イベントレポート
Nikon Zが使えるポートレート撮影会が開催 瞳AFの実力は?
デジタルカメラマガジンDAYレポート
2019年8月30日 07:00
インプレスの月刊誌「デジタルカメラマガジン」のファンイベント「デジタルカメラマガジンDAY」が8月3日、東京で行われた。ニコンのフルサイズミラーレスカメラ「Z 7」および「Z 6」を使用し、新たに搭載された「瞳AF」を体感するという内容だ。
講師は写真家の河野英喜さん。数多くの雑誌の表紙や、芸能人の撮影を担当しているポートレート撮影の第一人者だ。
河野さんはすでに実際にNikon Z 6と瞳AFを撮影現場に導入しており、その性能と利便性を自身の手で確認してから今回のイベントに来てくれた。当サイトでもいちはやく瞳AFについてのレビューをお願いしている。
参加者は抽選で選ばれた20名。普段からポートレートを撮り慣れている参加者が多いのはともかく、驚いたことに約半数がニコン以外のカメラユーザー。Nikon Zを試してみたいという理由からの参加だ。
瞳AFをメリットとは?
まずは河野さんによる撮影講座だ。撮影した写真が雑誌の表紙に使われる際の裏話や、ポートレート撮影における基本的なテクニックなどを、実際の写真も用いて話してくれた。
そしてもちろん、「瞳AF」の説明も。現場での使用感とともに、その利点を話してくれた。
「瞳AFを作動させて人物の顔を捉えると、自動的に瞳にフォーカスポイントが合った上で矢印が表示されます。このとき、カメラが顔の2つの瞳を両方認識しているので、どちらの瞳に合わせるかを選択することができます」
「ポートレート撮影では、迷っている暇もなければためらう時間もありません。モデルがカメラに対して集中力を持って撮影を続けるためには、撮影者はリズムを損なうことなく撮っていく必要があります。そういった意味で瞳AFが実用的か否かを見ていました。私も実際の現場で使用してみたところ、ストレスなく快適に撮影できました」
「また、マウントアダプターFTZを使用してNIKKOR Fレンズを装着した状態でも、NIKKOR Zレンズと遜色なく、同じ精度、同じ速度で瞳AFを使うことができます。ポートレートに向いている中望遠のNIKKOR Fレンズが問題なく使用できるのです」
その他、河野さんが普段Nikon Zで設定しているiメニューが紹介された。Nikon Zではiメニューをカスタマイズすることができるため、よく変更する機能をiメニューに集めておくと、いちいちメニューに入って探すより効率が良い。状況に合わせてすばやく設定を変更するそうだ。
撮影前にはツイートタイム。参加者は吹き出しを持ったモデル3名を撮影、イベントについてSNSに投稿していた。
和気あいあいとした撮影会
時折ユーモアも交えながら進められた座学も30分ほどで終了。いよいよ瞳AFを使った撮影に入る。
参加者は3つのグループに分かれ、ストロボが設置された暗めの室内、洋室、屋外の3つのシチュエーションでそれぞれ撮影を進めていった。
レンズも最新の「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」はもとより、「AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G」「AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED」といったNIKKOR Fレンズもチョイス可能。マウントアダプターFTZを介してポートレート撮影を体験する趣向だ。
筆者もひとつのグループに入れてもらい、Nikon Zの瞳AFを体験してみた。
瞳AFの認識速度は申し分ない。モデルがこちらに目線を向けていないときにも試してみたが、目線の有無にかかわらず瞳を認識してしっかりとピントを合わせている。これは実際に動作している様子を見ていただくのが一番わかりやすいだろう。
背景が明るい状況、暗い状況、被写体が動いているときなど、さまざまなシチュエーションで試してみたが、どれも問題なく動作。シャッターボタンを半押しする前、どこにもピントが合っておらず画面全体が大きくボケている状況から瞳を認識しはじめ、フォーカスポイントが表示されるのは驚きだった。
参加者の声は?
参加者のKaerukeroさん(@nbkah)が瞳AFを使ってみての感想を語ってくれた。
「食い付きが非常によく、安心して撮れます。ほかのメーカーの瞳AFも使ったことがありますが、同程度かそれ以上の性能だと思います」
また関岡龍太さんは、瞳AFが自動でピントを合わせてくれるおかげで「構図に集中できる」という。
「自動でピントが合ってくれるので、その分構図や露出に集中できるので非常に助かります。カメラ任せにできるのは非常に楽ですし、普段は子どもを撮ることも多いので、その時にも助けてくれそうです」
ポートレート撮影では、単純な撮影テクニック以外に、モデルとコミュニケーションをとってリズムよく撮影を進めていく必要がある。カメラの設定ばかりに気をとられるわけにはいかないのだ。
参加者の一人である飯田誠さんは、瞳AFよって撮影者が気にかけるべき事項が減ることで、そういったコミュニケーションも円滑にできると実感しているようだった。
「機能的なことを言えば、一眼レフカメラだとフォーカスポイントが中央にあるので、目にピントを合わせてからカメラを動かす必要がありましたが、Zではその手間がありません。その分心の余裕が生まれて、モデルとのコミュニケーションは取りやすくなったと思います」
屋代大介さんが驚いていたのは、ピント精度の高さだ。
「Nikon Z 6を持っているのですが、瞳AFは初めて使いました。被写界深度が薄いAF-S NIKKOR 105mm f/1.4E EDでもばっちりピントが合っていて、ほぼ外していなかったことに驚いています。正直もっと不安定なものだと思っていましたが、これだけ使えると思わなかったです」
瞳AFの実力を確かめながら午前と午後の撮影を終了。最後は各々がその日のベストカットを選定、A3にプリントして河野さんの講評を受けた。瞳にしっかりピントがあっているのはもちろん、作品として多彩な内容が出揃った。
ニコンユーザーであっても、そうでなくても参加者それぞれが楽しめた今回のイベント。筆者も含め、瞳AFの性能を知る絶好のタイミングとなったはずだ。
提供:株式会社ニコンイメージングジャパン