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【フォトキナ】ライカ「S3」「M10-P」の進化点を聞く

CL/ゾフォートの新色画像も 新アプリ「Leica FOTOS」は撮影後を快適に

ライカカメラAGのブース。ほぼ関係者向けエリアだった前回出展と異なり、ブース全体を来場者向けの展示コーナーにした。

ライカカメラAGは、フォトキナ2018開幕前日のプレスカンファレンスで新製品の「ライカS3」を発表。そのほか、「ライカCL」「ライカ ゾフォート」に新色追加を行った。フォトキナの会場にて、ドイツ本社でカメラ製品のマネージメントを務めるステファン・ダニエル氏に話を聞いた。

お馴染み、ステファン・ダニエル氏。

高解像度になった中判一眼レフカメラ「ライカS3」

ライカS3

——2015年登場の前モデル「ライカS」(Typ007)からの違いを教えてください。

ボディのグリップやメニュー操作など使い心地に関する評価が高いため、デバイス以外のハードウェアは従来と同じままにキープしながら画質を高めました。最新技術が入った6,400万画素のCMOSセンサー(45×30mm)は、15段のダイナミックレンジを持ち、ローノイズです。

また、その新レベルの画質を有しながら、3コマ/秒で撮影できる高速性もあります。来年春にローンチ予定で、現在は開発発表の段階です。

——従来モデルに対し、どのような要望がありましたか?

3,750万画素という解像度に対し、少し物足りないという声がありました。ライカSシリーズには熱心なファンがいるため、様々なフィードバックがあります。好評点はそのままに、6,400万画素としました。

この画素数を決定するには悩みましたが、十分に高精細で、かつPC処理においてもまだハンドリングしやすいファイルサイズという最適なバランスです。

——AF機能に違いはありますか?

従来と同じAFセンサーを搭載しています。

——動画機能の進化点はどこですか?

4Kのフルフレーム撮影ができます。SDカードに内部記録すると画質やビットレートを落とさなければなりませんが、HDMI出力から外部レコーダーに記録するとフルスペックで記録できます。ターゲットは、写真と同じ見え方の映像も欲しいというフォトグラファーです。

——35mmフルサイズミラーレスの「ライカSL」も動画機能を特徴としています。どのような違いがありますか?

SLシステムはより汎用性があり、明るいレンズや望遠ズームレンズもあります。ライカS3は、より高解像度の写真と、被写界深度の浅い“中判ルック”の特徴ある動画が欲しい人に向いています。SLは、よりワークホース的なカメラです。

パナソニック、シグマとライカSLのLマウントを共有すると発表。
「Lマウントアライアンス」で戦略的協業を行う。今後各社からカメラとレンズが発売される。今回のフォトキナで一番の話題。
ライカSLレンズの拡充予定。21mmの超広角まで「アポ」が付いているところに驚く。

——ライカS3の価格はどれぐらいになりますか?

まだ開発発表の段階なので、決まっていません。

——このシステムは2008年の「ライカS2」に始まりますが、レンズラインナップは予定のどれぐらい揃いましたか?

当初の計画にあった24〜180mmのレンジについては、すでに完成しました。

ライカSマウント。45×30mmのライカプロフォーマットを採用。

静かになった「ライカM10-P」

——M10-Pの静かなシャッター音には驚きました。仕組みを教えて下さい。

M10は、シャッターユニットをボディシャーシに直接ネジ留めしていました。M10-Pではそのユニットを直接取り付けず、ネジにブッシュのようなラバークッションを設けて振動を抑えています。フローティングさせているようなイメージです。シャッターユニット自体のメカなども少し改良しました。

——既存のM10に対し、アップグレードサービスは実施しますか?

リクエストがあり、検討中です。しかし、シャッターを組み付けるシャーシ自体が変わっているため、メインハウジングを取り替えなければなりません。技術的には可能ですが、コスト的に意味があるかどうかも含めて検討中です。

——ホットシューカバーがボディと同色になりました。

カメラ本体のカラーに馴染むようになりました。真鍮製で、裏側には押さえのボールまで入っています。世界で最も高価なホットシューカバーですから、失くさないように!

新スマホアプリ「Leica FOTOS」

——アプリ刷新の理由を教えてください。

いままではカメラの機種ごとにアプリがあって、何種類ものカメラを使う人はその都度別のアプリを立ち上げる必要があったのを改善したかったんです。アプリ自体の使い方も、カメラと接続する方法も、画像をスマートフォンに転送する操作もそれぞれ違っていて、使いにくい部分がありました。

——どのように操作しやすくなりますか?

まずアプリ上で使用するカメラを選ぶと、その機種で通信機能を立ち上げるためのガイドが表示されます。すると、例えばライカCLではQRコードが表示され、それをスマートフォンで読み込むことで接続が完了します。

画像再生時は、ダブルタップで100%表示に拡大したり、ワンボタンでスマートフォンのカメラロールに保存できます。

カメラで撮影してSDカードに保存したままだと、写真が牢屋に入ってるみたいで使い勝手が悪いので、このアプリで写真を解放してあげようという考えです。

RAW/JPGを転送可能。他のアプリに渡したり、SNSへのアップロードまで行える。
10月24日の公開に向けてベータテスターを募集中。

既存モデルに新色も

ライカCLの追加色は、日本でも人気のシルバーカラーに対する要望に応えたもの。

ダニエル氏、自身のライカCLを手に。普段はブラックのカメラを好むが、今回のCLはシルバーがお気に入りとのこと。

インスタントカメラ「ライカ ゾフォート」の新色ブラックは、ユーザーの誰かが真っ黒に塗ったゾフォートをWebにアップしているのを見つけて、「情報が漏れているぞ!」とライカ社内で話題になったとか。真っ黒ではなく、張り革部分にSOFORTの文字を大胆に配するデザインとなった。

本誌:鈴木誠