写真展レポート

F1マシンの美しさ・躍動感を堪能 写真展「500GP フォーミュラ 1 の記憶」が開催中

過去500戦の取材から一挙154点が展示

熱田護さん。会場入り口の前で。

モータースポーツのプロ写真家・熱田護さんの写真展「500GP フォーミュラ 1 の記憶」が品川のキヤノンギャラリーSで開催中だ。会期は2020年2月8日(土)まで。

1987年から500戦におよぶF1グランプリを取材した熱田さんの作品のうち、全154点で構成される写真展。疾走するマシンはもとより、感情や人柄をも感じさせるドライバーのポートレートや、サーキットの雰囲気を伝えるスナップ作品も印象的だ。熱田さんにとっても、これまでで最大規模の写真展となる。

最初はフィルムカメラ(New F-1)で撮影していたという熱田さん。デジタルカメラの時代に移っても、核となる表現は変わらない。事実、今回の作品群はフィルムカメラから最新のEOS-1D X Mark IIまで様々な機材で撮影されており、画素数や色味も様々。しかしプリントまでもっていくと、意外と困ることはなかったという。

作品のセレクトやレイアウトなどを担当したデザイナーの福田典嗣さんは、「写真集とは違うので、あえて写真の高さを揃えなかったり、展示ならでのレイアウトを試みました」とのこと。展示空間の区切り方にも凝った結果、ギャラリー側が用意していたパネルを使い切る事態も生じた。照明もキヤノンギャラリーSの展示としては、過去最大の個数を使用しているという。

左から福田典嗣さん、熱田護さん。

会場にはおなじみのドライバーが実際に使用したというヘルメットの展示も。

ルイス・ハミルトン使用
ナイジェル・マンセル使用

さらに会場の中央には、本物のPU(パワーユニット)が展示れている。現在展示中のものは2018年にトロ・ロッソホンダが使用したHonda RA 618H。2020年1月15日にはV12のエンジンに変更される。

東日本大震災が発生した際、小林可夢偉選手の呼びかけでF1界でiPhoneアプリを作り、その収益を被災地に寄付しようというプロジェクトが立ち上がった。そのときに熱田さんは撮影を担当。ドライバーのサイン、コメントを収録し、そして全ドライバーが他国の国旗(日の丸)を持って写るという、かつてないプロジェクトになった。その時の写真も鑑賞できる。

写真展と同名の写真集「500GP」も小社インプレスから12月19日に発売。こちらも福田さんがデザイナーを務めた。写真展と写真集、それぞれで同じ作品を扱っているのかと思いきや、重複しているのは半分程度とのこと。今回の「500GPプロジェクト」の作品すべてを見るためには、両方をチェックする必要がありそうだ。

なお、写真集は写真展会場でも購入できる。熱田さんのサイン入りで、初回限定版(完売)に含まれる特製ステッカーが1枚その場でもらえる。

写真展会場で写真集を購入するともらえるステッカー(3種類のうち1枚)。

写真展:500GP フォーミュラ 1 の記憶

開催日程:2019年12月19日(木)〜2020年2月8日(土)
開催時間:10時00分〜17時30分
会場:キヤノンギャラリーS(東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー1階)
休館:日曜日、祝日

©熱田護

本誌:折本幸治