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パナソニックに聞いた「LUMIX S5」一問一答(その1)
S1シリーズとの関係性や違い、SDダブルスロットの理由など
2020年9月4日 18:26
パナソニックが9月25日に発売するミラーレスカメラ「LUMIX S5」の気になる点について、メーカーからの公式回答をお届けする。今回は商品コンセプトや静止画関連の話題を中心としており、動画関連については追って(その2)でお伝えする予定だ。
コンセプトと位置づけ
——LUMIX S5のコンセプトを教えてください。
S5は小型・軽量ボディに、静止画・動画両面においてS1シリーズの高い性能を搭載したモデルであり、静止画や動画を駆使し自らの作品表現に拘るアマチュアからプロの方々まで、幅広いクリエイターをターゲットとしています。小型ボディだからといって性能を落としているわけではなく、小型ボディにS1シリーズの高い性能をバランス良く搭載しているモデルですので、幅広いユーザーの皆さまにご使用いただければと考えています。
——S1の下位モデルという認識で合っていますか?
ご認識いただいている通り、S1の下位モデルとして考えています。
——2,420万画素とのことで、センサーやエンジンはS1シリーズと共通ですか?
センサーはS1と同じ、画像処理エンジンはS1シリーズと同じ最新世代のものになります。
——S1シリーズとの大きな違いはどこですか?
まず今回のS5は、小型・軽量ボディの実現を目指して開発をスタートしました。また単に小型・軽量化するだけではなく、S1シリーズで評価頂いている高い性能をバランス良く搭載するということを意識しました。
その中で、バッテリーは容量を少し落として小型のものを新開発、またマウント周りもシャッターユニットや手ブレ補正機構など、小型・軽量化に向けて新開発しました。シャッターはS1シリーズと同じ1/8,000秒を実現していますが、フラッシュ同調速度(S1シリーズ:1/320秒, S5:1/250秒)の仕様に表れているように、S1シリーズのシャッターはより高い精度を実現しているものになります。
またS5ではボディの小型・軽量化を実現するため、手ブレ補正機構を新開発しております。ただし手ブレ補正の制御方法はS1シリーズと同じであり、ボディ内手ブレ補正で5段、レンズ内手ブレ補正との連動による制御となるDual I.S.2では最大6.5段を実現しています。S1シリーズはボディ内手ブレ補正が6段、Dual I.S.2で最大7段です。
このようにS1シリーズと比較すると性能面で差がありますが、これでもS5のシャッター性能や手ブレ補正性能については、高い性能を実現できていると考えています。
またS1Hとは動画の記録時間制限で差がありますが、S5でも4K60p 30分や、4K30p 8bitであれば時間制限なし(温度制限あり)など、しっかりと安心して撮影いただける仕様になっています。
——本体サイズはどのぐらい小さいですか?
S1比で体積が約25%ダウンしています。
S1:148.9×110×96.7mm
S5:132.6×97.1×81.9mm
——小型化しましたが、ボディの素材など構造は変わっていますか?
ボディ素材は、S1シリーズと同じく、衝撃に強く軽量なマグネシウム合金フレームを採用しています。
また独自の熱シミュレーションの活用や、S1HやGH5などでこれまで培ってきた放熱技術や省電力化技術をさらに進化させることにより、小型化と高い性能の両立を実現しています。
——SDダブルスロットとした背景は何ですか?
まず撮影データの管理の面で、安心して撮影いただくためには、順次(リレー)記録やバックアップ(サイマル)記録、振り分け記録が可能となるダブルカードスロットは必須だと考えました。その中でボディの小型化を優先し、SDカードのダブルスロットを採用しました。
——S1HもSDでしたが、CFexpressとどのような使い分けがありますか?
メディアの種類については、機種の特性に最適なものを選択しています。S1やS1Rでは次世代の高速カードであるCFexpressに対応しましたが、これは静止画用途でのRAW連写ユースを想定した結果です。特にS1Rについては47Mと高画素のため、連写時には有用だと考えています。
一方、映像制作をメインターゲットとしているS1Hでは動画用途が中心となりますが、S1Hに搭載している動画記録の最大ビットレートは400Mbpsであり、これはSDカードのビデオスピードクラスであればV60で記録することが可能です。そのためS1HではSDカードを選択しました。S5は静止画・動画両面で使用されることを考えておりますが、ボディの小型化を優先し、SDカードを選択しています。
——ショールーム等での展示はいつから始まりますか?
9月3日以降、LUMIX GINZA TOKYO、LUMIX OSAKAで展示しています。
展示情報(パナソニックWebサイト)
LUMIX GINZA TOKYO:新製品LUMIX S5 展示のご案内
LUMIX OSAKA:LUMIX S5 タッチ&トライ ~発売前のフルサイズミラーレス一眼 LUMIX S5 を試してみよう~
静止画撮影機能について
——ライブビューコンポジットとはどのような機能ですか?
LUMIXではマイクロフォーサーズ機のG99で初搭載した機能になりますが、大変好評いただいおり、今回初めてSシリーズに展開した機能です。
“比較明合成”というとお分かりになる方もおられると思いますが、複数枚を撮影しながら明るく変化した部分のみを合成する機能になりますので、バルブ撮影では全体が明るくなりすぎるようなシーンでも、明るい街並みを背景に、星などの美しい光跡を記録することが可能になります。また“ライブビュー”という名の通り、仕上がり具合を確認しながら撮影できるのが特徴であり、意図した通りの撮影が可能になります。
——96Mハイレゾモードの進化点を教えてください。
ハイレゾモードについては、LUMIXとしてはマイクロフォーサーズ機のG9で初搭載し、それをS1シリーズにも展開する中で、非常に好評いただいている機能の1つです。
従来から、動き補正に対応するモードを搭載するなどハイレゾモードについてはユーザーの声を聞きながら進化させてきていますが、今回のS5では、S1シリーズではRAWのみでの撮影だったのに加え、JPEG撮影やカメラ内RAW現像に対応しました。また、長秒撮影のご要望も多く頂いておりましたので、従来は最小1秒だったところを8秒まで対応するなど進化させています。
——HLGフォトを楽しむにはどうすればよいですか?
HLGフォトは、人間の見た目に近い自然な輝度階調と色彩で記録することが出来るモードで、HDR対応のテレビやモニターで鑑賞いただくことで、高ダイナミックレンジの自然な描写をお楽しみいただけます。
——追加予定のフォトスタイル「L.モノクロームS」「L.クラシックネオ」とはどのようなものですか?
現時点では、まだ詳細をお伝えすることは出来ませんが、これまでL.モノクロームやL.モノクロームDなど、LUMIX独自の絵作り・表現力が可能になるフォトスタイルに対し、高い評価をいただいておりました。今回、そこにL.モノクロームSを追加するとともに、カラーの表現においても独自の表現力が可能になるL.クラシックネオを追加していきたいと考えています。
——AF機能の進化点について教えてください。
AFについては、まずは認識AFの性能向上に取組みました。従来の“顔・瞳認識”やディープラーニング技術を活用した“人体認識”・“動物認識”に、今回新たにディープラーニングが“頭部認識”にも対応、さらに処理の高速化により、人物の捕捉力・検出力・追従性など人を捉える精度を大幅に向上させました。
またAFC時においても、新たなアルゴリズムとDFDの進化や認識処理の高速化により、背景抜けしにくく、被写体が小さい場合でもしっかりと捉えるなど、性能を向上させています。動画時のAFにつきましても、新たなアルゴリズムと認識処理の高速化により、撮影者が意図した被写体を捉え続けることが可能となっております。
——AF追従性の従来比とは、どの機種と比べてですか?
S1シリーズ(S1、S1R、S1H)と比較してになります。
——既存のS1シリーズに対するアップデート提供はありますか?
今回のS5でのAF機能進化の内容については、S1シリーズに対してもファームアップによりしっかりと反映させていきたいと考えており、2020年内のファームウェア公開を予定しています。