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メインターゲットは30代の男性に…10万通り以上のエフェクト表現が可能になった「instax WIDE Evo」
2025年1月21日 20:20
富士フイルムがワイドフォーマットフィルムを採用するハイブリッドインスタントカメラ「instax WIDE Evo」(以下、WIDE Evo)を発表した。2月6日(木)発売で想定価格は5万5,000円前後と、instax“チェキ”シリーズとしては少々値が張る印象だが、そのデザインがなかなかにカッコよかったので実機の様子をお届けしたい。
“Evo”といえば2021年発売の「instax mini Evo」(以下、mini Evo)が記憶に新しい。そちらはミニフォーマットフィルムを採用したモデルで、デジタルカメラとスマートフォンプリンターの両方の顔を持つ“ハイブリッドインスタントカメラ”として登場した。発売から3年が経過した現在でもグローバルで販売好調という。また、当初メインターゲットした男性だけでなく、女性からも幅広く支持されているとのこと。
人気モデルの続編ともいえる今回の「instax WIDE Evo」だが、1月21日(火)に都内で開催された「instax“チェキ”新製品発表会」で、そのコンセプトが明らかになった。
ワイドフォーマットでより作品づくりに没入
Evoシリーズは、しっかりと被写体と向き合い、そして自分自身と向き会いながら、没入感を味わいながらじっくり撮影してほしいというコンセプトを持つ。
既存モデルのmini Evoは「レンズダイヤル」「フィルムダイヤル」「プリントレバー」といった物理的な操作を楽しめるギミックも人気を博した要因となったが、WIDE Evoでもそうしたアナログ感のある操作体系が踏襲された。
WIDE Evoが採用するワイドフォーマットフィルムは、ミニフォーマットフィルムの2倍の大きさとなる。サイズが大きくなる分、表現の幅も広がるとして、各種アナログ操作をはじめ“ゆっくりと写真を撮影する”というプロセスを楽しんでほしいという。同社がWIDE Evoのメインターゲットに据えるのは「30代男性」だ。
カメラ本体は、黒を基調にメタリック素材を組み合わせた高級感のあるデザインとした。渋くてカッコいい、といった印象だ。
サイズ感は少し大きくてゴツイかなとも思ったが、厚みが薄いので、実際にはそのほかinstax“チェキ”のアナログカメラよりもコンパクトに収められている。
背面から見た様子。握った際に左手側にくるのがレンズダイヤルだ。そして右手側に位置するのがフィルムダイヤル。mini Evoと同様に、それぞれ10種類のレンズエフェクトとフィルムエフェクトを1部刷新して搭載している。この豊富なエフェクトもEvoの人気の一端だ。
WIDE Evoでは新要素も追加されている。レンズの鏡筒部分に「度合い調整ダイヤル」が新たに備わった。これはレンズエフェクトの効果を調整するもので、例えば「光漏れ」の角度を調節したり、「ビネット」の濃度を調節できるという機能になっている。調節幅は100段階となっており、これにより各種エフェクトを組み合わせるとトータルで10万通り以上のエフェクト表現が可能になる。mini Evoから大きくパワーアップした部分といえる。
本体上部には「フィルムスタイル」の切り替えボタンを備えている。6種類からフレームを切り替えることができる。
フロント面にあるつまみは「シャッターレバー」。これをぐっと押し下げて撮影する。同社が標榜する撮影体験へのこだわりが垣間見える。
以下がカメラの構え方のイメージ。大まかな順序としては、「レンズダイヤル→度合い調整ダイヤル→フィルムエフェクトダイヤル→フィルムスタイルボタン→シャッターレバー」の順に操作していく流れ。
もうひとつ忘れてはならないのが、プリント時の操作についてだ。本体右側面に備えた「プリントクランク」を巻き上げる動作をすることによって、プリント出力されるようになっている。
デザインの面では、表面に施されたパターンも興味深い。幾何学模様がこのカメラの印象をより渋く、クールに仕上げている。同社のミラーレスカメラ「GFX」味も感じられるデザインだ。パーツが分かれる部分を、幾何学模様が連続するようにしたところもコダワリなのだとか。
プロのフォトグラファーでも楽しめるカメラに
新製品発表会では、事前にカメラを試用したというフォトグラファーの長山一樹さんと、クリエイティブディレクター/アートディレクターの清水恵介さんが登壇してトークショーを行った。
長山さんは、エフェクトの多さとそれをダイヤルで操作する感覚がとても楽しめたと評価。またワイドフォーマットフィルムになったことで、普段の仕事とは違う「趣味での作品を撮ろう」という意欲もわいたと語った。
清水さんは、カメラのクラシックなデザインを高く評価した一方で、その操作感についても「慣れてくるととても使いやすい」と評価した。
WIDE Evoでの作品撮りのために京都に行ったという長山さん。古めかしいものを古めかしく撮ることを意識して、フィルムエフェクト「セピア」を選択して撮影した。
また、instax“チェキ”シリーズとしても最広角となるレンズについても言及。広角モードを使用した作品も紹介した。
旅の写真を撮影した長山さんとは反対に、身近な被写体を写真に収めたという清水さん。フィルムエフェクト「ビビッド」、レンズエフェクト「ビネット」を選択して“影の部分を意識”して撮影したという作品を披露。
清水さんは振り返ると、ビビッドとビネットの組み合わせが“直感的に好き”だったという。