イベントレポート

ドローンレーサーも納得の飛行体験 DJI FPVがひらく空撮映像とは

体験会でデモフライトを披露してくれたドローンレーサーの、えりんぬさん

DJIの高速飛行対応ドローン「DJI FPV」のフライトデモが、去る3月22日、株式会社セキド(DJI正規販売代理店)の主催で開催された。同機最大の特徴でもある最高時速140kmによる飛行デモとともに、その模様をお伝えしていきたい。

DJI FPVのスペックをおさらい

冒頭でも記しているとおり、本機の最高飛行速度は時速140kmとなっている。4月15日に発表された同社の小型ドローン「DJI Air 2S」の最高飛行速度が時速68.4km(秒速19m)であることを考えると、別次元の速度であることがわかる。DJI自身、同機を「新たな飛行体験を実現するFPVデバイス」と紹介しているわけだが、文字どおりMavicシリーズとは全く異なるラインに属する製品として位置づけられているわけだ。ちなみに、一般向けフラッフシップモデル「Phantom 4 Pro V2.0」の最高飛行速度は時速72km。DJIが展開している民生用ドローンでは最速飛行が可能なモデルということになる。

ボディの形状デザインは航空力学に基づいて設計したとしており、高速飛行時の耐風性能や、推進力の維持に配慮したものとなっている。カメラ部は有効画素数12MPの1/2.3型CMOSセンサーを搭載。チルト方向に対応する単軸のスタビライザー機構に加え、機体の傾き具合に応じて電子式のロール軸補正が利用できる。映像の最大記録解像度は4K 60pで、最大120Mbpsによる記録が可能。記録フォーマットはMP4とMOV形式が選択できる。

プロペラ非装着状態の機体サイズは178×232×127mm

プロペラは3枚羽根形状を採用。ジンバルカメラやランディングギア、トップシェルなどにモジュラー設計を導入することで、特別な知識がなくても手軽に飛行状態まで組み立てることが可能となっている。この状態でのサイズは255×312×127mm。重量は約795gで、手のひらサイズながらしっかりとした密度感が感じられる。

前面および底面側にはセンサー類が集中している。高速飛行への対応に加えて、安全飛行への配慮も本機の魅力。障害物検知に加え、緊急ブレーキやホバリング待機機能といった機能がハイレベルな飛行性能を下支えしている、というわけだ。

機体前方に向いているのが前方センサー。その下に下方センサーが配されている。機体底面に寄り気味で配置されているのがToFと底部補助ライトだ

プロのドローンレーサーがデモを披露

当日はプロのドローンレーサーである、えりんぬ(ドローンレーサーチームRABBITS-FPV代表)さんがデモフライトを担当。フライトの披露にあたり、レース用ドローンと本機の違いを、ピックアップして紹介してくれた。

スライドの内容は以下のとおり。まず第一の特徴としてあげているのが飛行時間だが、本機の飛行可能時間は約20分(無風の状態で時速40kmで飛行した場合)。この時間は撮影に行って帰ってくるのに十分な時間だと、えりんぬさんは指摘する。

またレース用は当然ながらピーキーな仕様となるわけだが、DJI FPVでは誰でも気軽に飛ばせることがコンセプトになっているとおり、飛行安全性にも配慮されている。仮に信号がロストしてしまった場合もRTH(Return to Home)機能が働くため、機体を損失してしまうリスクが抑えられている点も嬉しいポイントだと続ける。Care Refreshサービスとは、DJIが提供している保守サービスのことだ。

レース用DJI FPV
飛行時間が短い飛行時間が長い
操縦が難しい簡単操縦
1から組立 要組立済み
修理が難しい
アフターサービスはほぼ無し
一部パーツは簡単に交換可能
Care Refreshサービスも有り
信号ロスト=墜落信号ロストの場合RTH発動

デモ飛行映像

えりんぬさん操縦によるフライトデモ映像の一部を提供してもらうことができた。映像は、DJI FPVが捉えたもの。中央部の旗に向かって侵入する際などに、同機の最高速度である140km付近で飛行しているとのことだ。また、1回転する様子などダイナミックな飛行も確認できる。

DJI FPVフライトデモ(その1)
DJI FPVフライトデモ(その2)

デモフライトを終えた、えりんぬさんにレース用ドローンとの体感上の違いを尋ねたところ、意外な答えがかえってきた。飛行の感触は、ほぼレース用と変わらないというのだ。「飛行感度を変えられるので機体の俊敏さも自由にカスタマイズできます。そのため、ゆっくり飛ばしたい場合など、自分の求める機体制御具合に調整することもできるんです。」と話すえりんぬさん。この調整幅があるために、レース仕様に調整したり、海岸をゆったりと撮影したりといった飛行具合にもできると続ける。

また、飛行の安全性にも充分以上の機能を備えているとして「FPVに壁を感じていた人にこそ使ってみてほしい」機体だと続ける。従来、FPV飛行に対応する機体ではアマチュア無線免許を保持していることや、電子工作への習熟、操作設定などのプログラミングへの知識が求められるなど、敷居が高く感じられる側面があったが、本機は、そうした壁をとりはらう存在でもあると続ける。

高速飛行を楽しむコツを尋ねると、高速飛行への移行はスロットルとピッチを同時に入れる必要があり、またカメラ角の位置によっても調整が入るため、これらの関係をしっかりと理解することが秘訣だと教えてくれた。

フライトの様子

操縦は専用のHMDを使用

本機の操縦ではゴーグル形状のディスプレイ「DJI FPV Goggles V2」を使用する。コントローラーにはパッドタイプとスティックタイプの2種類が用意されているが、当日は製品に標準でセットされているパッドタイプが使用された。

操縦を実演中のえりんぬさん

DJI FPV Goggles V2は、操縦者が見ている映像を別ユニットで共有できる「オーディエンスモード」に対応している。当日も参加者用のディスプレイが用意され、操縦者と同じ映像を確認することができた。筆者も体験させてもらったところ、視界は良好。ステータス状態なども表示され、機体状況が把握しやすいと感じた。ただし、視度補正には対応していないとのことで、メガネ着用者の場合はコンタクトレンズなどを使用したほうが、より没入感の高い使用感が得られるだろう。

なお、ゴーグル形状のディスプレイを装着しての飛行操縦時には目視外飛行となるため、国土交通省への届け出が必要となる。本機操縦時の注意点のひとつだ。

目視外飛行とは

高い没入感が得られるシステムだが、国内ではゴーグルを使用したFPV(First Person View)飛行をおこなう場合、航空法の定める「承認が必要となる飛行の方法」中の「目視外飛行」に該当することになる。そのため、飛行時には国土交通省への承認申請が必要となる点で注意が必要となっている。

2種類の操作系

コントロールパッドは、多ボタンタイプながらシンプルでわかりやすいインターフェースとなっている。飛行モードやホバリング操作は左手側のトリガーに集中。右手側は、映像記録系となっている。

また、手首のかえしといった直感的な操作に対応するモーションコントローラーも用意されている。これを使用する場面は見られなかったものの、すっきりとしたデザインで、未来感のある本機とのマッチングは素直に魅力的だと感じる。セキドのスタッフによれば、やはり慣れは必要とのことで、自身も同機に搭載されている仮想飛行体験アプリ「DJI Virtual Flight」で練習を積んでいるとのことだった。

本誌:宮澤孝周