赤城耕一の「アカギカメラ」
第96回:本格的に「LUMIX G9PROII」をお迎えして、フォーサーズレンズ資産の活用を考える
2024年6月20日 07:00
本日6月20日(木)はパナソニックのLUMIX S9の発売日でございます。入手された方おめでとうございます。発売前にはいろいろとありましたが、HPも様変わりしまして、結果的には良い方向に向いていると考えております。カメラ・レンズを作るすべてのメーカーは、みな元気でなければいけません。
筆者も軽薄短小じゃない、小型軽量カメラは大好きですから、もちろんS9お迎えする予定だったのです。パナソニックのエラい人にも言われてしまいました。「アカギさんのために作りました」と言われました。ええ、それで欲しくなる単純な筆者であります。わかりやすいですね。
ところがですね、急遽お迎えするカメラを変更することにしました。
そのカメラとは、LUMIX G9PROIIでございます。本連載でもすでに取り上げておりますが、正式にお迎えすることにしたので、再びご報告したくなりました。
理由は嬉しいから、じゃない、単純ですよ、どうも最近マイクロフォーサーズシステム方面にいまひとつ元気がないような気がしているからであります。そうでもないすか? どうなんだろう。
昨今では隣国では35mmフルサイズフォーマットでなければカメラにあらず、くらいの勢いであると、先日、某カメラメーカーの営業の方にお聞きしたのですが、おそらく彼の国の業界には権威のある、声の大きな方がいらっしゃるのではないかと推測しております。いや、あくまでも推測ですから本気にはしないでくださいでも、この状況はあまり良くないので、応援するかなという意味も込めています。個人的には仕事にもマイクロフォーサーズ機は使用しておりますし、さほど危機だと感じてはいないのですが、新製品などの登場ペースをみてみると、以前ほどの勢いは感じないですね。
G9PROII を迎えるにあたり、筆者が懸念したのが、そのボディサイズであります。LUMIX S5IIと筐体が同じなのですから、マイクロフォーサーズ機として特別に小型軽量というわけではありません。気にはならないのですが。
1番まずいのは筆者のような注意力散漫な人間だと、仕事の時に両者を取り違えて出かけてしまうのではないかという心配もあります。Lマウントと、マイクロフォーサーズマウントのレンズの互換性はアダプターなどでも考えられていないわけなので、ふと想像しただけで血の気が引きます。
もう昔のように撮影前に機材を準備してくれたり、撮影をサポートしてもらうアシスタントさんもおりませんし。甘えることはできない、寂しいお年寄りカメラマンになりました。
G9PROIIをお迎えした理由、その2。これは前にも書いたかもしれませんが、前機種のG9 PROではシャッターボタンのフィーリングがいま1つで、暴発するように勝手に撮影をしてしまうようことがあることです。G9PROIIでは、半押しの感覚がとても良くて、研究改良されていると感じました。
感覚や感触って、個人によって異なるのでしょうけどG9PROII はお気に入りの感触でした。メカシャッターのパタパタする音も優しくていい感じ筆者好みです。
筆者はスポーツなどの動体を撮影することは稀ですが、それでもプロスポーツ選手を撮影したりすることもたまにあるので、いざという時には最低限でも体裁が整ったスポーツ写真が必要になることもあります。だから像面位相差AFとなったG9PROIIの安心感は大きいですね。前機種のG9 PROは今後は動画撮影の方に回っていただこうかと考えています。
その3ですが、これがフォーサーズマウントレンズの資産を活かすことなのです。とくに気にしてたのはお気に入りのライカブランドのフォーサーズマウントレンズをうまく活かせるかどうかでした。
当初はこれらのレンズもOM システム(オリンパス)のマイクロフォーサーズ機を使えば大丈夫だろうと考えていたのですが、うちにあるパナソニックのフォーサーズ用のレンズのいくつかをアダプターでOM-1やE-M1 Mark IIIなどに装着してみると、個体によるのですが、一応は動作するだけで、極端にAFが遅くなったり、動作が不安定だったり、AF測距途中で諦めて停止してしまうレンズすらありました。これはどうなんですか? 相性というやつなのでしょうか。
またその逆の現象も体験しております。OMシステムのフォーサーズレンズをアダプターを介して、LUMIXに装着しても怪しい挙動をすることがあります。
さらにシグマから発売していた、フォーサーズマウントのレンズの中には、OMは大丈夫だけど、パナはダメとか、これもまたその逆があったりするので厄介です。
カメラの進化により像面位相差AFやコントラストAFなどAF方式が入り乱れるということもあるのでしょうけど、こちらは、フォーサーズ、マイクロフォーサーズはメーカーが異なれど、アライアンスによって完全なる互換性があると信じて使用できるのではと考えていましたから、この事態は正直残念であります。とはいえ、すでにディスコンになったシステムでもあり、さすがに今からファームアップして、直してくれとは言いませんが、そういう事実があることは、ここで申し上げておかねばなりません。
G9PROIIならば、とりあえずパナソニックブランドで販売したフォーサーズマウントレンズの動作のテストはしているだろうからという目論見もありまして、導入を考えたのであります。
結論から言いますと、筆者の所有するパナソニックフォーサーズマウントのレンズはG9PROIIで、問題なく動作しました。これでパナソニックのフォーサーズレンズに対する挙動不審は解消されたのであります。
何? 素直にマイクロフォーサーズマウントのレンズを使えば問題なかろうですよね。
それを言っては、ここで話はおしまいなんですが、ここで毎度の愚痴を申し上げれば、フォーサーズマウントのレンズは処分しても二束三文であります。
とにかく、ミラーレス時代に突入してからは一眼レフ用のレンズは不人気です。当然だとは思いますけど。ならば資産として、レンズを活用しようとするのは貧しい私だけの考え方でありましょうか。
そういえばうちにあるパナソニックのフォーサーズもマイクロフォーサーズマウントレンズも旧型が多くて、みていただくのは恥ずかしいのですが、デザイン的にはG9PROIIとの相性がよいのです。
とくに鏡筒の太いフォーサーズ用レンズは、まるでG9PROIIに用意されたのではないかと見紛うくらいなのです。つまりG9PROIIの筐体とフォーサーズレンズはデザイン的なマッチングがとても良かったというわけであります。
マウントアダプターDMW-MA1(またはOMシステムのMMF-3)の厚みが薄いことも、デザイン的に優位に働いているというわけであります。カメラは小型軽量であることと、デザインが美しいことを優先する筆者としても、バランス、デザインのよさに、あらためて唸ったりしております。プライベートな撮影には積極的に持ち出し、周りに見せびらかしてやろうなどと考えていますが、あまり効果はないかもしれませんね、威厳には欠けますし。
今回はパンケーキタイプのLUMIX G 20mm F1.7も使用してみました。はい、筆者の所持しているものですので旧型のモデルでありますが、レンズ構成自体はII型と変わらないようです。
G9PROIIに装着すると、レンズキャップみたいで、相性的にもなかなかよい感じですし、小さいながらも、すばらしくよく写ることは、すでに確認済みであります。
この数年で、単独で撮影に出ることが多くなり、公共交通機関を使うことも多くなりました。このため機材を小さくまとめたい筆者としては、マイクロフォーサーズはとても重宝するシステムとなりました。
S9も35mmフルサイズのカメラとしては小さく魅力的楽しめそうですが、筆者としてはフラッシュ系のアクセサリーを使うことがまったく考慮されていないことで、お迎えする順位が下がってしまったというこもともあります。
デジタルカメラはどのようなビギナー機であっても、仕事に使用してみないと気が済まないわけです。と、なるとフラッシュの使用が考慮されている機種を選択するのがマストになります。LUMIX G9PROIIは小型軽量ではありませんが、仕事でも十分に使えるわけですし、マイクロフォーサーズ新型機がずっと欲しかった筆者には、導入は正解だったと考えております。