写真展告知
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2019
京都各所を舞台に繰り広げられる国際色豊かなフォトイベント
2018年11月28日 07:00
ギャラリー空間を離れ、独特の佇まいを持った街の建造物の中で写真を見る。そんな新しい楽しみを古都京都で始めたのが「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」だ。来年、7回目となるプログラムの概要が紹介された。
特徴的な会場と作品群
初年度の2013年は5万7,000人を超す来場者を集め、この春は十数か所での展示を行ない、観覧者は18万6,000人に達した。これまでに総計57万人がこの催しに足を運んだ。
国内外から選び抜かれたアーティスト、作品の魅力もさることながら、「作品のテーマにあった場所を見つけ、そこで展示空間を作り込んでいく」(共同ディレクター・仲西祐介氏)ことが、この催しの魅力であり、特徴だ。フランス大使のローラン・ピック氏も「想像しなかった京都に出会える」と、アートがもたらす新しい体験の愉しみを指摘する。
毎年、統一テーマを設定するが、2019年は「VIBE」とした。感覚を研ぎ澄まし、内なる中に眠る何かを揺るがし覚醒させる体験を目論む。
京都の歴史的な建造物が会場となり、そのセレクションもこの催しの醍醐味の一つ。まだすべてがフィックスしていないが、二条城 御清所でイズマイル・バリーの展示が行なわれる。パリなどを拠点に活動する作家で、その映像は見えることと認識することの境界を観る者に問いかけてくる。普段は一般公開されていないこの場所に大スクリーンを設置し、作品を投影する予定。
マグナム・フォトが数年前から始めた新たなプログラム「Magnum Live Lab」も京都を舞台に行なう。ここではマグナム・フォトのパオロ・ペレグレンと、フリーランスのフォトジャーナリスト、岡原功祐氏がそれぞれ開催直前から撮影を始め、制作プロセスを公開しながら、作品を制作していく。2人の写真家が京都で何を発見し、どのようなイメージを作り上げていくのか。これまでにない催しの一つだ。
巨匠アルバート・ワトソンの初公開作品も
メインプログラムとしてはアルバート・ワトソンの展示と、これまであまり知られることのなかったキューバの3人の写真家を取り上げる。
アルバート・ワトソンはヴォーグ、ローリングストーン、ハーパス・バザーなど世界各国の著名雑誌の表紙を数多く撮影してきた。ヒッチコック、スティーブ・ジョブスのポートレートは誰もが目にしたことのあるイメージだろう。ここでは彼の集大成を示すとともに、初公開となる写真もお披露目する。ワトソンは坂本龍一が1989年にリリースしたアルバム「ビューティ」のジャケット撮影を担当したが、そのオフテイクの数々を特別展示する。
「彼女、私、そして彼らについて キューバ:3人の写真家の人生と芸術」ではアルベルト・コルダ、ルネ・ペーニャ、アレハンドロ・ゴンサレスという3世代にわたる写真家を取り上げる。コルダはチェ・ゲバラの肖像写真を撮った写真家であり、ペーニャはセルフポートレートを通じ、キューバの今を表現してきた。ゴンサレスは革命をシニカルに描き、LGBTをテーマに取り上げるなど、キューバで語られることのなかった物語を示し続けている。
東京のギャラリーにも展示が巡回
また今年からKYOTOGRAPHIEの一部プログラムを東京の各所で開くTOKYOGRAPHIEもスタートさせた。今回は既存のギャラリーを使い展示を行なうが、京都と同様に東京ならではの場所を使った展開も視野に入れているようだ。
TOKYOGRAPHIEの展示の一つ、小野規「COASTAL MOTIFS」(11月21日〜12月21日@アンスティチュ・フランセ東京)は、「日本の未来の風景の一つ」として示されたものだ。岩手から福島までの海岸線約400kmには高さ7〜15mの巨大防潮堤が築かれている。政府は民家に対し、高台移転を指示し、防潮堤の内側には守るべき人の営みはない。
「日本は海と深くつながり、そこから育まれてきた文化がある。壁はそのコミュニケーションを拒絶する装置であり、日本の歴史の中でも大きな転換点にいる」と作者の小野氏は話す。
インディペンデントな運営により、自由な表現が行なえることも、この催しの魅力の一つになっている。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2019
会場
京都市内各所
開催期間
2019年4月13日(土)〜2019年5月12日(日)
開催時間
会場による
入場料
有料
TOKYOGRAPHIE
会場
東京都内各所
開催期間
2018年10月26日(金)〜2018年12月25日(火)
開催時間
会場による
入場料
無料