熱田護の「500GP-Plus」
第6回:1996年 シューマッハと二世コンビ
2020年9月15日 06:00
1996年シーズンは伝説のドライバー、ジル・ヴィルヌーヴの息子であるジャック・ヴィルヌーヴがウィリアムズへ、さらにはグラハム・ビルの息子のデイモン・ヒルが2世コンビを結成したことが話題の中心だった。そして、2年連続のチャンピオンになった、ミハエル・シューマッハはベネトンを去り、名門フェラーリへ移籍。チャンピンと二世コンビの戦いがどのように展開されるのかが、ファンの注目の的だった。
サンマリノGP、イモラサーキットのトサコーナーのお客さん。観客席は超満員! 全員、フェラーリの応援、まさに圧巻の景色です。現在のイタリアGPもお客さんがスタンドを埋め尽くしますが、ここまでの熱気ではありません。
ベネトンからフェラーリに前年チャンピオンのミハエル・シューマッハ選手が移籍。チームメイトには、エディー・アーバイン選手。期待は高まるものの、チーム体制もマシンも常勝というレベルには至らず、3勝をあげたのみ。でも、あのシューマッハ選手だからやってくれるに違いないと、イタリア、ドイツのファンは盛り上がります。
シューマッハ選手のフェラーリでの初優勝はスペインGP。この日のコンディションは雨でした! 選手からしたら、悪コンディションなのかもしれませんが、私は大好きな雨ということで、ついついコースに長居してしまって、パルクフェルメは諦めてスタジアムセクションで手を上げてくるのを待ちました!
結果、良いカットが撮れて一安心……。
そんな絶大な人気者のシューマッハ選手を迎えるべく、1996年はドイツで2回開催したのも当然という雰囲気でした。この写真はニュルブルクリンクで開催されたヨーロッパグランプリ。プレスルームで行われた記者会見の後に、ここに出てくるに違いないとヤマを張って成功した例です。もちろん、失敗もたくさんあります。
モナコグランプリ、最高速でトンネルから出てシケインの入り口に向けて減速している途中の1コマ。橋の上から身を乗り出して真俯瞰を狙える場所ですが、なかなか、うまく撮ることができません。帰国して、ライトテーブルで確認して反省し、来年こそは! と強く心に刻み……そうして、いったい何回繰り返せば納得するのだろうかと自分でも時々わからなくなります。
ブラジルグランプリのグリッドに付いてマシンを降りるシューマッハ選手。外でマシンの乗り降りを間近で狙える唯一のチャンスがレース日のグリッドです。大好きで貴重な時間です。
ブラジルグランプリ、インテルラゴスサーキットの最終コーナーの登り。朝の光で逆光になる場所。背景が影になりシューマッハ選手のマシンだけが光ればいいと思って、積極的に狙っていった1枚です。
オーストラリアグランプリ、路面に落ちた木陰からノーズだけ出た瞬間をスローシャッターで止めた1枚。などと書くとカッコ良いですが、正直なところを言えば、たまたま連写して撮れたカットです。デジタルだと後処理でどうにでもできる昨今ですが、フイルムだとそうはいきません。もう写っていてくれ! と願い込めて撮影したことを覚えています。
ベルギーグランプリ、スパ・フランコルシャンサーキット。この日はバスストップシケインが、昔ながらの形をしていて、朝の光が綺麗だった。ウイリアムズがこの年起用したのは、前年のカートチャンピオンで伝説のジル・ビルヌーヴ選手の息子、ジャック・ビルヌーブ選手。用意周到にF1カーで事前テストをかなり走ってシーズンイン。初年度でランキング2位を見事に獲得しました。そしてこの年、シリーズチャンピオンになったのはチームメイトのデーモン・ヒル選手。2人とも伝説ドライバーの2世です。
ジャック・ビルヌーヴ選手の青い瞳は本当に美しかった。独特な雰囲気もあったし、何よりも速かった。
どこのグランプリで撮ったかは、覚えてはいない。おそらく、パレードランでの1コマだったかな? 本戦とは違って、優しい表情がとても印象的でした。
日没後のピットに置いてあったフェラーリのカウルをクローズアップして撮影した。曲線美が織りなすフォルムが、とても美しいですね。