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ハイブリッドなインスタントカメラ、“チェキ”「instax SQUARE SQ10」発表会レポート

水原佑果さん、進化したチェキに盛り上がる

撮ったその場でプリントが楽しめる富士フイルムのインスタントカメラinstax “チェキ” シリーズに、スクエアフォーマットの「instax SQUARE SQ10」が新たに加わった。専用のフィルム「instax SQUARE Film」とともに5月19日に発売となる。

発売を1カ月後に控えた4月19日、都内にて発表会が開催された。新製品の紹介とともに、発表会の様子をお届けしよう。

SQ10がこれまでのinstaxシリーズと違うのは「ましかく写真」が撮れることだけではない。チェキとして初めてデジタルイメージセンサーとデジタル画像処理技術を搭載したことだ。

専用フィルム「instax SQUARE Film」は、画面サイズ62×62mm。従来の「instax mini」やワイド画角の「instax WIDE」の中間に位置する大きさだ。縦横比1:1のスクエアフォーマットは、古くは約90年前よりローライフレックスやハッセルブラッドなどに採用されてきた歴史あるフォーマットだが、最近ではinstagramなどのSNSを通して一般的なフォーマットとして浸透しており、スマートフォンのユーザーにとっても馴染みやすいだろう。

前面の蓋を開けて、10枚入りのフィルムパックを装填する。

SQ10は従来のチェキから大きく進化して、自動露出や人物検出、オートフォーカスなどの機能を備え、ピントや明るさなど狙い通りの撮影が可能となった。

また、10種類のフィルター、19段階のビネット(周辺光量の調整)、19段階の明るさ調整などの画像編集・加工機能を搭載。これらの掛け合わせによって作り出せるイメージは、なんと3,000通りにもなる。

撮影モードは、通常の「スタンダード」に加えて「バルブ撮影」や「二重露光」が選択できる。

背面には液晶モニターを初搭載。仕上がりイメージを確認しながらの設定、撮影が可能。操作はモニター下のコマンドダイヤルを使って、直感的に行える。

シャッターボタンは本体正面の左右それぞれにあり、左右どちらの手でも操作できるようになっている。

プリントは、これまでと同様にシャッターボタンを押すとプリントされる仕組みに加え、気に入った画像だけを選択してプリントできるので、フィルムを無駄にする心配は無用だ。

プリントアウト時に液晶画面に写真が排出されるイメージが映し出されるのは、見ていて楽しい。

電源は充電式バッテリーを使用し、microUSBケーブルによる充電も可能。内蔵メモリーには約50枚の画像を保存できる。

microSDカードをスロットを使用すればさらに多数の画像を保存できるので、メモリー容量を気にせずに撮影後に画像の編集や加工を楽しむことができる。

従来品と同様、三脚穴も備えている。

今後、アルバムやフォトフレーム、フィルムボックスといったinstax SQUARE Film専用のアクセサリーも展開の予定。

7月に発売が予定されているSQ10専用のレザーカメラケースは、黒くてシンプルなデザインで幅広いユーザーに受け入れられそうだ。カメラともよくマッチする。

新製品発表会では、富士フイルム株式会社・武冨博信イメージング事業部長による製品のプレゼンテーションに始まり、ゲストトークショー、タッチ&トライなどが開催された。

富士フイルム株式会社イメージング事業部長の武冨博信氏

スペシャルゲストとして招かれたのは、モデルの水原佑果さんと『Numéro TOKYO』の編集長・田中杏子さん。お二人には事前にSQ10を使ってもらい、その感想が語られた。

左から水原佑果さん、田中杏子さん。

従来のチェキを日頃より愛用してきたという水原さんは、モニターを確認してからプリントができるようになったSQ10の進化に驚きを隠せない。気に入ったフィルターは「Cornelius」だという。

作品のお披露目があり、実際にどのようにカメラを操作して撮影したのかデモンストレーションが行われた。

田中さんは、デジタルカメラは大量に撮れる反面、写真がどこにあるのかわからなくなるというデメリットに触れながら、SQ10なら「形にして残せる」「選んでプリントできるのでフィルムを無駄にしなくていい」と嬉しそうに語った。

そして最後は、SQ10を手に持ってのフォトセッション。発表会は賑やかに締めくくられた。

1点もののプリントを作るインスタントカメラは、プリントの独特の風合いに人気は高いものの、撮り直しや複製ができないため手を出しにくかった人もいるだろう。

デジタル化したSQ10は、これらをクリアしながらチェキらしい不自由さをほどよく残し、デジタルカメラともアナログカメラともまた違った、ほかにはない魅力を持った1台に仕上がっている。発売を楽しみにしている人、少なくないのでは。

丸橋ユキ

カメラ誌出版社を経てフリー。雑誌や書籍での撮影を中心に、執筆や撮影指導、その他依頼撮影に従事。被写体は、郊外、自然、こども、暮らしなど。
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