアドバイスもあった。背面から厚紙の手差しをする際はプリンターの横からやらず、真後ろから入れると紙が曲がらずにうまくいくとのこと。そのために本体を回転できるスペースを確保しておくのがポイントだそうだ。
なお、本機はスマートデバイスからWi-Fiでプリントできる「スマートリンク」機能を搭載している。長瀬さんは、「スマホには眠っている良い写真が結構あるものです。スマホで撮ることの多い人物の写真をプリントするのもよいですね」と紹介した。自身では、スマホで撮影した両親の写真をプリントしてプレゼントしたりしているという。スキャンも可能なので、家族写真など昔のプリントを引き伸ばすことにも使っているとのことだ。
課題で用紙の違いをチェック
長瀬さんの解説をGANREFメンバーが熱心に聴講したところで、次回の講評会に向けての課題が発表された。
1つは、 同じ写真を3種類の用紙でプリントしてその違いを確認して発表する ということ。
もう1つは、 どの写真をどの用紙にすると良いかを検討し、その理由を発表する というもの。
これらの課題をこなすことで、プリンターと用紙の特徴をしっかり把握することができそうだ。
次回の講評会[1]についてもレポートしたい。
制作協力:エプソン販売株式会社