中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」

ねこのいる鉄道風景「ねこ鉄」②

今回のジョイテツも「ねこ鉄」の2回目をお送りします。注目してほしいのは、画面のなかのネコちゃんの大きさ。ネコちゃんがいると、アップばかりを狙ってしまいがちですが、あえてネコを小さく写す構図にすることで、ネコちゃんがのんびりと暮らせるローカル線の沿線の平和な雰囲気が伝わればと願いながら撮影しています。

ペンタックス*ist D 24mm相当 絞り優先オート(F8、1/60秒) ISO 200 WB:マニュアル

まずは都電荒川線で撮影したネコちゃん。立ったままでは見えない高い位置でお昼寝していたのですが、不自然な位置に傘があり、何かなと思って背伸びしてみると、ネコちゃんがスヤスヤとお昼寝中。直接ネコに光が当たらないように、住民の方がわざわざ日傘を取り付けていたんですね。なんとも気持ちよさそうな寝顔がたまりません。背面モニターのバリアングルやチルトができないペンタックス*istDでの撮影なので、ノーファインダーで撮影。いい感じに写ってくれました。

Nikon 1 J1 1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6(35mm相当) 絞り優先オート(F4、1/200秒) ISO 100 WB:日陰

こちらは僕のゆる鉄画廊がある三ノ輪橋電停付近で撮影。ウォーリーならぬ、ネコを探せ!的な作品になっていますが、見つけられましたか? さいきんめずらしい三毛猫ちゃんがいる、お稲荷さんの風景。三丁目の夕日っぽい世界で、とても気に入っている一枚です。

ニコンD3S AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm) 絞り優先オート(F2.8、1/750秒) ISO 200 WB:日陰

こちらは前回ご紹介した、阪堺電車の北天下茶屋の黒ネコちゃん。今度はかなり寄りすぎて、ネコではない生命体みたいに写ってしまっていますが、これはこれでインパクトがあり、気に入っている一枚です。ほとんど"マックロクロスケ"みたい(笑)。前回も言いましたが、ピンぼけだって、魅力的な写真はあるのです。

ソニーα7 FE 24-70mm F4 ZA OSS(24mm) 絞り優先オート(F4、1/500秒) ISO 400 WB:日陰

右側に写っている、小湊鐵道の養老渓谷駅に到着した列車の運転士さん。駅について最初にしたことは、ネコの餌やりでした。ネコってこんなに笑顔になるんだ!?って驚くほど、満面の笑みを浮かべていて、見ているだけでほっこりします。

ペンタックスK-x 36mm相当 プログラムオート(F4、1/180秒) ISO 800 WB:マニュアル

養老渓谷駅の手作りのベンチは、ネコたちのお気に入り。ネコって本当に自分だけの居場所を探す天才ですよね。ドライフラワーが飾られた駅舎が素敵だったので、それも入れてパチり。左右に振らず、真正面から正対して撮ることで、このかわいい風景を箱庭のように写真に閉じ込めました。養老渓谷駅にはたくさんのネコちゃんがいましたが、みんなもらわれていってしまったそう。またネコがいるとの情報もあるので、撮りに行きたいな。

ペンタックスK-7 smc PENTAX-DA* 12-24mm F4 ED AL [IF](31mm相当) 絞り優先オート(F2.8、1/90秒) ISO 400 WB:マニュアル

こちらも同じ小湊鐵道の高滝駅で撮影したもの。生まれたばかりの子猫ちゃんが、衝撃的に可愛い! 駅のベンチの上にいたので、撮影させてもらっていたら、最初は元気いっぱいだったのに、その場でウトウト。まだ赤ちゃんなんですね〜。でもその姿におぢさんノックアウト。ペンタックスの仕上がり設定であるカスタムイメージの「ほのか」で撮影しました。ピンク色のお鼻がかわいい!

ペンタックスK-7 smc PENTAX-DA* 12-24mm F4 ED AL [IF](18mm相当) 絞り優先オート(F8、1/125秒) ISO 280 WB:マニュアル

この写真は「ゆる鉄」写真集の表紙も飾った作品。さっきの子ネコちゃんとの最初の出会いのシーンです。僕が駅に着いたら、よちよちと子猫たちが近づいてくるではあ〜りませんか! 慌てて撮ったのですが、実は2EV(+2段)くらいの露出オーバーだったので、かなり露出を修正しています。僕のあとをヒョコヒョコついてくるので、何度も駅舎に戻り、走って戻って同じシーンを撮ろうとしましたが、こんな風に整列してくることは二度とありませんでした(泣)。まぁ露出補正していたら、間に合わなかったと思うので、とりあえず撮ることの大切さを実感した一枚になりました。

ペンタックスK-7 smc PENTAX-DA* 16-50mm F2.8 ED AL [IF] SDM(27mm相当) プログラムオート(F5.6、1/125秒) ISO 200 WB:マニュアル

こちらも高滝駅。午後の光を受けて、幸せそうに過ごす野良猫たち。なんとも優しく、ゆる〜い風景を記録しました。ネコの写真はどうしてもネコちゃんをアップで撮りたくなるけど、そこは心を鬼にしてネコちゃんがいる風景をメインにした構図にすることで、ネコちゃんたちの動きも生き生きしてきます。やさしい光が生み出す、ネコの影の完璧なシルエットが、記憶に残る一枚になりました。

ソニーα7 II FE 16-35mm F4 ZA OSS(16mm) 絞り優先オート(F7.1、1/1,600秒) ISO 320 WB:日陰
ソニーα7 II FE 70-200mm F4 G OSS(200mm) 絞り優先オート(F5.6、1/800秒) ISO 320 WB:日陰
ソニーα7 II FE 16-35mm F4 ZA OSS(16mm) 絞り優先オート(F5.6、1/1,250秒) ISO 320 WB:日陰

続いてはネコの動きを組み写真で表現したもの。残念ながら亡くなってしまいましたが、写っているのはひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅(なかみなとえき)のアイドル猫、オサムちゃん。晩年はじっとしていることが多かったオサムちゃんですが、この頃はまだ元気で、駅構内をウロウロと見回っていました。その様子を写真で表現するために、あえて3枚ともオサムちゃんを画面内の同じ位置にフレーミングし、背景を変えることで、ネコの動きを表現してみました。静止画であるスチール写真で、動画のような動きを表現するのは難しいですが、いろいろ工夫すると、被写体の生き生きとした動きを表現することもできるのです。

ソニーα9 FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(143mm) 絞り優先オート(F14、1/320秒) ISO 3200 WB:日陰

最後は撮影したあとに、自分の目がおかしくなって双頭のネコが見えるようになったのかとビビリましたが、まるでクローンかと思うほどそっくりな兄弟ネコが、重なって歩いているだけでした。「幽体離脱ニャー!」って感じでしょうか(笑)。遠く後ろのほうにチラッと武蔵野線の電車が写っているので、これは立派な鉄道写真です。と言い張ってみます(笑)。

2回にわたってお見せした「ねこ鉄」の世界、いかがでしたでしょうか? ローカル線のゆる〜い時間の流れとネコの相性は、やっぱり抜群でした。

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中井精也へのご相談は、下記フォームからTwitter名とTwitter IDをご連絡ください。のちほど中井精也よりダイレクトメッセージにてご返信いたします。皆様のご利用をお待ちしております!

※1:ご希望の作品が見つからない事もございますので、ご了承ください。
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2)中井精也よりダイレクトメッセージをご返信致しますので、希望の作品をご相談ください。
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中井精也

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。株式会社フォート・ナカイ代表。2015年、講談社出版文化賞・写真賞、日本写真協会賞新人賞受賞。著書・写真集に「デジタル一眼レフカメラと写真の教科書」「DREAM TRAIN」(インプレス・ジャパン)、「ゆる鉄」(クレオ)、「都電荒川線フォトさんぽ」(玄光社)などがある。2018年5月、東京都荒川区に鉄道写真ギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊」をオープンした。甘党。https://ameblo.jp/seiya-nakai/

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