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ライカ、100周年イベントを世界6か国で開催。ジョエル・マイロウィッツら出演の映画も製作中

ライカカメラ社は、2025年の「ライカI」誕生100年に関連した取り組みに関する記者会見を実施。記念イベントや写真展、ドキュメンタリー映画の公開について予告した。

ライカIは、エルンスト・ライツ社(現ライカカメラ社)が1925年に発売した小型カメラ。大判カメラが一般的な時代に、実用的な画質が得られるハンディなスチルカメラとして受け入れられ、報道やルポルタージュ写真を広めたことで知られる。

「ライカI」が発表された1925年のライプツィヒ春季見本市
エルンスト・ライツ社のブース
1925年当時の広告。映画用フィルムを使った最小のフォーカルプレーンシャッターカメラ、24×36mmフォーマットの36枚撮り、扱いやすく軽量、明るいレンズ、撮影準備が迅速といった特徴を記載
小さなネガを引き伸ばすことで、これほど大きく精細なプリントが得られるという広告

世界6か国でイベント。日本は東京・表参道で

100周年イヤーのキーワードは「Leica - Witness to a Century」(“witness”には日本語で目撃者などの意味がある)。技術革新の重要性のみならず、写真という媒体の多様性もリスペクトした年になるという。現時点では以下の6都市でイベント開催が予定されている。

・2025年1月22日:ドバイ
・4月8日〜13日:ミラノ
・4月〜5月:ニューヨーク
・6月25日〜28日:ウェッツラー
・7月26日〜8月26日:上海
・10月:東京(表参道)

中でもミラノは「ミラノデザインウィーク」にあわせて開催。100年間のライカのデザインについて取り上げるインタラクティブな展示で、ミラノでの開催後にウェッツラーのエルンスト・ライツ・ミュージアムでも見られるようになるとしている。

ニューヨークのイベントには、ライカユーザーでもある有名ミュージシャンが出演するという。東京は、ライカストア/ライカギャラリーもある表参道で実施することが明らかになった。

メインとなるウェッツラーでのイベントは6月25日から6月27日にかけて開催。旧市街にある大聖堂でのコンサート、スティーブ・マッカリーとジョエル・マイロウィッツを招いたパネルディスカッション、セバスチャン・サルガドの写真展オープニング、現在撮影中の映画「A century of vision」(仮題)のワールドプレミアなどが行われる。27日のライツ・フォトグラフィカ・オークションでは1920年代の試作機“0型ライカ”が出品予定。

ライカ本社のあるドイツ・ウェッツラーでのイベント予定

同じくウェッツラーにあるライツパーク内のエルンスト・ライツ・ミュージアムでは、2025年に3つの写真展を予定。2月〜5月はライカカメラ社の写真アーカイブの中からストリートフォトの多様性を伝える「Street Magic」展を開催。6月から9月は、セバスチャン・サルガドのライカを使った作品を中心に展示。10月から2026年1月にかけては、毎年恒例の「ライカ・オスカー・バルナックアワード」(LOBA)の受賞者2名とファイナリスト10名の作品を展示する。

エルンスト・ライツ・ミュージアムの展示予定

世界のライカギャラリーでも特別展

世界に29あるライカギャラリーのうち、12のギャラリーで特別な展示を実施。2025年は毎月どこかのギャラリーで新しい展示が始まるという。

いずれもライカ・ホール・オブ・フェイム・アワードを受賞した伝説的なフォトグラファーと、現代のフォトグラファーの2人による展示になっており、いずれも各国ライカギャラリーのギャラリストが選んだ。一例として2月にはLAでジョエル・マイロウィッツとバーバラ・デビッドソンが、10月には東京・表参道でエリオット・アーウィットとジョン・サイパルによる展示が行われる。

ジョン・サイパル/John SYPAL プロフィール

1979年、アメリカ・ネブラスカ州生まれ。2004年来日し、2005年より写真展を開催しはじめる。2010年Totem Pole Photo Galleryへ 参加。

2015年 写真集「Tokyo Camera Style」Thames & Hudson 刊行
2017年 写真集「随写」Zen Foto Gallery 刊行
2022年写真集「銀園」Zen Foto Gallery 刊行

Leica x ジョン・サイパル / ライカオンラインストア

100年を振り返るドキュメンタリー映画「Leica – A Century of Vision」

写真技術と写真の歴史について、ライカを軸に展開されるというドキュメンタリー映画が6月に完成予定。35mmカメラの発展や、オスカー・バルナックの発明とそれが写真に与えた影響を伝えつつ、ライカで撮られた名作写真も紹介。ライカに縁のある写真家についてもインタビューを交えて紹介される。

監督のライナー・ホルツェマー氏は「カメラブランドの宣伝ではなく、独立したドキュメンタリー。100年の写真の歴史の中で、ライカが重要な役割を果たした」と説明。すでに200時間ほど収録したという中から編集し、90分の作品となる見込み。これから東京でもロケが行われる予定だという。

出演する写真家の1人であるジョエル・マイロウィッツは、ロンドンの街でストリートスナップを撮りながらインタビューに答えるシーンで出演。映画の撮影チームは大きな機材を使わず、混雑したロンドンの通りで見事に人々の中に溶け込んで撮影していたと振り返った。

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究