ニュース

ソニー、1型センサーを採用した5G通信対応スマホ「Xperia PRO-I」

16mm/24mm/50mmの3眼構成 メインカメラは“可変絞り”も搭載

ソニーは10月26日、Androidスマートフォン「Xperia PRO-I」を発表した。ソニーストアおよび銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神の直営店、一部の通信事業者、家電量販店、ECサイトを通じて12月15日に発売する。カラーはフロストブラックの1色のみで価格はオープン。店頭予想価格(税込)は19万8,000円。

1型センサーを搭載

Xperia PRO-I最大の特徴は像面位相差AFを備えた1.0型センサーを24mmカメラに採用したことにある(焦点距離は35mm判換算値。以下同)。画素数は12MPながら、同社のレンズ一体型デジタルカメラ「RX100 VII」(2019年8月発売)で採用しているExmor RS CMOSセンサーを最適化して搭載しているという。

RX100 VIIのセンサー画素数は有効約2,010万画素だが、本センサーでは画素ピッチを2.4μmとしており、ダイナミックレンジに優れるほか、高感度画質も確保しているという。

24mmカメラの作例(提供:ソニー。他同)
24mmカメラの作例

画像処理エンジンは「BIONZ X for mobile」を搭載。また同社ミラーレスαシリーズやレンズ一体型機RX100シリーズの一部機種と同じく、この画像処理エンジンのサポートを担うフロントエンドLSI(Front-end LSI)も搭載することで、画質と処理性能を引き上げているという。

このほか、24mmカメラには「可変絞り」を搭載し、開放のF2.0だけでなくF4.0に絞った状態でも撮影できる。

24mmカメラで絞りをF2にして撮影した作例
24mmカメラで絞りをF2にして撮影した作例

その他のカメラ部性能

Xperia PRO-Iでは24mmカメラに加えて、16mmの超広角カメラと50mmの標準カメラからなる3眼構成を採用している。いずれもカールツァイスレンズとT*コーティングが用いられている。これらに加えてXperia 1 IIIやXperia PROと同じく3D iTOFセンサーも搭載。複雑な形状の被写体や暗所でのAFへの対応力を強化している。

各カメラのセンサーサイズは16mmが1/2.5型(画素ピッチは1.4μm)、50mmは1/2.9(画素ピッチは1.2μm)型となっている。24mmカメラは前記したとおり1型。画素数はいずれも12MPで統一されており、各カメラを切り替えた際にも同様のハンドリングで使用できることに配慮した内容となっている。

このほか24mmカメラと50mmカメラでは光学式の手ブレ補正機構を搭載。Xperia 1 IIIやXperia 5 IIIで採用された望遠カメラ側の屈曲光学系の採用はなく、焦点距離が50mmの標準域に設定されている。フロントカメラは8MP。

位置づけ

Xperiaシリーズの基本構成は「1」シリーズをフラッグシップとして、「5」シリーズを間に挟み、「10」シリーズを配した3ラインで構成している。今回ラインアップに加わったXperia PRO-Iは2月に発売されたXperia PROとともに「PROシリーズ」に属する製品として位置づけられることになる。

製品名に冠している「I」は「Imaging」の意。同社Xperiaシリーズのブランドコンセプト「好きを極めたい人々に想像を超えたエクスペリエンスを」を軸に、特にイメージングコミュニティに向けた製品として訴求している。

静止画・動画ともにリアルタイム瞳AFが使える

AFはXperia 1 IIIやXperia 5 IIIなどと同じく60回/秒演算による20コマ/秒の連続撮影に対応。24mmカメラの場合、AFのカバーエリアは撮像エリアの約90%をカバー。電子シャッター特有のローリング歪みの低減を可能にしたアンチディストーションシャッターも備えており、動体撮影への対応力の高さもポイントとしている。

24mmカメラの作例(リアルタイム瞳AF)
24mmカメラの作例(オブジェクトトラッキング)

カメラアプリはPhotography Proを本機でも採用。マニュアル操作やプログラム撮影など、ユーザーの使い方に応じた運用が可能となっている。

Photography Pro(イメージ)
24mmカメラの作例

また動画撮影アプリは、これまでの「Cinematography Pro」に加えて「Videography Pro」を追加搭載している。違いは、撮影後の編集作業への配慮。その場で撮影内容を調整したりチェックする使い方ではVideography Proを、事前の撮影準備をしっかりと行い、Look等を用いて編集前提の撮影を行う場合はCinematography Proを用いる、といったように、目的や用途に応じた使い分けが可能になっている。

Cinematography Pro(イメージ)
Videography Pro(イメージ)

またXperiaシリーズでは初だという動画撮影中の瞳AFやオブジェクトトラッキングに対応。このほか4K 120コマ/秒のハイフレームレート記録にも対応。撮影時から120フレーム/秒での記録に対応しており、後編集などでスローモーション動画に仕上げるといった加工も可能となっている。

このほかトップとボトムにマイクを配したステレオ集音に加えて、メインカメラ側にモノラルマイクを搭載。カメラ側の音声をよりクリアに収録することができるとしている。

大型の独立シャッターボタンを搭載

外観デザインは側面部に同社のレンズ一体型デジタルカメラRX0シリーズを思わせるリブパターンが施されている。

またシリーズに共通して搭載されている独立したシャッターボタンも大型化しており、Xperia 1 IIIやXperia PROと同じく綾目模様のパターンも施されている。またシャッターボタン近傍には任意のアプリを即座に起動できるショートカットキーも搭載(従来機種ではGoogleアシスタントボタンとなっていた場所)している。

このほか、スマートフォンでは別途ケース等に設けられることが多いストラップホールも標準で搭載。より撮影シーンを意識した仕様として盛り込んだとしている。

SocはXperia 1 IIIなどと同じ

SoCはXperia 1 IIIや同5 IIIなどと同じQualcommのSnapdragon 888 5G Mobile Platformを採用。メモリーの搭載容量は12GB、ストレージ容量は512GBとなっている。

ディスプレイはアスペクト比21:9の6.5型有機ELタイプを搭載。4K HDR表示のほか、120Hzでの駆動にも対応している。ガラスにはCorningのGorilla Glass Victusが用いられている。

電波帯は5G(Sub 6)に対応。ミリ波まで対応するXperia PROやXperia 1 IIIに一歩譲る内容となっている。

バッテリーは第3世代シリーズと同じく4,500mAhタイプを採用。3年使用しても劣化しにくい仕様だとしている。

このほか外部端子はUSB Type-Cポート(USB 3.2 Gen 2対応)のほか、3.5mmオーディオジャックを備えている。

外形寸法は166×72×8.9mmで、重量は約211g。IP65/68の防水・防塵に対応したボディ構造を採用している。

Vlog向けアクセサリーも充実

Xperia PRO-Iでは、ミラーレスαシリーズやレンズ一体型のRX100 VIIやRX0 IIでも利用できる三脚機能付シューティンググリップ「GP-VPT2BT」に対応。アクセサリーシューを備える金属製スマートフォンホルダー(83×36×28mm、約77g)を介して固定することで、動画撮影の幅をひろげることが可能となっている。

このほか、アスペクト比16:9の3.5型外付けモニター(56×93×11.6mm、約69g)もラインアップ。Xperia PRO-Iと有線接続することにより、自撮りやモニタリング使用も可能となっている。外付マイク用の接続端子も、このモニター側に備えている。

また専用のアクセサリーとして革製のカバー(Style Cover)も用意。グリップ感を高めることもできるとしている。

「A Brand New Xperia Announcement - October 2021」(YouTube)
本誌:宮澤孝周