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フルサイズミラーレスで新たなステージへ キヤノン EOS R 発表会

高画質と使いやすさを両立 一眼レフ事業も継続

2018年9月5日、キヤノンは35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレス構造のデジタルカメラ「EOS Rシステム」を発表。カメラボディ、レンズ、マウントアダプターを一挙に発表した。

EOS Rボディの価格はオープン。キヤノンオンラインショップでの販売価格は23万7,500円(税別)。10月下旬に発売される。

カメラ
・EOS R
・バッテリーグリップ BG-E22
・USB 電源アダプター PD-E1

レンズ/マウントアダプター
・RF24-105mm F4 L IS USM
・RF50mm F1.2 L USM
・RF28-70mm F2 L USM
・RF35mm F1.8 MACRO IS STM
・マウントアダプター EF-EOS R
・コントロールリング マウントアダプター EF-EOS R
ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R
 (ドロップイン 円偏光フィルター A 付)
・ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R
 (ドロップイン 可変式NDフィルター A 付)

EOSの伝統と技術を継承

発表当日、東京・品川のキヤノンマーケティングジャパン株式会社本社では、キヤノン株式会社代表取締役社長 COOの真栄田雅也氏が出席する発表会が開催された。

キヤノン株式会社代表取締役社長 COO 真栄田雅也氏

壇上、眞榮田氏はEOS Rの導入を「新たなステージへ」と説明。1987年に登場した一眼レフカメラEOSシステムの先見と市場での普及を紹介しつつ、新たなEOS Rは「伝統と技術を継承しながら新しい可能性を追求した」とアピールした。

新しいRマウントのため設計される交換レンズは、大口径およびショートフランジバックという、ミラーレス構造のメリットを享受できる。これを受け、RF50mm F1.2 L USMのような尖ったスペックのレンズの導入もアナウンスされた。

さらにレンズ側のジャイロセンサーとカメラボディのCMOSセンサーそれぞれの情報からブレ量を検出してブレを補正する「デュアルセンシングIS」も装備。補正効果はレンズのISと合わせて最大5段分と強力だ。AFは高エリア・高速・瞳AF付きに進化したデュアルピクセルCMOS AF。連写性能は約8コマ/秒となる。

「いまだ到達していない高画質と使いやすさを両立」とは眞榮田社長の言葉。新たに投入したフルサイズミラーレスカメラEOS Rに強い自信を見せるキヤノンだが、EOS Rの発売は一眼レフカメラ事業の縮小に繋がるものではないという。

というのもキヤノンのカメラ事業は、撮影領域の拡大をテーマとしており、今まで作れなかったレンズを実現するEOS Rはそれを適えるひとつの方策といえる。既存の一眼レフカメラとのカニバリゼーションの恐れもあるが、眞榮田社長は「いろんなカメラをフルラインナップで提供していくことに変わりはない。最終的にはお客様にチョイスしていただきたい」と語る。フルラインナップ戦略もまた、キヤノンのカメラ戦略だからだ。

ターゲットはフルサイズユーザー&ステップアップ層

キヤノンのミラーレスカメラといえば、APS-Cセンサーを搭載するEOS Mがすでに存在する。専用レンズはまだ少ないものの、デュアルピクセルCMOS AFなどミラーレスカメラに求められる仕様は叶えているEOS Mだが、フルサイズセンサーを搭載するEOS Rとの関係はどうなるのか。

7%増(2017年1月〜6月と2018年1月〜6月)のミラーレスカメラ市場において、この春キヤノンが投入したEOS Kiss Mは、5ヶ月連続で販売台数シェア1位の大ヒットを記録。その勢いもあり、いまやキヤノンはミラーレスカメラ市場全体においても強者の立場にある。ただし、フルサイズセンサー搭載ミラーレスカメラに限定すると、これまでソニーがαシリーズが先行し、9月下旬からはニコンがZ 7を投入。いよいよ戦国時代の様相を呈してきた。

キヤノンによると、フルサイズセンサー搭載カメラのユーザーの82%は、次もフルサイズを志向するそうだ。さらにAPS-Cカメラユーザーの70%も、次の買い替え・買い増し対象はフルサイズを希望しているという。

キヤノンマーケティングジャパン株式会社代表取締役の坂田正弘氏は、EOS Rのターゲットユーザーを「フルサイズカメラを使うユーザーと、APS-Cカメラを使うユーザーの両方」と定め、マーケティング施策を展開していくという。

35mmフルサイズ相当のセンサーを採用するEOS Rだが、他のフォーマットを包含、あるいは拡張していく予定はないのか。

キヤノン株式会社イメージコミュニケーション事業本部ICB製品開発センターの海原昇二センター所長は、「(APS-)Cサイズもできないことはないが、将来については語れない」と答えた。

※9月6日17時追記:記事初出時「新サイズもできないことはないが、将来については語れない」と記載していましたが、正しくは「新」ではなく「C」(=APS-Cサイズのこと)という発言だったことが判明したため、修正しました。

また、今回発表された4本以外のレンズについては、具体的なロードマップなどは明らかにされなかったものの、F2.8ズームレンズが予定されている。

本誌:折本幸治