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チャーリィ古庄さんプロデュースの「フライトカフェ・チャーリイズ」に行ってきた

旅客機好きが楽しめる本格的なカフェレストラン 本物の機内食も

成田空港の近くにカフェレストランを出店したチャーリィ古庄さん(右)と、日々お店を切り盛りする奥様の古庄和子さん(左)。

「世界でもっとも多くの航空会社に乗った人」というギネス記録をもつ航空写真の第一人者、当サイトにも度々ご登場いただいているチャーリィ古庄さんがプロデュースするカフェレストラン「フライトカフェ・チャーリイズ」が3月にオープンしたというので、さっそくお伺いしてみた。

フライトカフェ・チャーリイズは、成田市の「さくらの山 空の駅 さくら館」のなかにある。

成田空港A滑走路北側に位置し、飛行機の離発着を間近で体感できることで有名な「さくらの山公園」に隣接しているといえば、飛行機が好きな方ならピンとくるのではないだろうか。

そう、成田空港に発着する飛行機を撮影しがてら、飛行機にまつわるアレヤコレをお店でも楽しめてしまうという趣向が凝らされているのだ。

これは期待! と思い取材を申し込んだのであるが、これがまた、チャーリィ古庄さんがプロデュースしているというだけあって、予想の遥か上をいく充実の内容だったのでぜひレポートさせてもらいたい。

航空写真の第一人者がカフェを始めた理由とは

「僕は15歳の頃からこの場所で飛行機の写真を撮ってきたのです」と、語ってくれたのは、多忙の中にもかかわらず快く取材に応じてくれたチャーリィ古庄さん。

「当時この辺りは原野のように何もなく、遠く離れていたバス停から歩いて撮影場所を探したものです。今みたいにインターネットで飛行機の位置を知るなんてことはできなかったので、無線を持ち込んで状況を把握していました。ここは、いわば、僕の航空写真の出発点なのです」

その後、アメリカで航空機操縦資格を取得し、日米双方で実際に航空会社に勤務するなどの経験を踏まえてから独立したチャーリィ古庄さんは、航空写真家としての地位を確立していくことになる。世田谷区から成田市へと居を移すことになったのは10年ほど前のことだそうだ。

「成田市で暮らすようになって、世界有数の国際空港の膝元に暮らす住民の方々からも深いご縁をもらうようになりました。若い頃からお世話になっていた成田の住民に僕もなって、何か役に立てることがあれば協力したいという気持ちが育まれていたところ、是非ということでリクエストをいただいたのが、ここさくら館でのカフェレストランの出店でした」

撮影・執筆・講演と、航空写真家として世界中で活躍されているチャーリィ古庄さんが、思いがけずカフェレストランの運営を決心した理由のひとつは、成田への、地元振興の意味を込めた「恩返し」なのである。

食事をしながら飛行機の発着を肌に感じることができる

さて、そんな心温まるエピソードがあって発進したフライトカフェ・チャーリイズ古庄であるが、チャーリィ古庄さんだからこそのポイントが店内の至る所に仕掛けられている。

まず、A滑走路向きに大きく開いたガラス張りの壁面は、発着する飛行機の角度に合わせ斜めに設計されている。カフェレストラン利用者は、世界中に羽ばたく(もしくは世界中から成田を目指して来た)飛行機を眺めながら食事を楽しむことができるのだ。

店内には大型モニターが設置されており、インターネット上のフライトレーダーが常に表示されているため、成田空港周辺にどの旅客機がいていつ頃進入してくるのかといった情報も簡単にわかるようになっている。

また、店内には「飛行機DJ」と呼ばれるスタッフがいて、当日の航空管制情報やトピック的な飛行機の状況・話題などをアナウンスしており、視覚だけでなく音声による情報も万全である。

提供されるメニューにも素晴らしい拘りがあり、その中で、何としても押さえておきたいのが「チャーリイズ特製機内食」だ。これは、成田市にあり世界ナンバーワンシェアを誇るケータリング会社「ゲートグルメジャパン」から提供されるホンモノの機内食。

別日に撮影したチャーリイズ特製機内食(撮影:酒井利)トラベルWatch「航空写真家チャーリィ古庄氏プロデュース、『フライトカフェ・チャーリイズ』内覧会レポートより。

ただし、1日の数量が限定されている上に大人気のメニューとなっているため、早めに注文しないと直ぐに終了してしまう。実際、13時にお邪魔した取材当日も、とうの昔に完売してしまっていて注文することができなかった。チャーリイズ特製機内食を絶対食べたいという人は早めに行くことをおススメする。スタッフが、専用カーゴで配膳してくれるというスペシャルサービス付きだ。

だが、機内食を逃してしまっても落胆することはない。「腕のいいシェフに入ってもらっているのですが、ちょっと僕自身驚くぐらい美味しいんですよ」ということで勧めてもらったメニューが本当に美味しかった。

筆者が食べたのは「サーモングリルのヘルシーランチ」。しっとりジューシーなサーモンとタルタルソースの取り合わせが絶妙で、機内食を試せなかった口惜しさが一気に吹き飛んでしまったほどである。

同行の編集者もチャーリィさんオススメの「チャーリイズハンバーグランチ」を頼んでいたが、筆者と同じく驚きの美味しさに舌鼓を打っていた。

ランチタイムは11時~14時となっており、この時間に用意されるメニューは、上記の他にも「キッシュプレートランチ」や「お子様カレープレート」などがあり、それぞれに趣向が凝らされていてどれも評判だという。そういわれると全メニューをコンプリートしたくなってくるから不思議だ。

なお、14時~18時まではカフェタイム(ラストオーダー16時30分)となり、こちらでも軽食として用意される「ロコモコプレート」、「タコライスプレート」、「本日のピザ」、「本日のスイーツ」などのメニューはどれも人気だそうだ。ますますコンプリートしたくなる。

成田市内の専門店から仕入れた豆で淹れたというコーヒーを注文すると、飛行機に因んだラテアートを楽しめるところもポイントが高い。

ランチタイム・カフェタイム共通のお楽しみとして、これまたホンモノの国内線上級クラスのシートを使った席が用意されており、実際にこのシートに座ってフライト中の食事気分を味わうこともできる。さくら館訪問者の中でもチャーリイズカフェレストラン利用者だけの特権なのでぜひ楽しんでもらいたい。

世界中の航空会社から取り寄せられた機材雑誌(基本的に全て最新号)が店内に用意されているので、それらを見ながらシートでの食事(お茶)を楽しめば、ますますフライト気分を盛り上げることができる。

他にも、注文時に世界の主要空港の略称(スリーレターコード)が書かれた席札を渡され、その席札をテーブルに置いて注文を待つと知った独特なシステムもある。空港名は好きなものを選べるため、まるで行き先を自由に決める気ままな旅に出たような気分になりプチ楽しいというものだ。

また、カフェレストランである「フライトカフェ・チャーリイズ」には、航空機グッズの販売や展示を行う「フライトショップ・チャーリイズ」が併設されており、チャーリィ古庄さんの著書をはじめ、各種のグッズや、ホンモノの航空機のシート、計器類を販売している。

実のところを言えば、オープンのタイミングとしてはフライトショップ・チャーリイズの方が先(2016年)で、専門家ならではの気の利いた品揃えが好評を博したおかげで、今回のカフェレストランに繋がったという経緯がある。

いずれにしても、充実した時間を過ごすために十分な内容があるのは確かなことだ。

飛行機撮影という日本の文化をサポートしたい

「日本は世界でも稀なくらい飛行機の離発着を見学したり撮影したりすることに理解がある国なんですよ。国内の多くの空港では展望デッキがあって、誰でも自由に飛行機を見れますよね?」とチャーリィ古庄さん。海外で撮影をしていると、職員や警察に強く制止されることが度々あるという。多くの国では、安全保障などの観点から、空港は厳重な警戒地区となっていることが普通なのだそうだ。

「飛行機を気軽に撮る、これはもう日本の大切な文化だと思います。カフェレストランを運営するのは、さくらの山公園という飛行機に親しみやすい環境づくりをサポートしたいと思ったからでもあります」

フライトカフェ・チャーリイズでは「多くの方に、気軽に、安全に飛行機撮影を楽しんでもらいたい」という想いから、撮影機材のレンタルも行っている。

せっかくここまで来たのだから、筆者もさくらの山公園で飛行機を撮ってみたいな、と考えていたところ「あと15分ほどで、タイ航空が所有する世界最大の旅客機、エアバスA380が到着予定です」という飛行機DJからのアナウンスが入った。

さくらの山公園は、四季折々の花と飛行機を一緒に撮影することができる人気のスポット。取材日は、桜が散った後の小雨模様という生憎の天気であったが、それでもすでに多くの飛行機ファンが集まっていた。

チャーリィさんのおっしゃる通り、飛行機の撮影はほとんど初めてという筆者でも、本当に簡単に写真が撮れてしまったのは驚き。そして、初めて見るエアバスA380の大きさに覚えた興奮を抑えきれないまま、またフライトカフェ・チャーリイズへと足を運んだのだった。

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「イスタンブルの壁のなか」(オリンパスギャラリー)など。