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KYOTOGRAPHIE ポートフォリオレビュー 2019 体験記
国内外の専門家が作品についてアドバイス
2019年7月4日 12:58
今年で7回目の開催を迎えた「KYOTOGRAPHIE international photography festival」(京都国際写真祭)。京都市内の各所で行われる写真展示で知られるイベントだが、会期中、ポートフォリオレビューも行われている。
このページではポートフォリオレビューの事前審査を通過した写真家・三橋康弘さんに、レビューを受けたきっかけやレビューの実際、そこで得たものなどを三橋さんのレポートで紹介したい。(編集部)
三橋康弘(みつはしやすひろ)
1983年、神奈川県生まれ。システムエンジニアとして働きながら、写真作品を撮影している。被写体は鉄道、人物、風景など多岐にわたる。日本写真協会(PSJ)会員、オリンパスアンバサダー。デジタルカメラマガジンで鉄道写真とポートレートで構成した「列車と彼女と」を好評連載中。
4月14日(日)、京都で行われた「KYOTOGRAPHIE International Portfolio Review 2019」に参加した。このポートフォリオレビューは、京都国際写真祭で行われるプログラムのひとつで、今回で5回目を迎える。レビュアーとしてキュレーターやギャラリスト、アートフェスティバルの代表や出版者など、写真業界の関係者が参集。海外からもレビュアーが来日した。
このレビューには、京都国際写真祭のホームページから応募できる。毎年2〜3月に申し込みが始まり、申し込みの際には自分の作品を最大10点と、プロフィールやステートメント(日本語と英語)とともに事務局へ提出する。申し込んだところ、事前審査を無事に通過しレビューを受けることになった。
今回のレビューでは、2016年にエプソンイメージングギャラリーエプサイトにて個展を開いた作品「駅と彼女。」を持参した。
この作品は、日本の様々な駅でその駅や沿線に所縁のある女性を撮るプロジェクトで、鉄道の駅を通して日本を写し出し、女性を撮ることでファッションから時代性を残したいと考え、個展開催後も撮り続けている。
これまでは国内での写真作品発表が中心だったが、日本の鉄道文化を伝えるために、今後は海外でも発表していきたいと考えており、海外のレビュアーからどのような反応をもらえるのか見たいというのが、ポートフォリオレビューの参加目的だった。
レビュアー3名にいただいたコメント
当日は3名のレビュアーによるレビューを受けた。「このプロジェクト(作品)をいつから始めたのか」、「どうやって女性にアポを取ったのか」、「いつまで撮り続けるのか」など、作品に関する質問を事前に知らされた上で、レビュアーからアドバイスをいただいた。どのレビュアーも、真摯に作品をご覧いただいたことを感謝している。
以下、いただいたアドバイスをまとめてみた。
藤田瑞穂さん(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA学芸員)
- ステートメントで女性を撮る理由や、写真に人物がいることの意味を明確にする。
- ありがちな構図から何を見せるのか。
- 集合体として分かりやすく表現する。
アンドリュー・サニガーさん(Thames & Hudson 写真/デザイン部門編集者)
- 背景が似た写真をグルーピングして見せる。
- 各々の写真にキャプションをつける。
- 同じ人を撮り続けることで、時を経て変わった点が明確になる。
- 現代の生活を表す。
沈昭良(シェン・ジャオリャン)さん(写真家兼キュレーター)
- 並べて見ると面白い。
- タイトルをもっと想像できるものにしたらどうか。
- 写真のテイストを合わせるために、曇った日に撮る方が良いのではないか。
専門家の意見が聞けるまたとない場
レビュアーによって意見は様々だったが、作品のまとめ方や見せ方、撮影方法といったアドバイスを受けることができたのは有意義だった。
なおポートフォリオレビューというと、専門家に作品を見てもらい、厳しい意見がぶつけられるような内容を思い浮かべるかもしれない。実際にはそこまで緊迫した雰囲気では無かったが、思えば私自身は常に緊張していた。というのも、レビュアーからどのような質問が来るのか分からなかったからだ。
これからポートフォリオレビューに参加する方は、自分が持参する作品のことを熟考して、どのような質問が来ても語れるようにしておくことをオススメしたい。その一方で、自分でも気づかないことを第三者の目を通して知れるのも、ポートフォリオレビューを受ける意義だろう。
また、夜にはレビューを受けた写真家やレビュアーなどが集まったパーティーがあり、交流を深められたのも良い経験となった。今度は別の作品でまたレビューを受けてみたいと思う。