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どこが違うの?「GR IV Monochrome」。“モノクロ専用”のこだわりを聞いてきた
2026年1月16日 10:02
リコーイメージング株式会社が2月13日(金)に発売する「RICOH GR IV Monochrome」の実機を手にする機会があったため、外観写真と担当者に聞いた話をお届けする。なお、東京・原宿のGR SPACE TOKYOで発売前の実機を展示している。
RICOH GR IV Monochromeは、スナップ撮影を得意とするコンパクトカメラ「RICOH GR IV」(2025年9月発売)をベースに、モノクロ撮影専用としたバリエーションモデル。カラー撮影ができない代わりに、一般的なカラー撮影のデジタルカメラを上回る画質を実現しているのが技術的なメリットだ。加えて本機には、モノクロ写真の世界観をより味わえるような要素がカメラの外観・機能のそれぞれにもたらされている。
手に取るとまず、本体外装のサラサラとした触感に気付く。従来のGRのようなザラッとした質感ではなく、キメが細かく新鮮なマットブラックだ。そして、電源ボタンのランプがグリーンではなくホワイトになり、背面右手上部のアクセスランプもホワイト。モノクロームの世界観を意識した変更だという。
新規開発のモノクロ専用センサー
その心臓部となるのはAPS-Cサイズ(23.3×15.5mm)、有効約2,574万画素のモノクロ専用CMOSセンサー。感度はISO 160~409600。センサーシフト式の手ブレ補正機構とモアレ低減機能(ローパスセレクター)を備える。
リコーイメージングでモノクロというと、デジタル一眼レフカメラの「PENTAX K-3 Mark III Monochrome」が思い浮かぶ。あのモノクロセンサーをGRも流用するのだろう、との見方もあった。しかし実際は新規に開発された別のセンサーであり、このセンサー調達こそが“モノクロ専用GR”を実現する上での壁だった。
センサー開発の難しさは、何よりGRが高性能を追及したコンパクトカメラだったからだという。GRに限らず高画質志向のレンズ一体型カメラでは、イメージセンサーとレンズの特性をマッチングさせて画質を追及している。今回のGR IV MonochromeはGR IVと同じレンズを搭載するため、イメージセンサーの特性(入射角やマイクロレンズ配列の調整)をGR IVのカラー用センサーと揃える必要が生じた。そのために新センサーを1から開発することになったそうだ。
GR IVからの価格アップ(直販19万4,800円→28万3,800円)も、この新センサーを1から開発したところが大きな要因だという。一般にイメージセンサーは注文枚数が多ければ多いだけ1枚当たりが安くなるので、どちらかというとニッチなカメラであるGR IVの、さらにモノクロ専用センサーとなれば、製品価格に影響すると想像できる。加えて、モノクロ専用の画質設計や各部のこだわり要素を踏まえているのが本機ならではの付加価値だ。
一応、本機のモノクロセンサーの仕組みについてもおさらいしよう。ベイヤー配列と呼ばれる一般的なカラー用センサーでは、1つの画素が実際に得ている情報はRGBのいずれかの輝度情報のみ。そこから本来の色を生成するためには、周辺画素の色情報も踏まえた「デモザイク」と呼ばれる補間処理を行う必要がある。
これに対しモノクロ専用センサーはRGBの輝度情報が不要なため、イメージセンサーの前にあるカラーフィルターを除去。すると補間処理も不要になり、モノクロ写真に特化することでより再現性の高い写真が撮れるというのがモノクロ専用機の訴求するメリットだ。これはPENTAX K-3 Mark III Monochromeや「ライカMモノクローム」シリーズも同じ仕組み。
レンズユニットに赤フィルターを搭載
搭載レンズは35mm判換算28mm相当でGR IVと同じ。レンズ構成やコーティングも同じだという。GR IVのレンズはGR IIIから構成枚数が1枚増えているが、これはレンズ部分の薄型化と高画質化に貢献している。最後部にフィールドフラットナー的な効果を持つレンズを加えたことで、周辺まで高い解像性能を得られるようになった。
違うのは、GR IVでは2段分のNDフィルターを内蔵していた代わりに、GR IV Monochromeでは赤色のコントラストフィルターを内蔵している点。モノクロ写真では、黄色やオレンジ、赤、緑といった色のフィルターをレンズ前に取り付け、風景や人肌の調子をコントロールする技法がポピュラーだ。GR IV Monochromeが内蔵した赤色フィルターは強めのコントラスト効果が得られるものとして知られている。
本機での使い方も、空が暗く落ちるような、いわゆる赤フィルターらしい使い方を想定しているそうだ。ちなみにイメージセンサー前のIRカットフィルターはGR IVと同じ特性で、赤のセンサー感度は可視光域の700nm程度までとのこと。
内蔵NDフィルターがなくなった代わりに、最高1/16,000秒の電子シャッター撮影機能を追加。絞り開放でも速いシャッター速度が使えたり、高感度ノイズを作画に取り入れたい場合にも便利とのこと。この機能は後日、GR IVにもファームウェアアップデートで提供するという。
内蔵フィルターはレンズ内に差し込まれる仕組み。わずかだが光路長が変わるため、画質に影響が出ないよう注意して設計された。さらに詳しく言えば、GR IVのNDフィルターよりGR IV Monochromeの赤色フィルターの方が薄いため、フィルターを入れる影響はより少なくなっているそうだ。薄さと耐久性の両立を目指して苦労があったそうで、これもとことん高解像を楽しみたいモノクロ専用機には嬉しい点と言える。
AF性能はGR IV同等。AF補助光にも工夫
GR IV Monochromeも像面位相差AFに対応する。モノクロセンサーになったことでAF演算の情報が減るのでは? と質問してみたが、もともと色情報を多用するAFアルゴリズムではないそうで、「AF性能はGR IVと同等」とのことだった。
AFといえば、AF補助光にも変更が加えられている。GR IVでは緑のランプだが、GR IV Monochromeでは赤いランプに変わっていた。前述の赤色フィルターを入れると緑の光では機能しないためだという。そして、緑と赤では光の波長が異なるため、それを踏まえてAF動作にも調整を加えたとのこと。
さらに充実したイメージコントロール
画作りのテイストを選べるイメージコントロールには、白黒プリントの荒々しい雰囲気をイメージした「グレイニー」と、従来のハイコントラスト白黒ほどではないもののトーンカーブをS字に立て、被写体のエッジも立てることで都会的な表現を狙った「ソリッド」を新たに追加した。ベースモデルのGR IVにあったイメージコントロールも、テイストをそのままに名前を変更して搭載されているものがあり、様々なモノクロ表現の助けになるようなバリエーションが揃う。
おまけ:GRシリーズの現状あれこれ
現在のGRシリーズにおいて、28mm相当のモデルと40mm相当のモデルで人気に偏りはないとのこと。GR IV Monochromeの40mm相当バージョン(“GR IVx Monochrom”?)についても、要望を踏まえて様々な案を検討しているそうだ。
品薄の現状についても聞いた。発売済みのGR IVは好評で、相変わらずメーカー直販サイトでは抽選販売を継続中。以前より生産体制を増強して出荷台数を増やしているものの、それでも間に合っていない状況だという。ましてや出荷を絞ったりするようなことはない、と説明してくれた。
この品薄には近年の“コンデジブーム”が影響していると聞く。これは筆者の想像だが、もしブームでの需要が大きいのであれば、企業としてはブームの人達の気分が他へ移らないうちに早く買っていただく必要があるだろう。GRファンを待たせてしまうことも、ブームへの対応としても、出荷数を絞るメリットは見当たらない。
また会場では、“GRモノクローム”の構想は2020年頃からあったという話も伝えられた。現行機種がGR IIIだった時代だ。しかし当時は諸般の事情で製品化まで至らず、6年越しでついに正式発表の日を迎えられたと喜びを語っていた。


























