イベントレポート

鈴木さや香さんに教えてもらう撮影とプリントの魅力…「はじめてプリントを楽しむワークショップ with Canon PIXUS XK80 セミナー・体験会」

11月23日、兵庫県神戸市のメリケン波止場にあるmeriken gallery&cafeで、女性限定の「はじめてプリントを楽しむワークショップ with Canon PIXUS XK80 セミナー・体験会」が開催されました。

今回のワークショップで教えていただいたのは、写真家の鈴木さや香さん。映像演出の葉方丹さんや写真家の山岸伸さんに師事したのちに独立して、広告写真の世界へ。鎌倉市観光協会のWebサイトで街フォトエッセイ「かまくらかたおもい」も連載中です。他にも自ら撮影した写真を使った封筒づくりを行うなど、写真プリントの楽しさを熟知したスペシャリストでもあります。

講師の鈴木さや香さん。

そして、今回のセミナーに集まったのは写真やプリント、カメラに興味がある女性ユーザーたち。プリントを通じて写真を学び、発見する時間を共有しました。

参加者には1人1台ずつキヤノンのミラーレスカメラ「EOS Kiss M」が貸し出され、会場周辺の波止場や街を散策しながらスナップ撮影を楽しみました。プリントでは、同じく1人1台ずつ用意されたプリンター、キヤノン「PIXUS XK80」を使用してスマートフォン経由でのプリントを体験しました。

プリンターは、プレミアム6色ハイブリッドインクを搭載したインクジェットプリンター「PIXUS XK80」です。2018年9月6日に発売されたばかりのモデルです。

ランニングコストも抑えられており、キヤノンのアプリ「Easy-PhotoPrint Editor」を使うとWi-Fi接続でスマホから写真が簡単にプリントできるため、これまでのワークショップでもプリンタービギナーから「簡単でいい」と高い評価を得ています。プリントスピードもL判を14秒で出せるなど、ストレスを感じさせません。鈴木さんも「ランニングコストがよく、上位機種に引けを取らない性能を持っている」と太鼓判を押す1台です。

6種類の用紙から自分の好きなものを選ぶ!

ワークショップは午前と午後2回で、それぞれ1時間弱の座学、撮影、プリント体験および講評という構成でした。

参加者は事前にスマートフォンアプリをインストールした状態で参加してもらっています。必要なアプリは2つ。カメラをスマートフォンにつないで撮影した写真を取り込むための「Camera Connect」と、スマートフォンから直接プリンターに接続し印刷できる「Easy-PhotoPrint Editor」を準備してもらいます。今回も撮影したスナップ写真を一旦スマートフォンに転送し、PIXUS XK80からプリントする方法をとりました。

実は今回のセミナーの目的のひとつは、写真をプリント用紙ありきで考えてもらうこと。そのため、質感やサイズが違う6種類の用紙が用意されました。ここから自分の気に入った紙を1種類選んで、仕上がりをイメージしながら被写体を選んで撮影、その後プリントに挑戦する……という流れです。

鈴木さんはあえて用紙の名称を使わず、


    「真四角の紙」
    「つるつるの紙」
    「ザラザラの紙」
    「きらきらの紙」
    「生成り(きなり)の紙」
    「マットな紙」

とそれぞれを紹介。あくまでも質感や色で用紙を選んでもらうためです。

セミナーで使用した資料より(鈴木さや香さん制作)

それぞれの用紙の正式名称はこちら。


    「真四角の紙」=キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド スクエア 127mm
    「つるつるの紙」=キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード](A4サイズ)
    「ザラザラの紙」=キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター (A4サイズ)
    「きらきらの紙」=ピクトラン局紙(ポストカードサイズ)
    「生成り(きなり)の紙」=アワガミ楮(薄口)生成(A4サイズ)
    「マットな紙」=キヤノン写真用紙・マットフォトぺーパー(A4サイズ)

プリントする枚数は最低6枚で、1カットを異なる用紙にプリントしてもOK。最終的に6枚の写真を参加者同士でシェアし、鈴木さんに講評してもらいます。講評は他の参加者の作品も含めて自分の好きなプリントを1枚選んで、それについてコメントするというスタイル。“選ぶのは自分の作品じゃなくてもいい”という、珍しいスタイルでした。

写真と用紙の相性も大事

「10年後の自分に伝えるために 魅力的な写真を作り出そうというのが今回の隠れテーマ」という鈴木さん。スナップ撮影に先だってスライドを使って鈴木流のスナップ写真の撮り方や楽しみ方、上達方法を解説しました。

冒頭から「写真は撮るだけでは上達していきません。撮る・選ぶ・まとめるの3ステップが大切です。特に『選ぶ』と『まとめる』がすごく重要」と力説する鈴木さん。そのためにプリントが大いに役立つといいます。

また、人の感覚は、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の順で強まりますが、写真は視覚のみ。一番弱い状態でしか人に伝えることができないため、どうやってみていいのかわからないことも。選んでプリントすることで、視覚のみだった写真に「触覚」をプラスすることができるのだそうです。そのとき、写真にあった紙を使うことで、その写真のさらなる魅力が引き出せると語りました。

セミナーで使用した資料より(鈴木さや香さん制作)

確かにふんわりした写真は、ツルツルテカテカした紙よりも、和紙のようなテクスチャがあったほうが、ふんわり感が出せそうです。逆に輝きを表現したいときは、光沢感のある用紙のほうが、より光を表現できそうです。

最後に「今日はプリントのワークショップ。どんな写真を撮りたいかを見つけることが大事です。今日は6種類の紙がありますが、自分が一番好きな紙を選んで、それに合う写真を撮ってみましょう! 難しいときは自分の身近なものに置き換えるとイメージしやすいです。たとえばお菓子。光沢紙はプリンの表面、マット系はモナカっぽいとか」とのアドバイスがありました。

そして、いよいよスナップの実習です。快晴の空の下、参加者と筆者は街へと連れ出されました。

手探りでプリントを楽しむ

このセミナーでは好きな用紙を選び、その用紙にあった被写体を探す必要がありました。写真の用紙といえば「絹目」か「光沢」しか知らない自分にとって、6種類もある用紙を目の前に並べられてびっくり。

色々考えたのですが、用紙はマット系を使用することにしました。被写体については、鈴木さんの作品を見た瞬間、まねしてみたいと思ったもの……これまで撮ったことがない「ガラスの写り込み」……を積極的に活用してみようと決めました。

ガラスの写り込みとマットな用紙が表現として合うのかどうかはまったく想像できませんでしたが、そのまま撮影へ。

幸い光に恵まれこともあり、幻想的な世界が作り出せたように思います。写真の出来はさておき、自分なりに新しいチャレンジができて満足です。

いよいよプリントタイムに突入

撮影が終わると教室に戻って、EOS Kiss MおよびPIXUS XK80を各自のスマートフォンと接続するための準備作業を行いました。

カメラとスマートフォンの接続は、カメラ本体側面のボタンを押すと表示されるガイドに従って進めていくだけで問題なく完了。1度設定すれば、2回目からは簡単にWi-Fi接続できるようになります。あとは専用アプリの「Camera Connect」を使ってスマートフォン側に撮影したスナップ画像を転送していきます。

Camera Connect

スマートフォンとPIXUS XK80の接続も、プリンタの設定から確認できるSSIDとパスワードを使ってWi-Fi接続設定するだけなので、Wi-Fiの設定をしたことがある方なら抵抗なくできるでしょう。

最後にプリント用のアプリ「Easy-PhotoPrint Editor」を起動して、Wi-Fi接続したプリンタをアプリ側にも登録しておけば準備完了です。

Easy-PhotoPrint Editor

バリエーション豊かな作品が並んだ講評タイム

プリントが終わると講評タイムです。プリントする用紙によって、同じ写真でも印象がまるで違うというのが丸わかりのひとときとなりました。同じ場所で撮影しながら視点が違うというのは毎回驚かされる点ですが、今回は選ぶ用紙によっても印象が異なっており、バリエーション豊かな作品が並ぶこととなりました。

鈴木さんは、参加者が選んだ写真に1枚ずつ丁寧にその良さなどをコメントするとともに、

「ラスターはレイヤーが生きてくる」
「彩度の低いカラーはラスターがいいかも」
「これは紙と写真があっていますね」
「青いトーンの写真はさわやかだが緊迫感もある。そこに生成りを入れると日常感が出ます」
「水のツヤ感はマットでは出ませんね」
「ツルツルの紙を選んだことで波のよさが出ています」
「光沢はリアル感がありますね」
「和紙は黒が穏やかに落ちます」

など、作品と用紙の関係についても逐次アドバイスをしていました。

筆者の写真は午前の部、午後の部ともに参加者から選んでいただくことができました。仕事とはいえ場数を踏んだ者として、ちょっとホッとしました。

筆者の作品(午前の部)
筆者の作品(午後の部)

プリントすることで、被写体探しの感度も鍛えられる

ワークショップの最後に、鈴木さん自身のプリントが好きな理由について説明がありました。それは「撮る瞬間は心の衝動やタイミングなどが優先されてしまうため、あとで自分の感覚を再現できないから」というもの。あとからセレクトとプリントを繰り返しながら、自分が「なぜそれがいいと思ったのか」を分析し続けることで、自分の中の「いい」の引き出しを増やせるようになるのだそうです。

「写真を撮ったらプリントしてみてください。用紙の選び方で写真が大きく変わりますし、分析したほうがより好きなモノを手に入れられると思います。そうすると、いつでも“なんかいいな”を探せるようになります」(鈴木さん)

これは何を撮っていいのかわからないといつも悩む筆者のようなタイプには、とても貴重なアドバイスとなりました。

参加者のコメント

井坂まきよさん

この教室(本イベントの会場、波止場の写真学校)のビギナークラスに最近通い始めたのが縁で参加しました。最初は戸惑いもありましたが、撮影で先生にアドバイスいただいているうちにどんどん楽しくなっていきました。どうやって撮ったらいいのかがわかり、自分の中ではすごく実りがありました。

大きさも形も違う用紙を前にどうしたらいいのかわからなかったのですが……テカテカしてるものより、マットな方が好きなので、黄色い和紙のタイプを選びました。プリントして比べてるうちに、用紙によって見え方が違うということが体感できました。

写真は撮るだけじゃなくて、プリントしないと客観視できないですね。自宅にプリンタがないので、購入を検討しようかなって本気で思っています。

津久井あゆみさん

ネットで流れてきた広告を見て、気軽な気持ちで参加しました。ちゃんとついていけるか心配だったんですが、撮っている間も先生が気さくに話しかけてくださって楽しかったです。

普段からミラーレスカメラを使っていますが、プリントするのは人に配るときとか、集合写真とかくらい。自分の作品としてプリントすることはなかったので勉強になりました。プリントしてみることで「こういう風になるんだ」と気づきがあったのは面白かったです。スマホ経由のプリントも結構簡単でした。

家でのプリントってあまりいいイメージなかったのですが、意外ときれいにできるんですね。もう少しプリントの機会を増やし、いろいろな用紙にチャレンジしてみたいです。

土江綾

カメラを触ったのは今日が初めてです。「敷居が高いところに来てしまった」と最初は戸惑ったのですが、結果的に楽しめました。最初にカメラの機能の意味を説明してくださったのが勉強になりました。

写真をプリントしたのも初めて。プリンターといえばコピー用紙くらいしか使ったことがなかったのですが、同じ写真を違う用紙でプリントしたら、こんなにも質感や印象が変わるものかと驚きました。

スマホからのプリントもとても楽で、スムーズにできました。プリンターにはケーブルをたくさん繋がないといけないイメージがあって、しまいっぱなしなんです(苦笑)。今はこんな風に使いやすいのがあるんですね。

堀絵美子さん

カメラは使っていますが、あまりプリントする機会がありませんでした。撮りためているだけだったので、今回この講座を知って参加してみました。

撮りに行く前の段階で、用紙ついて意識して撮るのは新鮮でした。私が使いたかった用紙は、あまりツルツルしていないマット系の用紙です。暗めのマットな感じが自分は好きかも、と思ったのです。「自分はこういうものが好きなんだ」という傾向はわかっているのですが、プリントしたことでそのことを再確認できました。プリントされるまでの間、わくわくしながら待っているのが楽しかったです。

八尾夏子さん

カメラや写真は好きですが、実はそれほど詳しくありません。旅行にも持っていかず、結局スマホで撮っていたので、一度こういう講座受けてみたいと思っていました。

プリントしてみると写真の雰囲気が変わるんですね。感想としてはっきりした違いをまだ語れないのですが、プリントを続けていくうちに、徐々に理解していけるような気がします。プリント速度も速いし、欲しくなりました。

他の人の作品を見れたのも収穫です。「こういうを写真撮りたいな」という作品が色々ありました。先生にもたくさんアドバイスいただいたので、また神戸に撮りにこようかと思っています。

芝文美さん

もともとここの学校(波止場の写真学校)に通っていて、展示にも2回出したことがあります。それもあり、プリントの重要性は感じていました。普段はDPE店でプリントしていますが、いずれは自分でプリンターを所有したい気持ちはあります。

PIXUS XK80はプリントが速いし画質も綺麗。スマホの画像をプリントできるのも便利ですね。私はパソコンを持ってないので、スマホだけでここまでできるのには驚きました。

これまで用紙の違いまでは深く考えたことがありませんでした。今日は「自分はこういう用紙が好きなのかも」という意識を持てるようになりました。これを機会に用紙のことも勉強したいと思います。

すずまり