私はこれを買いました!

わずか2mmの薄型化が撮影体験を変えた

RICOH GR IV(大和田良)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2024年に購入したアイテムを1つだけ紹介していただきました。(編集部)

ポケットに入れて持ち歩きたいカメラ

GRを常用カメラとして持ち歩くようになって、もうずいぶん経つ。個人的には、内蔵フラッシュが使えたGR IIが気に入っていた。しかし、手ブレ補正やベースとなる画質の向上、細かな操作性の改善などを考えると、やはり常に最新世代のGRが最も使いやすい。そうしてGR IIIを長く使い、今年はIVへと移行した。

GR IVは、ほんの少し(2mmほど)薄くなったボディそのものが気に入っている。レザージャケットのジッパーポケットにGRを収めているのだが、以前はぎりぎりのサイズで、入れ方を誤るとジッパーに引っかかって傷がつきそうで気を遣っていた。今回のGR IVは、その出し入れが少しだけスムーズになり、撮りたい瞬間により素早く構えることができる。カメラというのは、まさにそうした細部が大切で、使い勝手の良さが撮影そのものを変える。

「それはお前の革ジャンに限った話だろう」と言われそうだ。実際その通りなのだが、わずかな違いが効いてくるのは、まさにそうした場面だと思う。GRは小さくて軽く、持ちやすいほうが良い。そのほうが結果的に、より多くの写真を撮ることになる。

もちろん、「やっぱりmicroSDよりSDのほうが良かったな」とか、「フォーカス性能をもう少し良くしてほしい」と色々思うことはある。しかし、小さくてよく写るカメラを選ぼうとすれば、結局はGRを持ち歩くという選択以外にないわけで、撮影した写真を見返していると、GRを持っていて良かったなあという気になる。

IVにも、IIIと同じく40mm相当のIVxは登場するのだろうか。旅行のときなど、28mmにするか40mmにするかでいつも悩む。ただ、結局どちらも持って行くので、やはりIVxの登場が待ち遠しい。

RICOH GR IV/18.3mm/プログラムAE(1/30秒、F2.8、+0.3EV)/ISO 2000

近況報告

最近はもっぱらゼミの学生と多色刷りゴム印画の実験をしている。重クロム酸カリウムを使わずに、クエン酸鉄アンモニウムを用いることで毒性の低いゴム印画ができるのだが、これがなかなか安定しない。来年の課題としたい。

大和田良

(おおわだりょう):1978年仙台市生まれ、東京在住。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、同大学院メディアアート専攻修了。2005年、スイスエリゼ美術館による「ReGeneration.50Photographers of Tomorrow」に選出され、以降国内外で作品を多数発表。2011年日本写真協会新人賞受賞。著書に『prism』(2007年/青幻舎)、『五百羅漢』(2020年/天恩山五百羅漢寺)、『宣言下日誌』(2021年/kesa publishing)、『写真制作者のための写真技術の基礎と実践』(2022年/インプレス)等。最新刊に『Behind the Mask』(2023年/スローガン)。東京工芸大学芸術学部准教授。