イベントレポート

航空写真家・チャーリィ古庄さんの「プリントを1,000倍楽しむ! with Canon PIXUS XKシリーズ セミナー・体験会」レポート

チャーリィ古庄さんと一緒に、ベストな1枚を選んでプリント

講師を務めた航空写真家のチャーリィ古庄さん。

12月3日、神保町にあるインプレスセミナールームにて、写真家・チャーリィ古庄さんによる「プリントを1,000倍楽しむ! with Canon PIXUS XKシリーズ セミナー・体験会」が開催された。

チャーリィ古庄さんといえば「世界でもっとも多くの航空会社に乗った人」というギネス認定を受けたほどの飛行機好きにして、航空写真の第一人者である。多くの著書や写真集を世に出す他、EOS学園を始めとした写真教室の講師としてご存知の方も多いはず。われわれが普段目にする、航空会社の広告や機内誌などでみる写真なども、実はチャーリィ古庄さんが撮ったものなのかもしれない。

撮影:チャーリィ古庄
撮影:チャーリィ古庄
撮影:チャーリィ古庄

参加者1人1人がPIXUS XK70/XK50を使用

チャーリィ古庄さんの話が直接聞けるのがこのイベントの特徴だが、参加者1人1人に用意されたプリンターを使い、自分の作品データを無料でプリントを体験できる点にも注目だ。

という訳で、当日会場に用意されたプリンターは、キヤノンの最新インクジェットプリンター「PIXUS XK70」と「PIXUS XK50」の2機種。参加者はどちらかを使用できた。

PIXUS XK70
PIXUS XK50

PIXUS XK70とPIXUS XK50は、ともに9月に発売されたばかりのA4複合機の上級機。新開発の「プレミアム6色ハイブリッドインク」によって高い写真画質を実現しながら、L判写真が1枚約12.5円という低ランニングコストを維持しているのが特徴である。

「僕自身、A3ノビ対応のキヤノンPIXUS PRO-10Sを使っていますが、大きさと重さを覚悟しなければなりません。PIXUS XKシリーズなら小型で軽量なので、一般家庭にも導入しやすいでしょう」

気になるのはPIXUS XK70とPIXUS XK50の違い。

「有線LANの有無や前面パネルの大きさ以外、主な違いはほとんど差がありません。プリントそのものの実力は同じなので、今日はどちらを使っている方も安心してプリントを楽しんでください」とチャーリィ古庄さん。

画質についての紹介もあった。

「微妙な色合いが出せて黒の締まりがよい。淡いトーンも再現できるなど、繊細な航空機の写真表現にも十分使えます。いままでA4サイズのプリンターで発色の優れたものはなかったので、これは嬉しいプリンターが出ましたね」

プリントする意味を知る

セミナーが始まると、まずはチャーリィ古庄さんから「プリントする意味と価値」について説明がされた。

「最近はカメラの液晶モニターやPCで鑑賞して終わりという人が多いのですが、写真はあくまでプリントすることで記録として残すものです。プリントすることでじっくりと作品と向き合うことができます」

「またプリントした作品は、人に贈ると喜ばれます。ある航空会社からの依頼で撮影した写真を大きくプリントしてプレゼントしたところ、喜んだ会社の方が額装され待合室に飾られました」

「フォトコンテストなどでは今でもプリントでの応募が主流です。となると、自分でプリントを仕上げる技術がなければ入賞は難しいですよね。また、自分で納得のいくプリントができるようになれば、将来的に写真展を開催する時などにも活かせます」

例としてチャーリィ古庄さんは、過去にフォトコンテストで審査員を務めたときの話や、過去に写真展を開催した経験を披露。参加者は納得の様子だった。

航空機の撮影で意識すべきことは?

では、そのような美しいプリントを自分で作り出すために、撮影時に気をつけなければいけないことは何だろうか?

最も大切なことは「適切な露出で撮ること」ということだ。これは、デジタルなので後からトリミングや画像調整をすればいいというものでなく、コントラストや階調を完全に記録できるように撮影時の露出設定を慎重に行うということである。さらに、後々ポスターや大判プリントにすることを想定して、より画質の高いRAWを同時保存しておくとよいとのこと。

撮影:チャーリィ古庄
撮影:チャーリィ古庄

航空機にどのように光が当たるかを把握しておくために、飛行機が飛ぶ時間の太陽の位置(あわせて季節、光の強さ、時間帯、地形なども)は常に調べておく必要がある。

現場に到着したらテスト撮影(この場合は飛行機が来る前にシャッターを切り液晶モニターやPCで露出や構図を確認すること)を必ず行うことも、チャンスを逃さないための大切な行為だ。テスト撮影の際には、手ブレ、被写体ブレ、被写界深度、色温度などについても、慎重に検討する。飛行機や背後の雲などが白飛びを起こさないよう、ほとんどの場合「高輝度階調優先」をONにして撮影するそうだ。

用紙による写真表現の違いとは?

セミナー会場には、あらかじめチャーリィ古庄さんが撮影し、PIXUS XK70/XK50で出力したプリントサンプルが机上に並べられていた。ここまで座学で学んだことを、プロのプリントを通して直に確認できるという訳である。

プリントサンプルでは、使用するプリント用紙の違いで写真の表現が変わることについても説明があった。今回使われたプリント用紙は、キヤノン純正の「光沢 プロ[プラチナグレード]」と「微粒面光沢 ラスター」の2種類。

「プラチナグレードは黒のしまりが良いキヤノン純正用紙の最高峰です。一方、ラスターは微粒子感があり、落ち着いた雰囲気で照明の影響を受けにくいことが特徴です」と、チャーリィ古庄さん。これら2種類の用紙は続くプリント体験会で実際に使用することになる。

チャーリィ古庄さんの作品をプリントする

そしていよいよプリント体験会が始まった。PIXUS XK70/XK50はPCに接続してもプリントできるが、今回は気軽にプリントを楽しんで欲しいという趣旨のもと、SDカードスロットを介して、PCなしでのプリントをしてもらうことになった。

普通のプリント体験会ならさっそくここで参加者各自が持ち寄った画像をプリントするところであるが、本セミナーはまず初めに、講師であるチャーリィ古庄さんが撮影した作品画像データをプリントする。という訳で、PIXUS XK70/XK50にはチャーリィ古庄さんが撮影した画像データの入ったSDカードが挿入されていた。

SDカードからプリントする場合、PIXUS XK70/XK50は本体全面の液晶ディスプレイで気に入った写真を選び、指示に従って設定するだけでプリントできる。タッチで直感的に操作できるので取扱説明書など見なくても大丈夫だ。

今回のセミナーはチャーリィ古庄さんのファンが多く参加していた。それだけに憧れの写真家が撮影した画像を自分の手でプリントできるというのは、実にインパクトの強い経験となったのではないかと思う。事実、出力されたプリントを細部まで注視する人が多く見られた。

出力したチャーリィ古庄さんの作品プリントは、各自持ち帰ることができた。これもよい記念となったに違いない。

いよいよ自身の写真をプリントする

チャーリィ古庄さんの作品をプリント体験した次は、いよいよ自身のデータをプリントして作品とする作業である。まずは自身の画像データが入ったSDカードへと交換する。

参加者はモニターをスワイプしながら、思い思いの画像を選びプリントを始めた。

今回は、プラチナグレードとラスターの2種類の用紙、A4と2Lの2種類のサイズを使ってのプリントであるが、そうした印刷設定も迷うことなく操作していた。

PIXUS XK70/XK50はプリント速度がとても速く、なおかつ作動音が静かなことも特徴のひとつ。思っていたよりずっと快適にプリントできてしまうことに驚き、たくさんプリント枚数を重ねる参加者も多かった。

参加者同士でもお互いのプリントを見せ合い、写真やプリントのことを話し合うなど、和気あいあいとした楽しい時間であった。

作品プリントの講評で1枚を選ぶ

存分にプリントを楽しんでもらったところで、各自、2Lサイズのプリントから3枚ほどの作品を選び講評会が始まった。講評会とはいっても難しいものではなく、皆で作品が並んだ机を囲みアドバイスや感想をもらうというもの。この中から「今日の1枚」を選ぶのである。

チャーリィ古庄さんのアドバイスを聞いた撮影者が1枚を写真が選ばれると、自然に拍手が起こった。

お気に入りの1枚を選んだ参加者には、運営サイドからフォトフレームがプレゼントされた。これは、写真をプリントして飾ったり贈ったりする楽しさを体験してもらいたいという意図を込めたものだ。

フォトフレームを受け取ると参加者の方々はさっそく写真を入れ、この日のセミナー・体験会を通してカタチとなった自身の作品を実感していた。

参加者の声

小丸晋太郎さん

これまでお店プリントしか経験がなかったので、プリンターで何ができるのか知りたくて参加しました。

自分でプリントすることにトライしてみたかったので、用紙を変えたり、設定を変えたりして、プリント表現が変わることが刺激でした。モニターとお店プリントの結果が違って、その都度注文を繰り返すこともあったので、自分でプリンターを設定できることは大きな魅力ですね。

特に用紙の違いで背景色が変わるのが楽しく、これからの撮影ではプリントを見越してカメラの設定を考えるようにしたいと思いました。

古田佑一さん

EOS学園でチャーリィ古庄先生の講座を受講していますが、プリントについて改めてお考えを知れて楽しかったです。美しいプリントを目指した撮影の意識など、先生のお話がとてもためになりました。これまでの撮影会で撮った写真が、今日プリントになったことに感激です。

PIXUS XK70/XK50は画質もよいことが実感できましたので、非常に魅力的な商品だなと思いました。

松本和樹さん

チャーリィ古庄さんの作風が以前から好きで、何度かイベントなどでお話を伺っていました。でも撮り方やプリントの仕方を聞けたのは今日が初めてで嬉しかったです。

プリンターは自宅にあるものの、どちらかというと特に志向もなくお店プリントにだすことが多かったので、今日はプリントのワークフローを体系的に教えてもらえて役立ちました。

用紙の違いなど、自分でも驚くぐらいハッキリした違いが分かりましたので、これは自分で挑戦しなければと思いました。今日帰ったらさっそくやってみます!

相馬聖子さん

普段はどちらかというと撮るだけで終わってしまっていましたので、今日は先生を始め皆さんの作品を間近で見ることができて嬉しかったです。今日の体験会では、自分でプリントすることで気づくことがとても多く、驚くとともにとても参考になることばかりでした。

いま使っているプリンターと比べるとPIXUS XK70/XK50はすごくコンパクトで静か、クオリティも全然違いますので、これなら自分の家でプリントしてみたいと思いました。

松本浩幸さん

いつもチャーリィ古庄先生のブログなどを楽しく拝見していますので参加できてよかったです。正直、PCでの画像調整は苦手ですので、今日の先生のお話のように撮影段階でしっかりとしたカメラ設定をして、ほとんど調整の要らない写真を撮るといった話には聞き入ってしまいました。

PIXUS XK70/XK50は初めて体験しましたけど、高機能なわりにコンパクトでスタイリッシュなので気に入りました。それと、光沢紙しか使ったことがありませんでしたので、ラスターの落ち着いた表現に興味がでました。

和田健一郎さん

プリントはほとんどしたことがなく、撮って満足するかSNSなどにアップするかという程度でした。でも、SNSでは綺麗に見えていた写真が、プリントしてみたら満足できるシャープさがなかったりしたので、いろいろと気づかされる体験会になりました。デジタルなので写真はあとで調整すれば何とかなるだろうと考えることもありましたが、お話を聴いて襟を正しました。

ちょうどプリンターを買い替えようか迷っていましたので、今日の体験会でPIXUS XK70/XK50に興味が出ました。

制作・協力:キヤノン

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。