オリンパスZUIKOレンズ 写真家インタビュー

「海」をテーマに個性豊かな被写体を探し求める…中村武弘さん

8mm F1.8 Fisheye PRO & 12-100mm F4.0 IS PRO

クロベンケイガニをカニの目線で撮影。高精度なAFにより動くカニの目にも正確に合焦する。OM-Dの小型ボディと強力な手ぶれ補正がこうした撮影を可能にする。
OM-D E-M1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / 絞り優先AE (F2.8、1/1,600秒、-0.7EV) / ISO 200 / WB:オート

オリンパスZUIKOレンズを使う写真家に、作品表現でのポイントや使い勝手をお聞きしていく本企画。

今回は中村武弘さんに、被写体への想いや機材についての考え方などをうかがいました。

ミラーレスカメラ「OM-D E-M1 Mark III」についての感想や、交換レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」についての作品をいただいています。

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中村武弘
Takehiro Nakamura

1979年、東京都生まれ。海洋写真家。幼いころより海や自然に触れて育つ。海中から海上の自然や水族館、船などを撮影する。沿岸の環境に惹かれ、磯や干潟、マングローブ林の干潟を長年のテーマにしている。日本写真家協会(JPS)会員。日本自然科学写真協会(SSP)会員。海洋写真事務所ボルボックスに所属。主な著書に『いそのなかまたち』(ポプラ社)、『しぜんひがた』(フレーベル館)、『沖縄美ら海水族館100』(講談社)、『干潟生物観察図鑑』(共著・誠文堂新光社)など

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M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

写真にのめり込むようになったきっかけは?

私の父は海洋写真家で海を大きなテーマに、海の生き物や船など様々なものを世界各地で撮影してきました。その父の影響を一番に受けたのが私でした。子供の頃の家族旅行は海で、物心つく前からいろんな海に行き、小学校高学年にもなると長期休みには荷物持ちで父の取材に同行するようになって、海を通し様々な経験をしてきました。

こうして海や自然に触れる機会が多い環境で育ち、東京に住みながらも海がとても身近な存在で、海と写真に惹かれていったことはとても自然なことでした。

現在の主な写真活動は?

人に「海を撮っている」と話すと、被写体は海中をイメージされる方がほとんどですが、私は海洋写真家を名乗り、海の様々なものを撮影しています。この海洋写真家は父が初めに名乗ったもので、広く海を撮る写真家を示していると私は考えています。

被写体は海中から海上の生き物などの自然、水族館、船などが主で、海の食材や標本写真を撮ることもあります。テーマとして撮影しているのは海の生き物で、磯や干潟などの沿岸環境の撮影には長年取り組んでいます。

今はある生き物をテーマにした写真絵本を出版すべく、数年かけて撮影しており、近い将来完成させることが目標です。

早朝の漁船で船に群がるウミネコが近寄ってきた。飛び回る鳥の動きを高速AFが的確に捉える。高倍率ズームで広角端が12mmであることは重要だ。
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 12mm(24mm相当) / 絞り優先AE(F4、1/2,500秒、-0.3EV) / ISO 200 / WB:オート

今回の作品は干潟や磯で撮影されています。その魅力とは?

磯遊びと潮干狩りは多くの人が幼少期に経験することであり、初めて行く海が磯や干潟ではないでしょうか。私の通う磯と干潟は東京の自宅から車で1時間という距離にあり、誰でも簡単に行くことができる場所にあります。そんな身近な海でありながら、多くの生き物が暮らし、地球環境にとって重要な役割を果たす場所でもあります。

磯は岩場、干潟は砂地の遠浅の海岸で、どちらも潮の干満の影響を受けて海中になったり陸になったりと大きく環境が変わる海です。その中で暮らす生き物たちの個性や生きる強さ、小さな命が集まり環境を支える力になっている驚きや感動が魅力です。

オリンパスOM-Dシステムで気に入っているところは?

様々な被写体に臨機応変に対応しなければならない自然をフィールドにする私にとって、撮影システムがコンパクトであることは非常に重要です。カメラバッグに超広角から超望遠のレンズ一式を入れて持ち運べるという点で、オリンパスの小型軽量なシステムは非常に優秀です。

また、海での使用後はメンテナンスが必要になるが、一歩前に踏み出す力になります。超望遠レンズでもライブビュー撮影を可能とする強力な手ぶれ補正に、信頼性の高いセンサーのダストリダクションシステムも忘れてはなりません。

魚眼レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」の特徴・使い所など教えてください。

対角線魚眼レンズは人の目に見えない範囲まで写し込む画角の広さが最も大きな特徴です。写し込まれた画は大きく歪み、遠くの物は小さく写り、手前の物はより大きく写ります。

私はこの魚眼レンズの特徴と、本レンズのレンズ前2.5cmまで寄れるというワーキングディスタンスの短さを利用してワイドマクロ撮影を好んで行います。生き物に寄って撮ると、その生息環境まで写し込み、生き物目線の画が撮れます。その時に魚眼レンズ特有の歪みが不自然に出ないように注意しています。

また、水中では”半水面”という下半分を水中、上半分を水上というように、水面を真ん中辺りにして撮影する手法があり、その時に本レンズが活躍します。

防水プロテクター PT-EP14を使って海中で捉えたミノカサゴ。広い画角を誇る「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」なら、魚の海中環境も余裕で写し込むことができる。
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO / 8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F2.5、1/250秒) / ISO LOW(64相当) / WB:オート

新製品「OM-D E-M1 Mark III」をいち早くお使いとききました。前モデルに比べて使いやすくなったと感じる主なところは?

取材地で星空が綺麗な時には夜空にレンズを向けることや、湾岸地域で星空を撮ることがあります。私にとって「OM-D E-M1 Mark III」で最も魅力的に感じたのは、それら星空撮影に関する部分で、前モデル「OM-D E-M1 Mark II」にはなかった長秒撮影に特化したBモードがモードダイヤルに加わったことと、星にピントを合わせる星空AF機能です。特に後者はとても重宝します。

それ以外では、手ぶれ補正効果の向上では信頼感が、前モデルまでなかったマルチセレクターの採用では快適性が増しました。新しい画像処理エンジン「TruePic IX」により可能になった5,000万画素手持ちハイレゾショットやライブNDなどもいつか試してみたい機能です。

ライブコンポジットを利用して北極星を中心とする星の円周運動と飛行機の光跡を、3時間かけて11,830枚撮影。星空撮影には開放F1.8の明るさが生きる。
OM-D E-M1 Mark III / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO /8mm(16mm相当) / マニュアル露出(F1.8、1秒) / ISO 200 / WB:オート
OM-D E-M1 Mark III。発売は今年2月。大手量販店での実勢価格は22万円前後(税込)。

スマートフォンでも撮影を楽しめるようになったいま、中村さんにとってカメラで撮影する意義とは何でしょう。

スマートフォンのカメラはとても便利で、写真を撮りたいと思った時に、すぐに取り出して撮影をすることができるため、日常生活で活用する機会はとても多いです。便利、簡単、すぐ撮れるという点でカメラはスマートフォンに敵いませんが、私にとってはスマートフォンでの撮影は日常の記録であり遊びです。

しかし真剣に被写体と向き合おうとなった時に、持ち出すのはカメラであり、そこにスマートフォンの介入する余地はありません。自分の意図する写真を撮るためには露出や画角、様々な機能をコントロールできることが重要で、撮影データにも多くの情報が必要です。仕事で写真を撮るという点を除けば、私がカメラを手にする意義は思い通りの写真を撮るためになります。

ダイビングボートから身を乗り出して海面近くにカメラを下ろし、ライブビュー撮影を行った。高い防塵・防滴性能が備わっているからこそ挑戦できる撮影方法である。
OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 17mm(34mm相当) / 絞り優先AE(F4、1/8,000秒、-0.3EV) / ISO 200 / WB:オート

告知がありましたらぜひ!

6月5日(金)〜6月17日(水)にオリンパスプラザ東京で「オリンパス水中フォトウィーク 2020」が行われます。

プラザ内のクリエイティブウォールでは中村武弘 写真展「東京湾の海」が開催されます。

詳細はこちらをごらんください。
https://fotopus.com/showroom/index/detail/c/2769

尚、新型コロナウィルスの感染予防・拡大防止のため、出展者、お客様、スタッフのマスクの着用、手指消毒を徹底など、様々な対策を取らせていただくことになり、お客様にはご不便をお掛けすることになります。ご理解の上ご来場ください。詳細につきましては、オリンパスプラザのホームページにてご確認ください。

皆様のご来場お待ちしております。

デジタルカメラマガジンにも中村武弘さんが登場!

デジタルカメラマガジン2020年6月号の連載「日本列島 ZUIKO LENSの旅」に、中村武弘さんによる記事が掲載されています。

その連載は47人の写真家が47の都道府県を巡るというもの。中村さんにはよく訪れるという、千葉県の磯・干潟での作品を解説いただきました。

制作協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部