ニュース

実写速報「Xperia PRO-I」 1型センサー搭載の24mmカメラで20コマ/秒連写をさっそく試してみた

1.0型センサーの搭載など、特にカメラ性能の進化面で注目を集めているソニーのAndroidスマートフォン「Xperia PRO-I」。今回、製品に触れる機会を得たので、その撮影性能を中心にサイズ感や特徴的なデザインなどをお伝えしていきたい。

実機を手にした第一印象

Xperia PRO-IのサイズはW72×H166×D8.9mmで、重量は約211gだ。iPhone 13 ProがW71.6×H146.7×D7.65mmで重量約203gなので、長さを除けばサイズ感は近いことになる。

ディスプレイサイズは21:9のアスペクト比を採用した6.5型のため、iPhoneなどに慣れた手からすると少し長めに感じるのは事実だが、特にiPhone 13シリーズを持った後にXperia PRO-Iを持つと、数値以上にその薄さの違いが感じられる。両機の差は約1mmほどだが、側面の特徴的なリブパターンとあわせて手への納まりやグリップ感は想像していた以上に高いことが実感された。

Xperia PRO-Iの第一印象を一言で表現すると凝縮感という言葉が素直な感想だった。側面には金属部材が用いられているが、手指へのあたりが柔らかで、金属に触れている感じが余りない。それでもひんやりとした手触りは柔らかな金属塊を握っている、という感覚をもたらしてくれた。しなやかな金属感というといささか情緒的に感じられるかと思うが、「柔らかい金属を握っている」というのが率直に抱いた感想だった。

秘訣はリブパターンのフィット感にあるように思う。内部パーツが詰まっていることを想像させる重量感とともに、その手触りはまず本機の造りの丁寧さを感じさせるものだった。

フロストブラックの光沢を抑えた本体カラーも、全体の印象を引き締めることに一役買っており、ディスプレイから側面、そして背面へと直線主体の本体デザインに凝縮感を与えているように感じられる。

24mmカメラ

背面に配されたメインカメラは1型センサーを搭載した24mmカメラをセンターに、超広角の16mmカメラと標準域の50mmカメラで構成されている。24mmカメラの直下には3D iToFセンサーが配されている。

細かなスペックは以下記事でも整理しているので、ここでは概略のみに止めるが、ぜひあわせてご参照いただければ幸いだ。

24mmカメラのユニットパーツ

パッとメインカメラ部を見て目に飛び込んでくるのが、レンズ銘に「Tessar」が用いられていることだろう。また向かって右脇には「ZEISS」のバッジが配されているほか、左脇にはマイクが1カ所設けられている。Tessar銘の24mmレンズを採用した1.0型センサー搭載機というと、同社のレンズ一体型カメラ「RX0」シリーズが思い起こされることろだ。

ZEISSバッジは本体にしっかりと別パーツとして埋め込まれているようで、表面は透明なパネルで保護。背面パネルとは面一となっており、質感の高さと高級感を放っている。シールで簡易的に表現されたものではない点からも、今回のレンズには同社の並々ならぬ想いが込められているように感じられる。

左脇に配されたマイクは、メインカメラで捉えた被写体の音声をよりクリアに捉えることを目的に、天地それぞれに配されたステレオマイクとは別に新設されたもの。静止画と動画の両面で撮影体験を押し上げようとの意図が伺える仕様となっている。

連続撮影で1型センサー搭載24mmカメラの実力をチェック

残念ながら今回触れる機会を得た実機はまだ試作段階とのことで、50mmカメラや動画撮影モードでの瞳AFやオブジェクトトラッキングの確認をすることはできなかったが、注目の1型センサー搭載24mmカメラの実力の一端を垣間見ることができた。

以下、モデル1名を被写体にAF/AE追従撮影をした結果をご覧いただきたい。

設定はコンティニュアスAFにセット。「顔/瞳認識」を有効にし、ドライブモードは「連続撮影:Hi」にした。ほぼ全面をカバーするという像面位相差エリアのAF挙動を見る目的でフォーカスエリアは「ワイド」に。

撮影モードはマニュアルとして、シャッタースピードは1/160秒で固定。ホワイトバランスとISO感度はオートに任せた。アスペクト比は4:3、絞りはF2を選択している。

モデルには、画面奥側から撮影者のほうへ向かって自然に歩いてきてもらい、撮影者前でターン。一回転した後、画面反対側の奥へ向かって歩いてもらった。

スタート地点でのモデルとの距離は約2〜3mほど。この位置でシャッターボタンを半押しすると人物の顔を認識し認識枠が合焦したことを示すグリーンのサインが表示された。続けて歩いてきてもらうと、ほぼ2mくらいの地点から顔認識が瞳認識に切り替わり、目の前にきた段階では瞳を完全に認識。モデルの顔半分が動きに伴って髪で隠れてしまうことがあったが、認識枠はブレることなく、常に瞳を捉え続けていた。

撮影時の様子

まず、スタート地点から。モデルとの距離は約2〜3mほど。この段階で人物の顔を検出して、しっかりと合焦していた。測距位置は画面端近くだが、全面に位相差AFがあるとの言葉通り、中央付近と変わらない速度・精度で動作していた。

モデルとの距離はおよそ1mから1.5mほど。広角レンズでも、ある程度距離をとり中央付近を使用していれば変にパースがかかってしまうということもない。

撮影者の目の前にモデルがきた状態。ここで距離は1mをきっている程度。顔半分に髪がかかり片目が影に隠れてしまっているが、精度に変わりはない。

ここで一回転してもらった。瞳認識が外れた後もAFは後頭部を認識して追従。モデルの表情が見えると即座に瞳を検出して追従を再開していた。同時に腕の表情もつけてもらっているが、歪みなどの不自然さは感じられない。

続けて反対方向に回転動作。また画面奥へ向かって歩いてもらう。追い込んだ設定をしているわけではないが、モデル衣装のニットの階調もしっかり描き出しており、影になった部分がツブレてしまうこともない。

後方のベンチ前あたりまで歩いて戻ってもらった。認識枠は頭部のあたりを追従している。

戻った位置から再び反転してもらった。認識枠は基本的に頭部を検出した状態で、状況により瞳を検出する動作を示していた。試作機の段階とはいえ、実写でここまでの精度を見せていることを考えると、実に楽しみな撮影能力だと言えそうだ。

20コマを抜き出し

トータルでの連写時間は約10秒ほど。大きな距離を動いたというわけではないが、大きく半円を描くようにして画面奥から手前、右端から左端のセンサーエリアの中でのAF挙動をチェックした。ここでは撮影分より20コマを抜き出して掲出しているが、いずれのカットもしっかりとモデルの瞳に合焦していることが見てとっていただけるものと思う。

このテストは何セットか試したが、特筆すべきは撮影後すぐにまた連写を実施できたこと。しかも記録パフォーマンスの低下はみられないことには正直驚かされた。内部ストレージへの記録としていることもあるのだろう。スマートフォンの処理性能や内部ストレージ性能と画像や記録の処理性能の親和性の高さを感じた瞬間だった。

共通撮影データ:24mmカメラ / マニュアル露出(F2.0・1/160秒) / ISO 200

最短撮影距離付近では?

24mmカメラの最短撮影距離付近の描写を見た。フォーカスポイントは画面中央のピンクのバラ。距離にして、およそ10cmといったところだろうか。センサーサイズの大きさと薄型筐体にレンズを納めるバランスをとったということなのだろう、通常のスマートフォンのように寄ることができない点は使用時に注意が必要となりそうだ。ただし、結像部は十分にシャープでディティールもしっかりと描きだしてくれている。画面奥にかけてのボケの遷移も自然だ。

同じ位置からフォーカスポイントを変えずに絞りをF4に変更。ボケの変化を見た。先ほどは、輪郭がボヤけていた画面左側、紫色の花の姿がもう少しはっきりとしてきた。さらに奥に置かれている実機の画面もアイコンの並びがチェックできる程度に輪郭がはっきりとしてきている。

操作部やスイッチ部の詳細をチェック

Xperia PRO-Iでは他のXperiaシリーズと同じく独立シャッターボタンを搭載している。ボタン表面には綾目模様のパターンが施されており、滑り止めに一役買っている。ボタンフィーリングは押し込み時にクリック感があるもので、半押し時のストロークは中庸。AFとシャッターを切る動作をしっかりと指先でコントロールできる仕上がりとなっていた。

またシャッターボタン近傍にはファンクションボタンも搭載。従来はGoogleアシスタントボタンとして機能していたが、任意のアプリを即座に起動できるショートカットキーとして利用することが可能となっている。

外部端子類は底面側にUSB Type-Cを1基。天面側に3.5mmオーディオジャックを1着備えている。

電源ボタンは右側面の中央あたり。少し上側に音量ボタンが配されている。カメラアプリ「Photography Pro」使用時には、この音量ボタンを用いてズーム操作を行うことができる。

左側面下側にはストラップホールを搭載。スマートフォンでストラップを付けたい場合は、カメラケースなどを装着してケース側のストラップ穴を利用する、といった使い方が多かったが、本機では標準で松葉紐タイプのストラップを取りつけることができる。

このほか左側面にはSIMとmicroSDカード兼用のトレイがあるのみ。トレイは両面にカードを装着できる仕様となっており、SIM1トレイはnano SIM専用。SIM2トレイはnano SIMとUHS-I対応のmicroSDカードの排他利用となっている。

デュアルSIMで運用したい場合、記録メディアとしてmicroSDカードは使用できなくなるが、本体のストレージ容量も512GBと大きく、また速度面でも優れるため特に困ることは少ないだろう。データの書き出しに関してもUSB Type-C端子はUSB 3.2 Gen 2対応のため、かなり高速にデータを移すことが可能となっている点も使い勝手を押し上げているポイントだ。

ショールーム展示は11月下旬以降から

製品Webサイト上では実機のショールーム展示に関する案内が掲載されている。これによれば、銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神のソニーストアで11月下旬より先行展示が始まる予定だという。

同社によれば、すでに各ショールームへ実機展示の有無に関する問い合わせが続いている状況とのことだが、実際に製品に触れることができるのは、もう少し先になりそうだ。

1型センサーを搭載し、また本格的なカメラ仕様でも訴求しているXperia PRO-I。本稿では実写速報として、そのAF精度やスピードについて特にお伝えしたが、引き続きカメラアプリのインターフェースや実写レポートなどもお届けしていく予定だ。

本誌:宮澤孝周