イベント告知

「秋冬花鳥図」の高精細複製品が青森県中泊町で特別展示。キヤノンのデジタルイメージング技術で再現

対になる「春景花鳥図」と“150年ぶりに再会”

青森県中泊町で、江戸時代の狩野派作と伝えられている襖絵「春景花鳥図」と、キヤノンが推進する「綴プロジェクト」で制作した高精細複製品の「秋冬花鳥図」が特別展示される。この2組の襖絵が並ぶのは“約150年ぶり”という。

綴プロジェクトとは、日本の文化を継承し、その美しさを伝えていく目的でキヤノンと特定非営利活動法人 京都文化協会が2007年から共同で推進する文化支援活動。キヤノンの持つデジタルイメージング技術により、文化財の高精細な複製品を制作する。

具体的には、キヤノンのカメラおよび専用の制御システムにより、文化財に対して多分割撮影をしてパソコン上で合成。12色顔料インクシステムの大判プリンター「imagePROGRAF」にて、独自に研究・開発した和紙へとそのデータをプリントする。そのプリントに対して伝統工芸士による金箔・金泥の再現、表具師による表装が施される。

今回特別展示する「秋冬花鳥図」は、英国の大英博物館が所蔵するオリジナル作品を、キヤノンが綴プロジェクトで制作した“複製品”にあたる。一方、「春景花鳥図」については青森県中泊町の「宮越家」が所蔵していた“オリジナル作品”だ。

この2組の襖絵はもともと、奈良県の談山神社が所蔵していたものが明治維新後の廃仏毀釈(きしゃく)の流れの中で流出したものという。

「春景花鳥図」は1922年に宮越家が購入し、これまで大切に保管してきた。「秋冬花鳥図」は、そのオリジナル作品が1937年から大英博物館に所蔵されている。大英博物館が所蔵する日本美術品の中でも代表的な作品と位置づけられており、2018年にキヤノンが高精細複製品を制作し、旧蔵元である談山神社に奉納していた。

そして2024年に狩野派研究者の山下善也氏により、宮越家所蔵の襖絵「春景花鳥図」と、大英博物館所蔵の「秋冬花鳥図」が“一連の作品”であることが発表された。それをうけ今回の特別展示が実現。「数奇な運命をたどった2組の襖絵が、約150年の時を経て再会します」としている。

展示概要

会場

宮越家離れ・庭園「詩夢庵(しむあん)」(青森県中泊町)
※住所は非公開
※中泊町の指定された発着場より運行する専用のシャトルバスでのみ来場可能

展示期間

春:2025年5月23日(金)~6月29日(日)
秋:2025年9月26日(金)~11月2日(日)

休館日

月曜日

入館方法

事前予約制(1日最大80名)

入場料

2,500円

主催

青森県中泊町

特別協力

キヤノン株式会社、特定非営利活動法人 京都文化協会

監修

山下善也氏(美術史家。元・京都国立博物館主任研究員)