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シグマ山木社長、ミラーレス用レンズに新しく誕生した“Iシリーズ“について説明

「光学性能・ビルドクオリティ・新しいユーザー体験」へのこだわり

新製品を紹介した、シグマ代表取締役社長の山木和人氏(配信画面より。以下同)

株式会社シグマは12月1日、フルサイズミラーレスカメラ用の交換レンズ「24mm F3.5 DG DN | Contemporary」 、「35mm F2 DG DN | Contemporary」、「65mm F2 DG DN | Contemporary」を発表した。オンライン配信による新製品発表会「SIGMA STAGE Online」にて、同社代表取締役社長の山木和人氏が製品についての説明を行った。

冒頭、山木氏はミラーレスカメラ用交換レンズに関する同社の計画について説明。それは、同社がこれまでに開発してきた一眼レフ用交換レンズラインアップと同様の拡充を目指していくことだとした。

「Art」ラインでは、F1.2やF1.4の単焦点レンズ、F2.8のズームレンズやマクロ・魚眼レンズなどの特殊レンズの開発。「Contemporary」ラインではコンパクトながら高性能な製品を、「Sports」ラインでは、多岐にわたる超望遠レンズの開発を実施していくと説明。

この取り組みについて山木氏は、一眼レフ用交換レンズと同種のレンズを開発するということではなく、あくまでもミラーレスカメラ用に特化した性能を有する製品の開発だと強調した。同社は、新しいミラーレスカメラ用レンズに必要なものとは何かということを徹底的に分析した結果、「コンパクト」であり「優れた光学性能」を備え「優れたビルドクオリティ」であるということが求められるのだと結論付けたという。

上記3つの要素を出発点として開発されたのが、前述の交換レンズ3本。これに加えて既に発売済みの「45mm F2.8 DG DN | Contemporary」の計4本が、同社が新たに“Iシリーズ”と呼ぶレンズラインアップの第一弾となった。

“Iシリーズ”が打ち出す3つのキーワード

山木氏はIシリーズについて、同社製交換レンズにおいて展開している「Art」「Contemporary」「Sports」ラインと同列で新たに加わるものではなく、ミラーレスカメラ専用設計において新たなコンセプトを持つレンズについて与えられた特別な名前なのだと説明した。

また、Iシリーズが持つコンセプトについては「驚異的な光学性能」「感動的なビルドクオリティ」「新しいユーザー体験」という3つのキーワードを打ち出した。

“驚異的な光学性能”

新たな3本のレンズについて、コンパクトなサイズを実現しながら画質を最大限に高める設計を備えていると説明。光学性能の高さについてMTF曲線を用いた解説では、新たなIシリーズは“Art”ラインに匹敵する光学性能を実現していると説明した。

“感動的なビルドクオリティ”

山木氏は、スライド資料にてレンズの塗装前の写真を紹介。レンズフードを含む鏡筒全体が金属製となっている様子が説明された。金属部品を多く使用することで、コンパクトなサイズながら軽すぎない重量感と、所有感を得られる質感としているという。

細部についてのコダワリも解説。レンズフードは、表面には指の滑りに配慮したローレット加工を施しており、バヨネットには、心地よいフィーリングが得られるような特殊な構造を備えたとした。

フォーカスリングと絞りリングの可動について、洗練された機械設計と高精度な部品加工によって滑らかで正確な操作を実現したという。また、品位の高さを示す一例として絞りリングをクローズアップし、記された指標に対して、絞り値の目盛りが正確に合致するようになっていると説明した。

“新しいユーザー体験”

Iシリーズでの新たなユーザーインターフェースの提案として、まずフォーカスモードの切り替えスイッチにおける新構造を紹介した。これまでの同社製品では、レンズ鏡筒に対して前後に動かして切り替えをしていたが、「35mm F2」「65mm F2」の2本については、円弧上に移動する機構とした。これにより、スイッチの移動幅が大きくなり、より快適に操作することができるほか、ファインダーを覗いたままの操作にも対応しやすくなるという。

二つ目の特徴として、新たに開発したというマグネット式メタルキャップを紹介した。レンズ本体が金属製であることを利用して、磁性を帯びたレンズキャップとすることで、使いやすさとデザイン性が新しいIシリーズのコンセプトに沿ったものになったと説明した。また、オプションのカラビナ付きレンズキャップホルダーも併せて紹介している。

マグネット式レンズキャップの信頼性については、同社の会津工場にて行った試験の様子を紹介。ベテラン社員が、ウォーキングやジャンプを繰り返しながら、レンズキャップの耐久性についてひたすら試験を重ねていったという。

マグネット式メタルキャップとレンズキャップホルダーを持つ山木氏。
会津工場の社員が繰り返し耐久試験を行う様子を紹介。

本誌:宮本義朗