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次期Photoshopはデスクトップ/iPadとも同じコードで動作

Adobe Max Japan 2018での説明会より

次期Photoshop for iPad

アドビは20日、神奈川県・横浜パシフィコで開催した「Adobe Max Japan 2018」に合わせて、報道関係者向けに「次世代モバイルアプリ」に関する説明会を開催。次期Photoshop for iPad、Project Gemini、Project Aeroの3製品について、米国本社担当者が登壇した。

今回の3製品は、来年リリース予定のモバイルアプリとして開発中で、10月に米国で開催されたAdobe Max 2018で発表され、国内では今回、初お披露目となった。基調講演にも登壇した、米Adobe Senior Director of Design, Creative Cloud & Document CloudのEric Snowden氏と、同Sr. Director, Engineering - Head of Augmented RealityのStefano Corazza氏が、それぞれ報道陣の質問に答えた。

左からEric Snowden氏、Stefano Corazza氏。

――Photoshop for iPadについて、PCとは異なり、メモリが少ないiPad上で動作するためにどんな工夫をしているか。

Snowden:デスクトップ版とiPad版で同じコードが動いている。(基調講演の)デモで使ったファイルは2〜3GBで280ほどのレイヤーが含まれるかなり大きなファイルだった。これを動作させるために、クラウドでメモリのフットプリントを削減するようにしている。

――Photoshop for iPadは、PC版のPhotoshopのほとんどの機能を搭載するフル機能版のPhotoshopとして開発されているというが、含まれない機能はあるのか、それがあるとしたら、どういう理由で搭載しないのか。

Snowden:iPadで実現しようとしているのは、タッチデバイスのための機能を改善しようというもの。そのデバイスで最も適した機能を実現することを目指している。そのため、一部の機能はデスクトップ版と異なっている場合もある。

デスクトップ版の機能をそのままiPadで実現するのではなく、工夫を凝らすことを考えている。ワークロードごとに手を加えているので、今後も順次広げていきたい。ただ、まだ機能の全てを発表はしていない(ため、搭載される機能、されない機能は明らかにしていない)。

――iPad以外への展開はどうか。

Snowden:我々としては、マルチプラットフォームの取り組みをしていて、LightroomやRushのような製品を投入している。多くのアプリケーションについて、顧客と密接に展開を進めており、より幅広く使ってもらえるほど、フィードバックがより多く得られると考えている。

現時点ではiPad向けのみだが、過去、我々はマルチプラットフォームで製品を構築してきた(ため、他のプラットフォームへの展開の可能性はある)。

――Project Geminiをなぜ投入するのか。

Snowden:Geminiは、iOS、Windows、Android、こういうものが必要とされているあらゆるプラットフォームで実現していきたい。シームレスにPhotoshop、Illustratorと連携できるようにしており、スタンドアローンのアプリケーションとして提供する。

Photoshopの歴史を振り返ると、多くの新しい機能がドローイング用として開発された。ワークフローの鍵となるのがドローイングで、ワークフローはドローイングから出発する。ドローイングそのものが重要なので、そのためのソフトウェアを作ることが重要だ。

ファイルは独自形式となるが、PSDなどのファイルを開いたり編集したりすることもできる。ラスター、ベクターの双方に対応できるので、それぞれ変換する必要なく読み込んで編集できる。

――ターゲットは。

Snowden:広くアピールしていきたい。誰でもドローイングをしたい人が使えるようにしたい。プロフェッショナルにも使ってもらえるだろうし、iPadとApple Pencilで楽しんでもらえる。

――Project Aeroについて、iOSでも大容量ファイルが開けるのか。

Corazza:Creative Cloudを通じてアップロードできるファイルの制限はない。ARのためのファイル処理にはメモリの制約はあるが、デバイスのメモリサイズを把握して、そのメモリで動作するようにクラウド上でファイルを変換する。

――iOS以外への展開は。

Corazza:iOSではARKitを使っている。一般的に利用されているプラットフォームには対応させたいと考えている。まずは一つのプラットフォームでスタートすることを考えた時に、ARで最も大きなユーザーベースを持っているのがiOSなので、まずは対応した。その他のプラットフォームも今後増えると思う。

――ARは、まだ一般層の認知が広がっていない。どういった利用シーンを想定しているのか。

Corazza:一番多くの人が、まずは体験するのはSNSでの体験だろう。Project Aeroでは、まずタブレットなどのスクリーンでのAR体験を作成して共有できるようにした。今後、ARのさまざまなデバイスとして、ウェアラブルやARグラスが出てくれば、そういった製品もターゲットになるだろう。

――これらの3製品の提供形態はCreative Cloudになるのか。

Corazza:我々のビジネスモデルのサブスクリプションはCreative Cloudだ。そのため、提供形態はCreative Cloud経由になる。

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。