私はこれを買いました!

オールドレンズファンに嬉しいライブビューの性能アップ

ライカM10/澤村徹

2017年を締めくくるにあたり、本誌のレビュー系記事にご寄稿いただいた皆様に今年新品で購入したデジタルカメラ、レンズのうち、特に思い入れのある製品について語っていただきました。(敬称略)

フィルムライカと同じ厚さ。これがライカM10の売りだが、実はこの点については当初からあまり関心がなかった。ライカM10の重量はライカM Typ240とほぼ一緒。薄くなったところで、重いデジタルカメラであることには変わりない。

ではなぜライカM10を選んだのか。最大の理由はライブビューの拡大表示がフォーカスエリアの移動に対応したからだ。もともとマウントアダプター経由でオールドレンズを付けることが多く、レンジファインダーよりもライブビューの使用頻度が高い。

ライカM Typ240は拡大表示のフォーカスエリアが中央固定なので、ずいぶんと難儀してきた。ライカM10は十字カーソルでフォーカスエリアを移動でき、ライブビューで厳密なピント合わせが可能だ。オールドレンズ使いにはかけがえのないアドバンテージである。

ライカM10を購入後、ちょっとしたサプライズがあった。それは広角オールドレンズの画質向上だ。周知の通り、レンジファインダー用の広角オールドレンズは、フルサイズ機だと周辺部の像の流れやマゼンタかぶりが発生しやすい。

ところがライカM10は、これまで扱いづらかった広角オールドレンズの一部が、良好なコンディションで撮影できるのだ。個人的に一番気に入ったのがBiogon T* 28mm F2.8(コンタックスGマウントをライカMマウントに改造)だ。周辺像は隅々まで解像し、マゼンタかぶりもほぼ気にならない。常用レンズとして問題なく実用できる。ライカM10購入後、もっとも出番が増えたのはこのレンズだ。

また、GR Lens 21mm F3.5もかなり実用度が上がった。従来はマゼンタかぶりがひどくて使う気になれなかったのだが、ライカM10では目に見えてマゼンタかぶりが軽くなった。画像編集ソフトで軽く補正できるレベルである。周辺像は流れていないので、こちらもここ最近のヘビーローテーションである。

先月、中国の開平を訪れた際、ライカM10にGR Lens 21mm F3.5を付けっぱなしで撮り歩いた。デジタルとの相性がいまひとつなレンズだったが、ようやく日の目を見ることができた。ライカM10 / GR Lens 21mm F3.5 / 1/45秒 / F3.5 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 21mm

プロフィール & 近況報告:写真家・ライター。今秋、カメラアクセサリーのレビューサイト、metalmickey's cameraをスタートした。紹介するアイテムを嬉々として自腹購入するものだから、出費が止らない。ハイここに、ダメな大人がいますよ。

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp