イベントレポート
LUMIX S5で動画のRAW収録をするには? 専門家がパナソニックでセミナーを開催
2021年10月26日 07:00
パナソニックが東京・青山で5月にオープンした「LUMIX BASE TOKYO」。当初からLUMIXシリーズの単なるショールームにとどまらず、クリエイター向けの施策を打ち出す拠点である点をアピールしていたが、その一環として10月8日に「S5 × BRAW を体験、LUMIXで出来るRAW動画制作フロー講座(実践編)」と題されたセミナーがおこなわれた。
このセミナーは、動画のRAWデータ出力が可能なミラーレスカメラ「LUMIX S5」(以下S5)に、Blackmagic Designの「Blackmagic Video Assist 12G HDR」(以下Video Assist)をHDMI 2.0で接続、Video Assist側でRAWデータを記録する流れを体験するものだ。さらにそのデータを各自が持参、もしくはその場でレンタルとなったノートPCで編集、動画におけるRAWデータの有用性を実感できる内容になっている。
講師は映像制作企業ガイプロモーション代表の照山明さん。S5のユーザーでもあり、動画編集ソフト「DaVinci Resolve Studio」についての情報なども発信している。
セミナーに参加したのはやはり本職の映像クリエイターが多く、自前のS5やVideo Assistを持ち込む参加者もいた。
なおノートPCを持参できない参加者には、協賛企業のマウスコンピューターから「DAIV 5N」(15.6型WQHDノングレア)が貸し出された。インテル Core i7-10870H プロセッサー、GeForce RTX 3060 laptop GPU、メモリ32GB、M.2 SSD 512GB(NVMe)などで構成された強力な機材だ。
セミナーはS5とVideo Assistの設定方法から始まった。S5におけるVideo AssistでのRAW記録は、7月のアップデートで可能になった。コーデックはBlackmagic RAW(以下BRAW)であり、それによりDaVinci Resolveでのスムーズな編集がおこなえるようになる。また、S5の内部収録(H.264)やProRess422などよりもデータ容量が少なくすむメリットもある。
ただしS5で外部記録をおこなうとフォトスタイルはV-Logに限られる。照山さんはS5の「V-Logビューアシスト」をONにして、Video AssistのLUT設定で「V-Log to V-709」を選択、LUT適用をONにする方法を説明していた。これでBRAWにLUTを埋め込める。
設定を終えたら実際にモデルを撮影する。このとき標準的な露出や色温度で撮ったものに加えて、露出オーバーや色温度を大きくシフトさせたクリップも撮影した。
撮影後はDaVinci Resolveでそれらを補正。ホワイトバランスや露出の補正に自由が効き、カラー補正やグレーディングについても扱いやすくなるといった、RAWデータが持つメリットを体感していた。V-Logガンマ、V-GamutといったV-Logに関する知見も活用し、BRAWをS5やDaVinci Resolveで活用するためのテクニックを深めていく。
最後に質疑応答があり、3時間のセミナーは終了した。
LUMIX BASE TOKYOは、前身となるLUMIX GINZA TOKYOから大きくスペースを広げている。坂本維賢マネージャーはその理由のひとつとして、今回のようなセミナーに力を入れることを挙げている。が、コロナ禍によりその目的は棚上げとなり、本セミナーも本来は8月におこなわれるはずだった。10月に全国での緊急事態宣言が終了したことを受け、感染対策をしたうえでセミナーなど集客を伴うイベントにもいよいよ本腰を入れていくという。
また、LUMIX BASE TOKYOにはパナソニック以外の機材が数多く展示されており、さまざまな立場のクリエイターが気軽に体験できるようになっている。マウスコンピューターのデスクトップPCもそのひとつで、その高性能ぶりに驚くクリエイターが多いとのこと。編集作業を日常的におこなうクリエイターだからこそわかる、高いパフォーマンスが受けているそうだ。