イベントレポート

プロ向けイベント「Photo EDGE Tokyo 2018」PC編

RAW現像やヘビーワーク向け製品が展示

プロのフォト・ビデオグラファーを対象とした展示・セミナーイベント「Photo EDGE Tokyo 2018」が10月24日、都内で開催された。

2016年より開催されているイベントで、今回が3回目の開催となる。フォトキナ2018で展示・紹介された機材や、発売間近の機材をいちはやく試用できるということもあり、大勢の来場者で賑わった。

本ページでは、PC系各社の展示内容から主なものを紹介していきたい。

マウスコンピューター

株式会社マウスコンピューターからは、クリエイター向けPCのDAIVシリーズよりデスクトップタイプとノートタイプが展示されていた。

製品は映像・ビジュアル利用に特化したモデル。デスクトップタイプは、CPUに第8世代のインテルCore i7-8700を搭載。GPUはGeForce GTX1070Tiを採用、32GB DDR4メモリーを積む。ストレージに、4TBのHDDとOptaneメモリー32GBを組み合わせる構成。

ノートタイプは、CPUに同じく第8世代のインテルCore i7-8750Hを搭載。16GBのDDR4メモリーとGPUにNVIDIA GeForce GTX1070を組みあわせる。ストレージは512GBのSSDと1TBのHDDで構成する。ディスプレイには4K、Adobe RGB対応パネルを搭載する。液晶パネルのサイズは17インチ。同社iiyamaのディスプレイの色域測定を利用したチェックを行なっているとのこと。

個人利用がメインではあるものの、外で映像などのチェックをする必要がある法人利用なども視野に展開しているとのことだ。

TSUKUMO

TSUKUMOブランドを展開する株式会社Project Whiteは、3つのモデルを展示していた。

まず、目に飛びこんでくるのは21:9の横長画面が特徴的な、LGのウルトラワイドモニター「34WK95U-W」だ。展示当日に発表されたモデルで、この会場がいち早く実機を確認できる場となる。

DCI-P3の色域を98%カバー、表示色数は約10.7億色を実現しているモデル。Thunderbolt3接続に対応する。

横に長い画面サイズの利点として、サムネイルの多数同時表示やタイムライン編集でのメリットを訴求していた。

次に写真家の中原一雄さんが監修したRAW現像向けのデスクトップPC。プロセッサーにインテルCore i7-8700を搭載、NVIDIA GeForce GTX 1050Tiや、16GB DDR4メモリー、SSDストレージで構成されたスタンダードモデルだ。

ノートタイプの展示もあった。Adobe RGB比99%対応の15.6型液晶パネルを搭載しており、CPUにはインテルCore i7-8750Hを採用。GPUにNVIDIA GeForce GTX 1070、16GBのメモリーと、NVMe M.2接続のインテル「SSD 760p」シリーズを搭載するなど、デスクトップ機と遜色のないスペックとなっている。

実際の運用に近いイメージで展示しているとのことで、サブモニターと組み合わたせた提案をしていた。

パソコン工房

株式会社ユニットコムが展開するパソコン工房は「SENSE∞」シリーズを展示。デスクトップ2機、ノートタイプ2機、計4台の布陣で展開していた。

デスクトップタイプは、インテルの第9世代CPU「Core i9-9900K」を採用。GPUはNVIDIA GeForce GTX1050Tiを組み合わせる。メモリーは、16GBのDDR4。ストレージは、256GBのM.2 SSDおよび1TBのHDDとインテルOptaneメモリー32GBのセットで構成。

参考出品ではあるものの、インテルのOptane SSDを搭載モデルも展示していた。

ノートタイプは、15インチと17インチのモデルを展示。CPUは両モデルともに、インテルCore i7-8750H。GPUは、15インチモデルではNVIDIA GeForce GTX 1060を搭載。17インチはオンボードを利用する。

メモリーは16GBのDDR4、ストレージには256GBのM.2 SSDとHDD 1TBで共通していた。

Optaneメモリー採用の意図は、大ファイルの連続した読み書きを繰り返してもSSDのような速度劣化がない高い耐久性に利点があるためだという。

また、同社ではAdobe PhotoshopやLightroomの運用検証も行なっており、体感速度に影響するストレージ性能とCPUのクロック数を強化したラインナップとしたという。

サードウェーブ

ドスパラなどのPCショップを展開する株式会社サードウェーブは「raytrek」ブランドのデスクトップタイプを展示していた。

展示機は、エントリーモデル「LC-M」と高性能モデルの「LC-PLUS P2」の2機種。

LC-Mは、CPUにインテルCore i7-8700を搭載。メモリーは16GB DDR4、ストレージにインテル「SSD 545s」シリーズの512GBと1TBのHDDで構成。GPUは、NVIDIAのQuadro P620 2GBを組み合わせている。

エントリーモデルに位置付けられるLC-Mについては、SSDの良さを体験してほしいと同社。Quadroの安定感や高い信頼性をエントリーモデルから使用できる点もポイントだ。

LC-PLUS P2は、CPUにインテル Core i7-7820Xを搭載。32GBのDDR4メモリーと、GPUにNVIDIA Quadro P2000 5GBを組み合わせる。

SSDはインテルのOptane SSD 480GBが載る。マザーボード上のPCIeに直挿しするタイプのSSDで、速度面の優位性が高い組み合わせとなっている。

エプソンダイレクト

エプソンダイレクト株式会社は、Endeaverシリーズよりクリエイター特化型のデスクトップタイプ「Endeavor MR4800E」と「Endeavor Pro5900」を展示していた。

「Endeavor MR4800E」はRAW現像・レタッチ作業向け、「Endeavor Pro5900」は動画編集向けのモデル。

MR4800Eはスリムタイプの筐体を採用。設置スペースが小さくても使用できる。他社の多くはミドルタワー型の比較的大型の筐体を採用しているが、スペックに妥協はない。

CPUはインテルCore i7 8700Kクラスを搭載。6コア12スレッドタイプの搭載にも対応可能だとしている。

メモリーは16GBから。ストレージはSSDを採用しており、RAID 1で組む。RAIDでストレージを組む意図はデータ保護が目的だが、外部ストレージへのデータ退避などの煩わしいバックアップ作業を軽減する目的もあるのだとか。

GPUはNVIDIA GeForce GTX 1050 Tiを搭載する。10bit出力を見越した構成とのことだ。

Adobe PhotoshopやLightroomの動作検証も実施。展示機ではワコムのペンタブレットとの組み合わせも紹介していた。

同社では、このPCを含めたクリエイターPCの貸し出しプログラムを実施している。法人限定のプログラムだが、1カ月の間、実機を借りて実際にRAW現像の速度などを検証できる。申し込みの期限は11月7日までとのこと。

Sycom

株式会社サイコムは、水冷仕様のタワー型ワークステーションをはじめ、ハイエンドから入門機まで3種を展示していた。

水冷タイプは、CPUにインテルCore i7-7800Xを搭載。GPUはNVIDIA Quadro P620だ。メモリーは16GB DDR4、8層基盤タイプを採用している。

フロントの5インチベイには3.5インチホットスワップを1基装備しており、簡単にHDD等のストレージ交換ができるようになっていた。また、フロント側の吸気ファンは14cmのタイプとなっている。水冷式の冷却機構とともに静音性を確保したとのこと。

また、水冷式を採用したことで筐体内部に熱がこもらないため、メモリー等のパーツへの熱ダメージ軽減にもつながっているとのこと。負荷の高い処理を長時間続けるケースでも故障の不安を下げられるのは大きなポイントだろう。

ワコム

株式会社ワコムは、ペンタブレットおよび液晶ペンタブレットを展示していた。

液晶ペンタブレットでは、「Wacom MobileStudio Pro」と「Wacom Cintiq Pro」が。8192レベルの筆圧検知に対応しており、対応アプリケーションで力を発揮する入力装置だ。

写真編集で筆圧検知が有用なシーンを聞いたところ、「覆い焼き」などの微妙な加減で便利との回答が。

今年、同社は35周年を迎えるとのことで、35%で割引販売をするとのこと。「Wacom Cintiq Pro」が、8万円前後で購入できるという。

Adobe

アドビ システムズ株式会社は、Photoshop CCおよびLightroom CCといった定番アプリケーションを展示。

Photoshopは、このほどバージョンアップで追加された「コンテンツに応じた塗りつぶしの再構成」などの機能を実際に紹介・説明していた。

このほか、動画編集アプリケーション「Premiere Rush CC」の紹介も。Premiere Rushは、オンラインコンテンツの制作から共有までをワンパッケージでおこなうことができるソフト。ソーシャルメディア向けのスピーディーな編集がポイント。

本誌:宮澤孝周