岡嶋和幸の「あとで買う」

1,529点目:植田正治の写真と人生をまとめた永久保存版

平凡社『植田正治 写真するボク』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

平凡社『植田正治 写真するボク』

平凡社の別冊太陽シリーズは、32点目で『写真集を編む。』、368点目で『森山大道 写真とは記憶である』を紹介しました。そして本日は「砂丘」シリーズなど、「Ueda-cho」(植田調)という独自のスタイルで国際的に注目を集めた植田正治さんです。

写真家としての豊かな人生を辿る内容です。初めてお目にかかったのは私が沼田早苗の助手だったころで、漆塗りの特別バージョン「PENTAX 645 JAPAN」の広告撮影のときでした。モデルは植田先生(ずっとそうお呼びしています)で、そのときに撮影したアザーカットは植田正治写真美術館に飾られているほか、そのウェブサイトでも見ることができます。

他界される2000年まで何度かお会いする機会がありましたが、作品のほうはそれほど多く目にしたことがありません。植田正治写真美術館に1度だけ訪れたことがあり、代表作以外はそのときに展示されていたセルフポートレートのシリーズくらいでしょうか。本書ではそれらを含め、植田先生の作品と人生をより知ることができるでしょう。ファンのみならず、日本の写真史が好きな人にも貴重な1冊といえそうです。販売価格は2,860円です。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。