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パナソニック、LUMIX Sシリーズ各機のアップデート内容を予告

リアルタイム認識AF・動画性能を強化 S1/S1R/S1H/S5が対象

対象製品のひとつ「LUMIX S1」

パナソニックは11月5日、35mm判フルサイズミラーレスカメラLUMIX Sシリーズ各機のファームウェアアップデートに関する内容を予告した。最新ファームウェアの公開は、各機ともに11月24日のリリース予定となっている。

対象機種はLUMIX S1、S1R、S1Hのほか、S5も含まれている。S1、S1R、S1Hの内容は、LUMIX S5で対応済みとなっていたリアルタイム認識AFへの対応を含むものとなっており、このほか1点または1点+補助AF使用時の認識AFへの対応などが盛り込まれる見通し。動画撮影面でも縦位置での記録撮影に対応するなど、使い勝手の向上も企図したアップデートとなっている。また、5Kの動画記録対応はS1Rのみの対応となっている(11月24日公開予定の内容)など、機種ごとのアップデートも多数。特にS1Rでは動画面の強化が目立つ内容となっている。

これらのうちLUMIX S1に関しては、2021年春の更新内容についても同時にアナウンスされた。別途有償のアップグレードソフトウェアキー「DMW-SFU2」(税別2万円前後)が必要とはなるものの、5.9KやC4Kによる動画の内部記録への対応や、外部レコーダー「NINJA V」(ATOMOS)を用いたRAW動画出力(HDMI経由)にも対応する見通し。

LUMIX S5はVer1.1からVer2.0へのメジャーバージョンアップとなっている。内容はC4K動画記録やRAW動画出力、動画撮影アシスト機能への対応(LUMIX S1Hで搭載済みとなっていた)への対応のほか、新しいフォトスタイル「L.モノクロームS」や「L.クラシックネオ」の追加、1点または1点+補助AF使用時の認識AFへの対応などが盛り込まれている。

予告内容の詳細は以下のとおり。内容は基本的に引用として、適宜番号を付すなどして整理している。

LUMIX S1/S1R/S1H(各機共通)

更新バージョン

LUMIX S1:Ver1.5→Ver1.6
LUMIX S1R:Ver1.5→Ver1.6
LUMIX S1H:Ver2.1→Ver2.2

[1]AFの強化:「リアルタイム認識AF」に対応

AI分野の先進技術であるディープラーニングを応用した「リアルタイム認識AF」アルゴリズムに、人体の「頭部認識」を新たに加えることで、人物に対するAF追従性能を強化しました。動く被写体や、人物の顔が隠れてしまうようなシーンでも、頭部と人体の位置やサイズ、画角により撮影意図をカメラが自動で判別し、背景抜けを抑えながらフォーカスし続けます。人の顔と瞳を検知し、自動でピントを合わせる「顔・瞳認識AF」も「頭部認識」により、遠くの小さな顔も認識し続けることが可能になりました。強化された「人体認識」と「顔・瞳認識AF」の組み合わせで、人物へのより高精度なAF追従を実現します。また動物認識も搭載しているので、動物に対しても高いフォーカス性能を発揮します。

[2]「1点AF」、「1点+補助AF」設定時の自動認識AFに対応

AFモードを「1点」、「1点+補助」に設定時も、自動認識(顔・瞳認識AF・人体認識AF・動物認識AF)が有効になるので、認識した被写体に合わせて、ピントの追従精度が向上します。

[3]動画撮影時の「AF+MF」に対応

「AF+MF」をONにすると、AF設定時でも動画の撮影中にマニュアルフォーカス操作が可能になります。手前に小さな被写体があるシーンなどで、素早いピント合わせが可能になります。

[4]動画機能の利便性向上

・4K動画スマートフォン転送
・動画縦撮り判定:縦位置で撮影した動画を自動判別し、スマートフォンで再生時、縦向きで再生されます。

各機種ごとの強化点

以下、予告のあった内容を各機種ごとに整理した。一部の項目が重複している部分があるが、ご容赦いただきたい。

LUMIX S1

[1]V-Log撮影時のAF性能向上

専用アップグレードソフトウェアキー「DMW-SFU2」を購入後、本体にアクティベートする必要があります。
既に「DMW-SFU2」をアクティベート済みの場合には、再度購入いただく必要はありません。

[2]動画機能の利便性向上

・動画記録時の赤枠表示/SSゲイン操作

LUMIX S1R

[1]動画機能の利便性向上

・動画記録時の赤枠表示/SSゲイン操作

[2]5K(4,992×3,744)動画記録に対応

MOV形式による、以下の5K(4,992×3,744)動画記録に対応します。

[3]HLG(ハイブリッドログガンマ)動画

フォトスタイルに[2100ライク(HLG)]を追加し、10bit撮影時のHDR動画記録に対応します。

[4]ハイレゾ音声の収録

別売XLRマイクロホンアダプター(DMW-XLR1)を使用することで、ハイレゾ音声記録が可能になります。

[5]輝度レベル設定

10bit対応で、64-940(8bit時は、16-235)を追加します。

[6]4:2:2 10bit外部出力

HDMIでの、4K 60p/4K 50p 4:2:2 10bit外部出力に対応します。
※HDMI出力中は、カメラ本体SDメモリーカードへの動画記録はできません。

LUMIX S1H

[1]動画機能の利便性向上

・フリーアングルモニター回転時の画面反転表示の選択

LUMIX S5:Ver1.1→Ver2.0

[1]動画機能の強化

[1]Cinema4K(4,096×2,160)動画記録に対応
MOV形式による、以下のCinema4K(4,096×2,160)動画記録に対応します。

[2]ATOMOS社製Ninja V HDRモニター/レコーダーへ動画RAWデータを出力

ATOMOS社製Ninja V HDRモニター/レコーダーへHDMI経由で、5.9K 29.97pや4K 59.94pなどの動画RAWデータの出力が可能になります。ポストプロダクション時の編集やグレーディングに有効なApple ProRes RAWをNinja Vで記録できるので、プロの映像制作ワークフローへ柔軟に応えます。

[3]動画アシスト機能の拡充

・ベクトルスコープ表示…色相・彩度を測定し、適切なホワイトバランス設定をサポートします。
・マスターペデスタル…映像の基準となる黒レベルを設定できます。
・SS/ゲイン操作…シャッタースピードの「角度表示」、ゲインの「dB表示」に対応します。
・フリーアングルモニター回転時の画面反転表示の選択

[4]AFの強化:「1点AF」、「1点+補助AF」設定時の自動認識AFに対応

AFモードを「1点」、「1点+補助」に設定時も、自動認識(顔・瞳認識AF・人体認識AF・動物認識AF)が有効になるので、認識した被写体に合わせて、ピントの追従精度が向上します。

[5]動画撮影時の「AF+MF」に対応

「AF+MF」をONにすると、AF設定時でも動画の撮影中にマニュアルフォーカス操作が可能になります。手前に小さな被写体があるシーンなどで、素早いピント合わせが可能になります。

[6]V-Log撮影時のAF性能向上

[7]その他追加の機能:新しいフォトスタイルを搭載

・L.クラシックネオ…カラーフィルム風の、ノスタルジックで優しい色合い
・L.モノクロームS…ポートレート撮影に適した軟調で柔らかな印象のモノクローム

LUMIX S1:2021年春公開予定の内容

更新バージョン

Ver.2.0

注意点

動画MOVフォーマットおよびV-Log撮影に関する機能のため、専用アップグレードソフトウェアキー「DMW-SFU2」を購入後、本体にアクティベートする必要があります。既に「DMW-SFU2」をアクティベート済みの場合には、再度購入いただく必要はありません。

[1]ATOMOS社製 Ninja V HDR モニター/レコーダーへのHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応(※)

5.9K(5,888×3,312) 29.97pや4K(4,128×2,176)59.94p、アナモフィック3.5K(3,536×2,656)などの動画RAWデータをATOMOS社製 Ninja V HDR モニター/レコーダーに、HDMI経由での出力が可能になります。ポストプロダクション時の編集やグレーディングに有効な動画RAWデータをNinja Vで記録できるので、プロの映像制作ワークフローへ柔軟に応えます。
※対応する外部レコーダーが持つ、すべての性能を保証するものではありません。

[2]5.9K/Cinema4K動画SD内部記録に対応(※)

5.9K(5,888×3,312)やCinema4K(4,096×2,160)の動画をSDメモリーカードへ記録可能です。5.9KやCinema4Kの豊富な画素情報から映像を生成することにより、解像感の高い4K映像を得られます。

[3]4K 60p/50p 10bit記録に対応(※)

4K 60p/50p 10bit(4:2:0)の動画記録により、激しい動きのある撮影シーンでもコマ落ちが少ない自然でなめらかな映像で撮影でき、色彩やディテールをより高画質・高精細に記録できます。10bit記録は、グラデーションや微妙なニュアンスの階調をなめらかに記録でき、編集の自由度を広げます。

[4]4:3 4Kアナモフィック動画記録に対応(※)

4:3用アナモフィックレンズを使用することで、シネマスコープサイズへの編集・再生ができる4Kアナモフィック動画記録が可能です。4:3で撮影した動画を専用ソフトでシネマスコープサイズに編集することで、高精細な画質で美しいシネマスコープサイズの映像作品を制作することができます。

[5]タイムコード記録に対応(※)

カウントアップ、カウンターセット、タイムコードモードの設定が可能で、効率的なノンリニア編集をサポートします。

[6]デュアルネイティブISOのマニュアル設定が可能

撮影環境に応じて、ベース感度を「低ISO感度回路」と「低ノイズ・高ISO感度回路」の2系統からマニュアルで選択することができます。

本誌:宮澤孝周