ニュース
FUJIFILM X-T3詳報
進化の積み重ねが光るAPS-Cミラーレスカメラ
2018年9月10日 15:00
裏面照射型になった「X-Trans CMOS 4」センサーを新搭載
35mmフルサイズフォーマットのミラーレスカメラが業界を賑わす中、2012年発売の「X-Pro1」から変わらず、APS-Cフォーマットをベストバランスとして推し進めてきた富士フイルムXシリーズの最新機種となるX-T3。万能モデルとして地道に改良を重ねてきた。
X-T3は、有効2,610万画素の「X-Trans CMOS 4」センサーに、画像処理エンジン「X-Processor 4」を組み合わせる。前モデルのX-T2(2016年9月発売)は有効2,430万画素のX-Trans CMOS IIIとX-Processor Proを搭載していた。
新センサーでは、AF用の位相差検出画素を50万ドットから216万ドットに増加。位相差AFのカバーエリア(水平/垂直)は画面内の50%/75%から100%/100%に広がった。低輝度限界は-3.0EV(従来モデルは-1.0EV)。
加えて、AFポイントの分割数アップと取得距離情報の演算を高速に行うことで、合焦精度を向上したという。X-H1では1つのシングルAFポイントから60の情報を得ていたところ、X-T3では240の情報を得ている。これにより特に高周波被写体の合焦率が高まったという。
顔・瞳認識AFは、顔の特徴に関するデータベースの充実により、動く顔に対する追従性が向上。X-T3ではAF-Cでも瞳認識が使えるようになった。
連写速度は、メカシャッターで最高約11コマ/秒。電子シャッターでは、1.25倍・16メガ相当のクロップ時に約30コマ/秒、フル画素では約20コマ/秒のブラックアウトフリー連写を実現。ローリングシャッター走査速度は1/27秒から1/60秒に高速化した。
X-T2では別売のパワーバッテリーホルダー装着時のみ使える「ブーストモード」があったが、X-T3はボディ単体でもブーストを可能とした。
動画機能
X-T2やX-H1では4K/30p記録までだったところ、X-T3は4K/60p動画記録に対応。4K/30pまではオールイントラフレーム記録に対応し、特に動きものなどの映像ではGOP(Group of Picture)方式に比べて後作業がしやすくなるとしていた。
また、4:2:2 10bitのHDMI出力(APS-Cフォーマット以上で世界初)、4:2:0 10bitのカメラ内記録が可能。ローリング歪みも減り、プロの使用に耐える動画仕様だという。動画撮影時にも瞳AFが使える。
「オート・ホワイトバランス・ロック」など便利な新機能
意外となかった便利機能としてアピールするのが、オートホワイトバランスでの撮影時に任意のホワイトバランスでロックできる「オート・ホワイトバランス・ロック」機能。
Xシリーズのホワイトバランスは、マニュアル取得やケルビン値の手動設定では再現できない、オート設定でのみ得られる領域があるという。好ましいホワイトバランスになった位置でロックしてしまえば、カメラを振っても同じ色で撮り続けられる点がメリット。各種ファンクションボタンに割り当て可能で、「押す間」「押してオンオフ切り換え」の挙動を選べる。
GFX 50Sで初搭載された「カラークロームエフェクト」をXシリーズで初めて搭載。色飽和しそうな強い赤の部分などでも、ハイライトとシャドーバランスの変更で立体感を残す。
加えて、モノクロ撮影時には温黒調と冷黒調を選べるようになった。モニターやEVFで色調を見ながら操作できる。
外観・操作系
基本的なスタイリングを継承しつつ、トップカバーの左右部分がより直線的になるなど、微妙なデザイン変更が見られる。前後のダイヤルはクリック感がよりハッキリとし、カメラの格に見合った操作感になった。
また、X-T3はシルバーとブラックが同時発売。価格も同じ。同社が特別モデルとして展開する「グラファイトシルバー」ほど凝った塗装ではないとの話だが、このシルバーカラーの質感は出色。クラシックカメラと見間違いそうな仕上がりを楽しみたい。
EVFは約369万ドットの0.5型有機EL。GFX 50SやX-H1と同じパネルを採用しつつ、輝度とアイセンサーの切り替え速度を向上している。視度補正ダイヤルにロック機構が備わったほか、ファインダー部分全体を3mm後方に出して、背面モニターに鼻が触れづらいよう工夫した。
撮影可能枚数は、背面モニター時で390枚(グリップ付きで1,100枚)、EVFで370枚(グリップ付きで1,050枚)。ブースト時は背面モニター時310枚(グリップ付きで890枚)、EVFで260枚(グリップ付きで740枚)。