オリンパスZUIKOレンズ 写真家インタビュー

鉄道写真でよく使う焦点域をカバー 基本性能の高さも魅力…山下大祐さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

集落から集落へ。トンネルと橋でつなぐ山陰本線は、余部橋梁で41mの天空へと躍り出る。夏場のロングカットでも鮮明な発色と画面周辺まで高い解像感が得られた。
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 64mm(128mm相当) / マニュアル露出(F8、1/400秒) / ISO 200 / WB:晴天

オリンパスZUIKOレンズを使う写真家に、作品表現でのポイントや使い勝手をお聞きする本企画。

今回は鉄道写真家の山下大祐さんに、被写体への想いや機材についての考え方などをうかがいました。

オリンパスOM-Dユーザーイベントなどでも活躍される山下さんですが、今回は交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」で撮影された作品を掲載します。ご堪能ください。

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山下大祐
Daisuke Yamashita

1987年兵庫県出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、フリーランスのカメラマンとして活動する傍らロケアシスタントで多様な撮影現場を経験。2014年からレイルマンフォトオフィス所属。鉄道会社の広告・カレンダーや車両カタログ、カメラ広告、鉄道誌のグラフ等で独創性の高いビジュアルを発表している。日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。個展「SL保存場」富士フォトギャラリー銀座(ともに2018年)。

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M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

写真にのめり込むようになったきっかけは?

小さい時から鉄道が好きで、鉄道雑誌のグラビアに憧れを抱いたことが写真を始めたきっかけです。雑誌の写真は読者投稿も多いなか、少なからず写真を生業にしているカメラマンの名前があって、彼らの仕事に憧れを感じていました。

現在の主な写真活動は?

私は鉄道写真ライブラリに所属する、いわゆる社カメです。そういう側面では日本全国の鉄道車両や鉄道風景の撮り溜めは常に必要で、季節のいい時はレールのある場所ならどこへでも赴きます。鉄道雑誌の取材仕事でもあちこち行きます。その行程で作品撮りができればベストですが、どうしても撮りたいものがあれば仕事がなくても行けるように調整します。会社員である以上はそこもクリアしておかないといけませんからね。

現在は静態保存蒸気機関車のランドスケープシリーズをつづけながら、最新のミラーレス機で走る鉄道を撮影しています。

今回は兵庫県の鉄道をテーマに撮影されました。鉄道写真における兵庫県の魅力とは?

やはり瀬戸内海と日本海、南北に2つの海があるので、海を背景に走る鉄道風景には光線状況の面でも事欠きません。複数の鉄道路線が束になって走る場所もあれば長閑なローカル線もあって、都市と田舎の差が大きいのも特徴です。よく日本の縮図を表す県と言われるのはこういうところでもあります。ロケーションの豊富さと鉄道種類の豊富さが兵庫県の大きな魅力でしょう。

姫路の市街は世界遺産とともにある。高速な静音連写を使って、城を背景に新幹線をベストな位置で写した。世界に誇る名城と高速列車との共演は、日本を象徴する1枚だ。
OM-D E-M1 Mark II /M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+Teleconverter MC-14 / 175mm(350mm相当) / マニュアル露出(F7.1、1/2,000秒) / ISO 400 / WB:晴天

「車両+風景」の作品で気をつけていること・こだわっていることは?

鉄道写真は車両を見せるのか、風景を見せるのかで大きく性格が変わります。どちらを見せたいのかの意図をはっきりと写真に乗せることに気をつけています。今回の作例はそれがもっぱら風景寄りであることがわかっていただけると思います。ただそれは平均して良い写真を撮るためのセオリー程度のもの、と留めておくことも意識しておきたいところです。

県の南北を移動する特急「こうのとり」が緑豊かな丹波山地を疾走する。新緑の自然な鮮やかさに注目。透過光で捉えるため、逆光の時間帯を狙って撮影している。
OM-D E-M1 Mark II /M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 67mm(134mm相当) / シャッター優先AE(F6.3、1/500秒、±0EV) / ISO 400 / WB:オート

鉄道写真を撮る上で活用されているWebサービスやスマホアプリなどあればご紹介ください。

JR時刻表のアプリ「デジタル時刻表Lite」であれば、歴史に裏打ちされた紙の時刻表の勝手の良さで列車時刻を調べることができます。最近では鉄道会社が公式アプリを配信することもおおく、自社路線の列車走行位置をリアルタイムに表示してくれるサービスも出てきています。本来、撮影のために公開された情報ではないでしょうが使わない手はありません。

そのほか太陽と月の位置を調べる「サン・サーベイヤー」なども常用しています。

オリンパスOM-Dシステムで気に入っているところは?

イメージセンサー面のゴミの付着と、画像への影響が相当抑えられていることです。レンズ交換がバリバリできて気疲れもないし、お手入れやレタッチにかかる時間と労力も抑えてくれます。個人的には、ここに言及した使用レビューがもっと目立ってもいいはずなくらいに思っています。

ロケでなくても毎日持って出ることができる小型・軽量さ、なのにカメラの中でできることが多くて比較明合成や深度合成、ライブNDなどを積極的に使っています。カメラの中でできるということは、それだけ撮影現場をクリエイティブな感覚にしてくれます。

山陽本線の須磨駅を見下ろす。隣には駅直結型の須磨海水浴場が広がる。海風の影響を受ける中、手ぶれ補正の効果で構図を安定させ、列車の位置を見極めてシャッターを切った。
OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 106mm(212mm相当) / マニュアル露出(F10、1/500秒) / ISO 200 / WB:晴天

「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」の特徴・使い所など教えてください。

鉄道写真によく使う焦点域を含むため出番が多く、出番が多いほど画質や使い心地などの基本性能は高いほうが嬉しい。そんな期待に応えられるレンズだと思います。特に画質面は素晴らしく、画面の隅っこにかけての結像の変化はほとんど感じません。まるでラージフォーマット用のレンズの中心部分を使っているようです。この辺りは手ぶれ補正量の大きさの恩恵かもしれません。

またズームによって鏡筒変化がなくズームリングの操作感もよいので、ズーム間流し撮りもしやすいです。カメラの高感度特性が向上してもレンズ開放値が明るいことには意味がありますし、そこを妥協していないところも嬉しいです。

海上にできた神戸空港へアクセスするポートライナー。冬至前後の日の出を狙った。強烈な太陽光だが暗部が程よく保たれて列車も判別できる。背景のトーンも優秀だ。
OM-D E-M1 Mark II /M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+Teleconverter MC-14 / 190mm(380mm相当) / マニュアル露出(F5.6、1/500秒) / ISO 200 / WB:日陰

告知がありましたらぜひ!

OM-D E-M1Xで撮影した鉄道写真がオリンパスWebサイトで公開されています。「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」で撮影した作品もありますので、よろしければぜひご覧ください。

OM-D プロギャラリー a Day with Railways

デジタルカメラマガジン最新号にも山下大祐さんが登場!

デジタルカメラマガジン2020年7月号の連載「日本列島 ZUIKO LENSの旅」に、山下大祐さんによる記事が掲載されています。

その連載は47人の写真家が47の都道府県を巡るというもの。山下さんは自分の育った地、兵庫県の鉄道風景を撮影しています。

協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部