特別企画

「折り畳みビューティーディッシュ」で自由な光を手にいれる!

ポートレート撮影で大活躍 持ち運びしやすくなりB2 250 AirTTLとの相性も抜群!

OCFビューティーディッシュを正面から見たところ。付属のディフューザー(より光を拡散させる布)は外している。発光部の前に反射板が配置されるのが特徴だ
ディフューザーを取り付けたところ。この形態で使うことが多い。ディフューザーをしない場合、キャッチライトはドーナツ状になる

「プロフォトB2 250 AirTTL(以下「B2」)」はすでに多くのプロユーザーが使う、定評あるバッテリー駆動の大光量フラッシュだ。250Wsの光量を確保しながらジェネレーター(電源&制御部)、ヘッド(発光部)ともに小さく、1人でも運用しやすいところがプロに受けているのだ。

こうした外部フラッシュをオフカメラフラッシュ(OCF)と呼んでいるが、カメラ内臓のフラッシュと違い、発光部とレンズの位置関係が自由であることがポイントだ。レンズ光軸に対して光の方向を自由にコントロールできるので、被写体や表現意図に合わせた光をつくることができる。

光をコントロールする、あるいは魅力的な光を捉えることはプロアマ問わず、写真にとって大切なものであることは皆が知っていることだが、大光量フラッシュはAC電源を必要とし、かつ大型のものがほとんどであった。その点、B2は充電式バッテリーで駆動するので、使用場所を選ばない。つまり屋内のみならず、屋外でも使えるフラッシュなのだ。

屋外では、シャッタースピードはいわゆるシンクロスピード以上になってしまうことが多いが、「Profoto AirRemote TTL」はハイスピードシンクロに対応している。また、OCFであるからこそ、たくさんのアクセサリーが用意されており、スポット光から柔らかな拡散光まで、自由に光の質をコントロールできるのだ。

プロフォトB2と無線でフラッシュを発光させる別売のトランスミッターAirRemote TTL(キヤノン、ニコンに対応)。写真はモデリングランプ(電球色LED)を発光させた状態

折り畳めるビューティーディッシュが登場

3月7日、プロフォトから新たなOCFアクセサリー2種が発売される。「OCFビューティーディッシュ」と「OCFカラーフィルタースタートキット」だ。OCFビューティーディッシュは光を拡散させるアクセサリー、OCFカラーフィルタースタートキットはフラッシュ光の色を変更するアクセサリーとなっている。

OCFビューティーディッシュは、「ソフトライトリフレクター」というアルミ製のタイプが定番製品としてラインナップされているが、持ち運んで屋外で使うには少しばかり不便であった。OCFビューティーディッシュでは折りたたみ式になり、屋外屋内問わず、移動して使うのに適した仕様となった。

OCFビューティーディッシュでは、光源直前に配置された反射板により、柔らかく且つ芯のない(中心部が周辺に比べて明るい状態ではない)光が得られ、ポートレートによく使われる。それゆえビューティーディッシュなのだ。メインの光源として柔らかな光で肌を表現するのも良し、レフ版のようにキャッチライトを目に入れるにも良し、なのである。

左がOCFビューティーディッシュ、右がアルミ製のディッシュ(ソフトライトリフレクター)。双方とも直径は同じなので、使い方は一緒だ。しかし、アルミ製は折りたためないので、この大きさのまま持ち歩くことになる。重量もあるので、あまり屋外の撮影に適さない

次にOCFカラーフィルタースタートキットを見てみよう。

OCFカラーフィルタースタートキットはアセテートのカラーフィルターとフィルターをヘッド(発光部)に取り付けるホルダーで構成されている。カラーフィルターをヘッドに取り付けることでフラッシュ光の色を自由に選べるわけだ。

印象的な色合いを作るのに光の色は重要である。ことに屋外の撮影では太陽の光は天候や時間によって刻々と変わってくる。そのため、いつも同じ色合いを出しているフラッシュ光の色とちぐはぐになってしまうことがある。それを補正し、画面全体の色合いを整える重要なアイテムなのである。

フィルターセットは2つの系統に分かれ、色温度と色かぶりを補正するLight Balance(LB)系とRGBとCMYの6つの原色を中心に色相を補正するColor Control(CC)系の2種となっている。

前者が「OCF色補正(CC)フィルターセット」で、後者が「OCF色効果(CE)フィルターセット」だ。これらフィルターを背景を照明している太陽光の色温度や色かぶりに合わせ、同じ色合いに補正して、画面全体を同じ色合いに整えたり、あるいは、背景の色合いの所為で肌が色かぶりしてしまうような時は、逆の色合いに補正して透明感のある肌色に仕上げるといった使い方をするのだ。

OCFカラーフィルタースタートキットのキットは、LB系、CC系両方のアイテムを最低限揃えたフィルターセット、フィルターを取り付けるためのホルダー、専用ケースがセットになっている。ホルダーは、フィルターをセットするホルダー、それをヘッドに取り付けるホルダーの2段構成になっている
別売のフィルターセットには、LB系の「OCF色補正(CC)カラーフィルターセット」とCC系の「OCF色効果(CE)カラーフィルターセット」の2種が用意されている。それぞれケース付きで使いやすい

専用ケースに入ったOCFビューティーディッシュはとてもコンパクトだ。そして軽い。どこにでも持って行ける手軽さがいい。B2セットのケースに取り付けできるので、持ち運び自体が楽なのだ。組み立ては素早く行えるものだが、ちょっとしたコツがあるので解説しよう。

B2セットのケース外側にはアクセサリー取り付け用のストラップがある。これを利用すれば、持ち運びが楽ちんだ
OCFビューティーディッシュの専用ケースはおよそ長さ44cm、幅20cm、厚さ3.5cmとコンパクト
裏側にはゴムストラップがあり、ヘッドに取り付けるリングなどの他のアクセサリーを留めておける

組立は簡単!

OCFビューティーディッシュをヘッドに取り付けるためのリングには、8つの溝があり、そこにOCFビューティーディッシュのロッドをはめてゆく。リングの溝は2段階になっているので、まずこれを意識しよう。深い角度で浅い溝、浅い角度で深い溝だ。浅い角度で深い溝にすべてのロッドが嵌った状態が完成だ。また、ロッドは必ず対角線のものを対にして入れていく。この2点がコツである。

取り付け部の溝は2段階
リングの溝を拡大した。これは組み立て中の状態。ロッドは溝に深い角度で浅く入っている。この状態をポジションAとする
ロッドが浅い角度で深く溝に嵌ることによって、固定される。この状態をポジションBとする
組立手順
まず、任意の対角線にある2本のロッドを選び、リングの溝に嵌める。この時、2本のロッドはポジションBで浅い角度で深く嵌る
残り6本のロッドをすべてポジションAに嵌めてゆく。この時も対角線にあるロッドを対で嵌めて行く
ポジションAであるロッドを対角線ごとに手に持ち、ポジションBに嵌め直してゆく。この手順であれば、大した力はいらない
最後にディフューザーをかぶせ、マジックテープで止めたら完成だ

美しいシャドウの描写で立体感アップ

OCFビューティーディッシュの効果は、屋内の撮影でわかりやすい。外に持ち出す前に、屋内で撮影してみよう。さまざまにフラッシュの位置を変え撮影してみるとライティングの効果を知ることができる。自宅など、落ち着いて撮影できる環境で試してみると良い。

自宅居間に撮影セットを組んだ。背景に黒布を垂らし、モデルにはソファに腰掛けてもらった
カメラとB2のシンクロはAir Remote TTL(写真はニコン用のAir Remote AirTTL-N)で行うと、ケーブルが絡まなくて良い。TTL調光にも対応している
OCFビューティーディッシュの効果
カメラ内蔵フラッシュでの撮影。レンズ光軸と光源が近いので、立体感のない描写になっている。また光源が小さいため、手前に伸びた手の影がはっきりと体に落ちてしまっている
OCFビューティーディッシュでの撮影。モデルの右上方向からのライティング。レンズ光軸から離して自由な位置から照明できるため、立体感のある描写になった。また、大きな面光源となるため、光は柔らかく、シャドウの描写が美しい

フラッシュ光の色を変えられるフィルターも便利

OCFカラーフィルタースタートキットには、アセテートのカラーフィルターとホルダーが含まれており、組み合わせて使う。このフィルターのことをGelと呼び、様々な色合いが揃っており、交換して使用できる。

ホルダーはGelを保持するホルダーと、そのホルダーをヘッドに固定するためのホルダーに分かれているが、固定用ホルダーはOCFグリッド(別売の光をスポットにするためのアクセサリー)用のホルダーと兼用となっており、複数のアクセサリーを運用しやすいように考えられている。

左がGelを保持するホルダー。これもホルダー部分と抑えリングに分かれる。右がOCF Grid&GelHolder。これと組み合わせてヘッドに取り付ける
組立手順
任意のGelを選び、Gelホルダーの切り欠きに合わせて乗せる。キットにはGelホルダーが2個付属している
Gelを抑えるリングを嵌める。片方を先に合わせてからリングを縮めるように押し込むと良い。表裏があるので注意する
GelホルダーをOCF Grid&GelHolderにはめ込む。キットにはOCF Grid&GelHolderは1つだ
GelのついたOCF Grid&GelHolderをヘッドの凹凸に合わせて嵌め込む。あとは適宜スタンドに乗せればOKだ

OCFカラーフィルターは、フラッシュ光のみの色を変化させる。それゆえ、屋外の太陽光など、背景に別の光が当たっている場合は、背景の色合いをコントロールすることができない。

しかし、カメラのホワイトバランス、あるいはRAW現像時のホワイトバランス補正とOCFカラーフィルターを組み合わせて使うことによって、フラッシュ光の当たったモデルは適正な色合いのまま、背景の色合いをコントロールできる。以下、図にまとめたので覚えておいてほしい。

OCFカラーフィルターの使いこなし

OCFビューティーディッシュを屋外で使う

OCFビューティーディッシュを使えば、自由な位置からフラッシュ光で照明できることはこれまで述べてきた通りだが、プロフォト「B1 500 Air TTL(以下「B1」)」、B2との組み合わせでは屋外撮影でその真価を発揮する。ここではモデルを逆光で撮影するシーンだ。

通常ならレフ板を使って顔に補助光をあてるが、太陽と正対する位置にレフ板を置かねばならない。また、風があるとレフ板が煽られてなかなかに厄介だ。しかし、OCFビューティーディッシュなら少しの風なら気にならないし、なにより照明位置が自由になるのがいい

OCFビューティーディッシュはなるべくモデルに近い位置で使う。すると目に映るキャッチライトも大きくなり、生き生きした表情に見える
OCFビューティーディッシュの使用/不使用の違い
OCFビューティーディッシュを使っての作例。フラッシュ光は太陽光と同じ色合いなので、肌が健康的な色合いに写る。またOCFビューティーディッシュの柔らかな光は、肌のトーンも柔らかく表現している。一方、レフ板と違い、自由な位置から照明できるので柔らかさの中に立体感のある描写にできた
同じ距離から補助光なしで撮影を行った。空が白飛びしない露出にすると、モデルの顔は暗い。また、青空の色を反映して肌も青くなっている

OCFカラーフィルターで暖かな日差しを表現

背景の色合いは季節感や空気感を伝える大事な要素だ。主にホワイトバランスを変更してコントロールするが、そこにプロフォト フラッシュシステムとOCFカラーフィルターを加えることでより自由な表現が実現できる。「OCFカラーフィルターの使いこなし」を思い出しながら手順を見て欲しい。

WBとOCFカラーフィルターで色を追い込んでいく
まずはプロフォト フラッシュシステムもレフも使わずに撮影。ホワイトバランスはオート。この日の正しい色合いに近く、涼やかな光の表現となった。現場の寒さを思い出す
次にホワイトバランスを7500K、「日陰」相当にして撮影。アンバー系に色が変わり、暖かな色合いになったが、モデルの顔に立体感がない
さらにホワイトバランスを7500K、「日陰」相当のまま、B2で照明した。カメラでホワイトバランスを変えているので、モデルの顔もアンバー系だ。これはこれで良いのだが、夕方の色合いになってしまう。
そこで、OCFカラーフィルターセットからブルー系のHalf CTBを選び、顔に当たるフラッシュ光のみ青くした
ブルー味を帯びたフラッシュ光で顔のアンバー味のみが補正され、春近い暖かな日差しの日中の印象になった。
B2ヘッドにはOCFカラーフィルターのみ装着しているので、硬い光となっている。モデルから見て左に置くことで立体感を出した

OCFビューティーディッシュとOCFカラーフィルターの組み合わせ技

これまでOCFビューティーディッシュとOCFカラーフィルターを紹介してきたが、実はこの2つは組み合わせて使うことができる。柔らかい光を使いつつ、色合いをコントロールすることができるのだ。

システム化されたプロフォトのシステムだからこその利便性である。ここでは、夕日をバックに夕日の色合いを活かしながら、モデルを柔らかく、立体感ある描写を目指した。立体感があるからこそ、よりモデルの息遣いを感じるような写真になるのだ。

OCFカラーフィルターセットからアンバー系のFull CTBを選び、顔に当たるフラッシュ光をアンバーにし、夕日の色合いを強調する
先にOCFビューティーディッシュを深く取り付けておき、反射板を避けてOCFカラーフィルターセットをはめ込み後にディフューザーをつける
ライトはモデルの左においた。画面左が太陽の方向になるからだ。概ね明るい方向に合わせると自然に仕上がる
フラッシュなし撮影。モデルの顔は暗く、また東の空の青みを反映するため、青くかつ濁っている。色温度は6000K。手動で設定した。他のカットも同じ
OCFビューティーディッシュのみでの撮影。夕日の色合いを残しつつ、モデルの顔が明るくなったが、顔色が直射日光下のようでアンバランスだ
OCFビューティーディッシュ + OCFカラーフィルターセット Full CTBで撮影。顔色が夕日が当たったような色合いになり、OCFビューティーディッシュによる柔らかな光によって、背景と顔に当たる光がつながった。良いバランスだ

OCFアクセサリーで高度なライティングができる

カメラから離して使うオフカメラフラッシュでは、意のままに光をコントロールできることがメリットだが、それにはなんらかのOCFアクセサリーが必要になる。

多くの場合、まずは最初にアンブレラだ。アンブレラは狭い場所にも設置でき、また広い範囲に光が広がるので汎用性が高く使いやすい。その一方、傘につきものの骨があること、ヘッドの影が入ることで、モデル撮影時のアイキャッチにはつかいにくい。

また、広い範囲に光が広がる特性も繊細に光をコントロールしたい時には扱いにくい。「回りすぎ」とよく言われるように余計なところにまで光が回ってしまう。

それに対してOCFビューティーディッシュでは、アイキャッチも滑らかで美しく、比較的方向性のある光で、繊細なライティングができるのだ。プロフォトユーザーなら、アンブレラに加えてOCFビューティーディッシュを持っていれば、より高度なライティングテクニックを手に入れられる。

さらにOCFカラーフィルターで色合いまでコントロールすることで、より感情豊かな写真表現が可能だ。光に大事なのは立体感と色である。

モデル:EVA(スパンキー)

茂手木秀行

茂手木秀行(もてぎひでゆき):1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、マガジンハウス入社。24年間フォトグラファーとして雑誌「クロワッサン」「ターザン」「ポパイ」「ブルータス」を経て2010年フリーランス。