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富士フイルム、操作スタイルもクラシックカメラ的な“チェキ“「instax mini Evo」。2.5万円

スマホ画像のプリントも可能 発表会に広瀬すずさん

富士フイルム株式会社は、インスタントカメラ“チェキ”シリーズの新モデル「instax mini Evo」を12月3日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税込2万5,800円。

チェキフィルム「instax mini」のプリンターを内蔵するデジタルカメラ。撮像部は1/5型CMOSセンサー。感度はISO 100~1600(プログラムAEで自動切り替え)。記録解像度は2,560×1,920。microSDHC/SDカードに記録する。レンズの画角は35mm判換算28mm相当。10cmまでの近接撮影が可能としている。

本体はブラックとシルバーで“高級感のあるクラシックなデザイン”を採用。instaxシリーズでは初という「レンズダイヤル」「フィルムダイヤル」「プリントレバー」を搭載し、アナログ操作によって作品をつくりあげる楽しさを追求したとしている。また、フィルムへの露光密度を従来モデルの2倍に高めており、より高画質なプリントを実現しているという。

製品名のEvo(エヴォ)は、呼び起こすという意味の「evoke」と、進化を意味する「evolution」に由来しているという。

外形寸法は87×122.9×36mm。重量は約285g。
背面には3.0インチのLCDモニターを搭載
天面。各操作部にはシルバー塗装を採用

100種類のエフェクトで“情景を感じたままに”

mini Evoの大きな特徴は“100通りの撮影エフェクト”を使用できる点。それぞれ10種類ずつ搭載したレンズエフェクトとフィルムエフェクトを組み合わせることで計100通りのエフェクトを利用可能とし、“情景を感じたままにチェキプリントで表現”できるとしている。

“レンズダイヤル”を回して「レンズエフェクト」を選択する
背面の“フィルムダイヤル”を回して「フィルムエフェクト」を選択する
撮影後は“プリントレバー”を引いて写真をプリントする
レンズエフェクトとフィルムエフェクトはぞれぞれ10種類ずつ用意されており、組み合わせることで100通りのエフェクトを利用できる
エフェクトの組み合わせ例

撮影画像のSNS共有も簡単に

専用のスマートフォンアプリには、mini Evoで撮影した画像をスマートフォンに転送できる「プリント画像保存機能」が新たに備わった。撮影した画像はinstaxのフレーム付き画像として保存が可能で、SNSなどで簡単に共有して楽しむことができるとしている。

また、新たな機能として、スマートフォンで撮影した画像をプリントする際に、チェキプリントならではの柔らかい風合いが楽しめるという「instax-Natural モード」と、色彩を豊かに表現できる「instax-Rich モード」が選択できるようになった。

mini Evoをスマホプリンターとして利用できる「ダイレクトプリント機能」や、遠隔操作に対応する「リモート機能」も搭載している。

以下、スマートフォン内の画像プリントの手順を確認してみた。

カメラの電源をONにすると自動で検知。一度接続すれば、次回以降は自動接続になる
スマートフォン内の画像からプリントしたいものを選択
転送中
数十秒程度でプリントは完了。プリント前に画像の調整も可能

新アクセサリー

instax mini Evo用カメラケース。価格はオープン。

instax mini Evo用カメラケース

写真を飾る際に利用するアクリルフレーム。価格はオープン。

アクリルフレーム

新フィルム「STONE GRAY(ストーングレー)」

グレーをベースにメタリックシルバーを際立たせたというフレームを採用した新フィルム。重厚なデザインで高級感を演出しているという。10枚入り。12月3日発売。店頭予想価格は税込869円。

「イメージング領域のリーディングカンパニーに」

同社は今年の4月、チェキをはじめとした写真フィルムやプリント製品を扱うイメージング事業部と、デジタルカメラなどを扱う光学・電子映像事業部を統合。新たにイメージングソリューション事業部を発足した。また、技術部門においてもイメージングソリューション開発センターを設立し、事業運営と開発拠点を一カ所に集約することで“事業のシナジー創出”に向けて動き出しているという。

富士フイルム株式会社取締役・常務執行役員 イメージングソリューション事業部長 山元正人氏(富士フイルム「Instax“チェキ”新製品発表会」より。以下同)

同事業部長の山元正人氏は、事業の統合について「両事業部がこれまでに培ってきたブランド力、マーケティング力、光学技術などを融合することで、撮影からプリンティングまでのイメージング領域を広範囲にカバーするリーディングカンパニーとして、ユーザーの写真・映像ライフを豊かにするというミッションの元に事業拡大を進めていく」と話した。

また、山元氏はこの新しい組織体制においても“チェキ”は事業の大きな柱であるとつづけた。初代の「Instax mini 10」が発売されたのは1998年。2000年代にはグローバルにチェキの人気が広がり、現在では100を超える国と地域で販売しているという。また、2019年からは「don't just take, give.(撮るだけじゃない、あげたいから。)」を世界共通のキャッチピーとし、今後もチェキプリントならではの価値を伝えながら、多くの製品をラインアップしていくと意気込みを語った。

富士フイルムグループの2020年度の売上高は2兆1,925億円。このうちイメージング事業の売上高は2,852億円だった。なお、2021年度上期のイメージングソリューション事業の売り上げは1,483億円で昨対比+30%を記録したという。この背景について山元氏は「2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、外出やイベントの自粛でどうしても写真を撮影する機会が減少していたが、今年になってワクチン接種が進み経済活動が戻りつつある」と説明した。

“高級感の中にクラシカルな雰囲気を醸し出す”

「instax mini Evo」でクラシックなデザインを採用した理由について山元氏は、「写真の楽しみ方が変わってきている」とユーザーの好みの変化について分析を踏まえながら説明した。昨今はレンズ付きフィルム「写ルンです」の人気が高まるなど、アナログに回帰している傾向もあるとして、若い世代でクラシックの良さを見直す動きが出てきていると説明。

「デザイン性はクラシカルだが、決して古いわけではなく高級感がある。高級感の中にクラシカルな雰囲気を醸し出す」というのはデザインの観点で同社の得意な部分であるという山元氏。そこにデジタルの技術をふんだんに取り入れて「ハイブリッド感を出していく」と、mini Evoのコンセプトについて伝えた。

「エフェクトは直感です」

製品発表会には女優の広瀬すずさんが駆け付けた。チェキの従来機も使用している広瀬さんは、新モデルのmini Evoの第一印象について「どんどんクラシックなデザインになっていくので、新しいチェキを見るたびにワクワクします」とコメント。また、実際に使用してみて「本格的な撮影をしているという気持ちが高まっていくのですが、実際は簡単に操作ができました」とその操作感について感想を話した。特にダイヤルを操作するカチカチ音に「アナログ的な音が心地よかったです」と語った。

女優の広瀬すずさん。mini Evoに合わせてクラシカルな衣装で登場

広瀬さんが撮ったお気に入りの一枚。自宅のベランダで撮ったという写真に「私は何もしてないんです。なのにオシャレに撮れたんです」と広瀬さん。新フィルム「STONE GRAY」のフレームデザインについては、「写真がとてもかっこよくてインテリアにもなりそう」とコメントした。

広瀬さんお気に入りの一枚。
会場に突如あらわれた“クリスマスマーケット”で撮影を試みる広瀬さん。エフェクトを選ぶときは「直感です」
撮った写真を披露する広瀬さん
広瀬さんが会場で撮影した写真。レンズエフェクトが「ぼかし」、フィルムエフェクトが「ノーマル」
本誌:宮本義朗