イベントレポート

チャーリィ古庄さんも出演した「デジカメ Watch 記事連動セミナー」が無事終了

SynologyとSeagateが応援に NASを活用した講評会が盛り上がる

株式会社インプレスは、セミナーイベント「チャーリィ古庄×Synology×Seagate デジカメ Watch記事連動セミナー 写真家向けNAS使いこなし術」を8月9日に開催した。

このイベントは、写真の整理や閲覧用途におけるNASの活用方法を伝えるとともに、NASで利用するHDDについて学ぶ主旨のセミナー。

航空写真家のチャーリィ古庄さんにインタビューした、当サイトのこちらの連載を下敷きにしたものだ。

講師に招かれたのは、連載に登場したチャーリィ古庄さんはもちろんのこと、NASメーカーSynologyとストレージメーカーSeagateの各担当者から、ストレージ機器の機能や適切な運用方法についての解説も行なわれた。

膨大な量の写真の中から必要なカットをすぐに取り出せる

チャーリィ古庄さんのセッションでは、自身の業務内容と、NASを使った写真のマネジメントについての解説があった。

チャーリィ古庄さん

チャーリィ古庄さん曰く、普段の業務では、旅客機内外観や機内食、SNSやIRに掲載する写真の撮影に加えて、イベントやセレモニーの取材など幅広い分野の写真撮影を行なうとのこと。撮影したデータは帰宅後にすべてNASと外付けHDDに保存する二重バックアップ体勢を構築しており、NASには撮影地の空港や機体の航空会社別に細かくフォルダ分けをしているという。

「クライアントによってオーダーが異なるので、それぞれ航空会社や空港別に分けて保存して置く必要があるのです。例えば、関空(関西国際空港)で撮影した写真なら、当日の日付で関空のフォルダを作っておいて、一旦そこにすべて保存した後、撮影した航空会社別のフォルダに仕分ける、といった形です」

会場から、チャーリィ古庄さんのNASの中を見たところ。Synology NASを扱うパッケージの一つ、「File Station」を使っている。

空港や航空会社別に細かくフォルダを分けて、目的の写真がすぐに見つかるように配慮されているのがわかった。

「航空関係の撮影は特に撮り直しがきかないこともあって、データの扱いには普段から気を遣っています。例えばフライト本数の少ない空港での撮影では、一度撮り逃すと次の便まで数時間待たなければならないこともあるし、時には政府関係の仕事で海外の要人を撮影することもあります。まさか、もう一度タラップから降りてくるところからやり直してくれ、なんて言えませんから(笑)、後で『撮れてなかった!』なんてことのないように、カメラの保存設定はダブルスロットで同時書き込みするようにしています」

NASを導入する前の課題は、撮影後のワークフローとして、一度に多くのデータを扱えない点にあったという。海外への渡航も多い仕事柄、一時期は外付けHDDに直近のデータを入れて持ち歩いていたそうだが、現在はSynologyの5ベイNAS「DS1517+」に、SeagateのNAS向けHDD「IronWolf」の10TBを5台収容し、50TBのネットワークストレージとして運用している。

DS1517+

特にお気に入りの機能としては、携帯端末からNASの画像を閲覧できる「Quick Connect」と、NASから「Dropbox」などのオンラインストレージへのファイル共有機能だという。

「きっちりフォルダを分けるのは手間もかかりますが、その分わかりやすいので、必要とされたタイミングですぐに写真を出せます。NASを使い始めて5年になりますが、一番変わったのは外部からすべての写真にアクセスできるようになったことでしょう。ネット環境さえあれば出先でも支障なく仕事ができますので、クライアントへのレスポンスも素早くできて、大変便利に使っています」

「今使っているNASは静かで場所を取らないし、外部からファイルを閲覧するときでも、外付けHDDと同じくらいの速度が出るので、ローカルのストレージとほぼ同じ感覚で使えます。ただ、絶対に壊れないメディアは無いので、今はUPSも導入して、バックアップ体勢も整えました。私自身、ITのデバイスにはあまり詳しくないのですが、それでも実務レベルで十分扱えているので、難しく考える必要はないと思います」

セッションではこのほか、チャーリィ古庄さんの事務所に設置されているNASに会場から接続するデモや、事前に参加者から募集した作品の講評も行なっていた。

会場からNASに接続するデモは、チャーリィ古庄さんのNASに保存されている写真の中から来場者のリクエストに合わせた写真をリアルタイムで見せる趣旨。来場者が空港と航空会社、機体の型式を指定すると、チャーリィ古庄さんがリクエストに応じた機体の写真を見せる趣向。

来場者からオーダーがあった、パンナム航空ボーイング727の写真。この写真はフィルム時代のポジフィルムをスキャンしたデータだ。

ここではチャーリィ古庄さん自身が「外付けHDD並み」と語るように、ネット越しであることを感じさせないレスポンスで、フォルダ移動やファイルの操作や展開が行なわれ、来場者を驚かせていた。

作品講評は、インプレス社内に設置されたセミナー専用のNASにフォルダ単位で保存された作品を、チャーリィ古庄さんが1枚1枚開きながら講評していくスタイルで実施した。作品は参加者自らが、セミナー用のNASに事前に保存していたものだ。

NASに保存した写真をSynology NASパッケージの一つ、PhotoStationで開いて講評している画面。PhotoStationは写真の閲覧に向いているパッケージ。

作品は航空写真だけでなく、ポートレート、鉄道、星景写真なども集まり、そのレベルの高さから、チャーリィ古庄さんを含めた参加者一同が感心する場面も見られた。また、特に航空写真が画面に映し出されると、マニアックな航空写真トークにも花が咲いていていた。

多彩な機能をPCレスで利用できる

Synologyのセッションでは、同ブランド製品の国内販売代理店・株式会社フィールドレイクの小川将司営業企画部長が、NASシステムの概要と、主力NAS製品「DiskStation」シリーズの主な機能を紹介した。

株式会社フィールドレイクの川将司営業企画部長

小川氏はまず、PCと接続して使うストレージを「DAS」(Direct Attached Strage)、単体でネットワークストレージとして使えるストレージを「NAS」(Network Attached Strage)と説明。NASをフォトグラファー向けに勧める理由としては、「データの安全性」、「大容量と拡張性」、「接続性」、「データの取り込みやすさ」、「写真の共有と検索のしやすさ」を挙げており、DASとの最も大きな差異は、多彩な機能をPCレスで利用できることだと強調した。

データの安全性というテーマに関しては、DiskStationで利用できるバックアップ機能を紹介していた。具体的には、自動RAID管理機能の「Synology Hybrid RAID」(SHR)、ローカルのデータをネットワーク経由で別のストレージやクラウドにバックアップする「Hyper Backup」、NASのデータをクラウドストレージに同期する「Cloud Sync」を挙げている。このうちHyper Backupに関しては、厳密なバックアップバージョンの管理によって、設定さえしておけば、NASのハードウェアが物理的に失われても、クラウド上にNASのデータが同期され、いつでも復旧できる状況を作れる点をメリットとして説明した。

SynologyのNASに内蔵されている自動RAID管理機能「Synology Hybrid RAID」

大容量と拡張性については、既存のHDDから容量を拡張したいとき、元のデータを維持したまま、所定の手順に従って換装が可能なことを挙げていた。NASではHDD換装時のファイルコピー作業を自動的に行なうので、PCの内蔵HDDに対して能動的に操作するよりも楽に作業が完了する点が便利だという。

接続性は、スマートフォンなどの携帯端末から「どこからでもファイルにアクセスできる」という点をNASの大きな特徴として紹介している。Synologyではこの機能を「Quick Connect」と呼んでおり、アカウント登録とID設定を済ませれば、ブラウザやアプリ経由でNASにアクセスできる。

ローカル環境でのファイル取り込みについては、NAS本体のUSBポートから直接ファイルをコピーできる「USB Copy 2.0」機能を紹介した。

こちらも初期設定を完了させれば、USBポートに接続した外付けHDDやUSBメモリ、カードリーダーから自動的にファイルを保存できる。前回の取り込みと比較して、追加されたファイルのみ取り込むよう設定することも可能だ。

このほか、NAS上で無料で使える写真管理用のアプリとして「Photo Station」を紹介した。

写真のメタデータから自動的にアルバムを作成する「Smart Album」や、タグ付け、条件検索、アルバム単位での共有、ウォーターマーク署名、スマホ画像のバックアップといった機能を備えており、各カメラメーカーのRAWファイルの閲覧や、動画ファイルの再生にも対応している。

タフな環境でも確実に動作するNAS向けHDD

Seagateのセッションでは日本シーゲイト株式会社・技術部の佐藤之彦さんが登壇し、NAS向けHDD「IronWolf」シリーズの特徴とPC内蔵向けHDDの違い、使われている独自技術について説明した。

日本シーゲイト株式会社・技術部の佐藤之彦さん

Seagateが展開しているストレージブランドがGuardianシリーズ。それに属するIronWolfの特徴は、長時間の高負荷状態に耐える堅牢性と、振動やショックなど物理的な負荷のかかっている状態でも安定して動作する信頼性だという。

中央がIronWolf。下位にBarrakudaシリーズ、上位にSkyhawkシリーズがラインナップされている。

「HDDの違いってわかりにくいと思うのですが、中身は結構違っています。普通の方にとって、ドライブの選び方はひとつのハードルなのですが、重要なポイントはそれほど多くありません。ことIronWolfに関していえば、最も大きな売りはRV(Rotational Vibration、回転振動)センサーを搭載していることです」

RVセンサーは、HDDの基板上に設置されている加速度センサーで、衝撃や振動を検出してシーク動作を補正する機能を持つ。HDDは機械部品を多く含んでおり、シンプルに言えば、HDDは高速回転する円盤(プラッタ)とヘッドでデータを読み書きするが、機械が動く以上、どうしても振動が発生する。HDDが確実な読み書きをするには機械にとって良好な動作環境を与えるのが一番だが、すべてのHDDが必ずしも良好な環境で運用されるとは限らない。

佐藤さんによると、NAS用HDDは、厳しい動作環境でも安定した動作をするよう設計されており、RVセンサーの搭載もその一環だという。センサーがあるものは安定した速度でデータ読み書きしやすい。

「HDDが振動したりぶつかったりした際、RVセンサーがない普通のHDDでは、読み書きの動作をやり直すために速度が不安定になりやすいのですが、これを防ぐことで物理的な動作が減るため、結果的に消費電力が抑えられる効果が期待できます」

また、IronWolfシリーズの転送速度に関しては、あえて速度を抑えることで、安定した動作を重視する方向性が採られていると説明している。

HDDの耐久性に関しては、長期間におよぶ負荷を、自動車での長距離移動に例えて解説した。

「いわゆるWorklord(負荷)の考え方ですが、これは例えるならば、毎日東京から大阪まで移動しなければならないとして、その時の移動手段に業務用の大型車両を使うか、軽自動車を使うかの違いといいましょうか。短期的に同じ結果は得られるかもしれませんが、長期的な運用を視野に入れたとき、部品の堅牢性や振動を抑制するRVセンサーなどの機能の有無が、最終的な運用期間の長さにつながってきます。せっかくNASで長期的に大事なデータを扱うならば、HDDには動作環境のネガティブな要素に打ち勝つ、厳しい条件でも確実に動く堅牢さと、高い信頼性が必要です。よく質問されるのですが、汎用HDDと、NAS用のHDDの価格の差は、用途に向けてコストをかけたカスタマイズがなされているかどうか。というところにあるのです」

豪華プレゼントの抽選も

本イベントの参加者には、SynologyのNAS「DS716+ II」が抽選で1名に贈られた。また、講評用の作品を事前にアップロードした参加者に対し、Iron Wolof 10TBまたは4TBが当たる抽選も行われた。

プログラム終了後は会場にはタッチ&トライコーナーが設けられ、メーカー担当者の説明を熱心に聞く来場者の姿も見られた。

実動するSynologyのNASを前に、熱心な質問が飛び交った。

DS916+
DS216j
DS1517+(上)とDS1817+(下)

また、プロ写真家のチャーリィ古庄さんと意見を交換できる機会でもあった。

NASという写真愛好家にはいくぶん馴染みのない製品ジャンルのイベントでありながらも、多くの参加者に恵まれた本イベント。セミナー後のフリータイムでは多くの参加者が終了時間まで残り、メーカー担当者の話に聞き入る姿が見られた。

今回は航空写真家チャーリィ古庄さんが主役のイベントだけに、航空写真を撮影する参加者が多く訪れた。話を聞くと、1回の撮影行で数多く撮影するジャンルだけに、ストレージについては高い意識を持つ参加者が目立つ。とはいえ、ストレージに悩むのはどのジャンルの撮影者も同じだろう。今後は写真愛好家の間で、NASやHDDについての情報や、体験イベントが重視されるのかもしれない。

関根慎一