特別企画
意外に簡単?本格ストロボでテーブルフォトをランクアップ!
ソニーαとプロフォトB2で、花・小物・料理の2灯ライティングに挑戦
2017年2月14日 12:52
素敵なテーブルフォトを撮るには、被写体やレンズの選択はもちろんのこと、「光」を意識することが大切です。
そこで写真家の鈴木さや香さんに、プロフォトのバッテリーストロボ「B2 250 AirTTL」(以下B2)を使ったテーブルフォトをレクチャーしてもらいました。自然光だけでは得られない、質感や陰影の表現をごらんください。プロフォトユーザーの鈴木さんによる、B2に関する解説もあります。
なおいずれの作品も、B2に加えて、発売されたばかりのストロボ用無線コントローラー「Air Remote TTL-S」を組み合わせています。プロフォトとしては初のソニー対応品で、撮影には「α7R II」を使用しました。ソニー製品とプロ用ストロボ機材の珍しい(?)組み合わせにも注目です。(編集部)
小型・軽量なB2は、テーブルフォトにぴったりの相棒
これまでのキヤノン用とニコン用に加えて、待望のソニー対応のトランスミッターAir Remote TTL-Sが仲間入り! このAir Remote TTL-S・B2 250 AirTTL(以下B2)・α7R IIの組み合わせによる、コンパクトな機材同士で相性の良いセッションを紹介しようと思う。
まずはじめにB2の軽量・コンパクトな使い勝手の良さを強調したい。荷物も多く、あまり腕力のないカメラマンの撮影にはとても重宝できるストロボだ。通常、大きなストロボヘッドのストロボを支えるには、重いスタンドやサンドバックが必要となってしまう。しかし、このB2の発光部は非常に軽いため、持ち運ぶ機材を全体的に軽量化できる。
B2のストロボヘッドを手に、バッテリー式のジェネレーターをたすき掛けにした状態。
B2の最大出力は250W。一見少なく感じるが、1台のジェネレーターに2灯のストロボヘッドを接続できるので、テーブルフォトなど小規模な撮影なら十二分の出力量だ。
しかもバッテリー式のため、電源部に電源コードが必要ない。家やお店などの限られた小さなスペースでの使い勝手が非常に良い。コードレスで少しでも足場がかせげて動きやすくなるのは、ストレスフリーで助かるところだ。
カメラとジェネレータ部の間もAir RemoteTTL-Sがワイヤレスで繋いでくれるので、自由度の高い撮影が行える。今回は比較的小型のミラーレスカメラα7R IIと組み合わせたので、撮影時の動きやすさは抜群だった。製品名の通り、カメラ任せのTTLによるストロボ調光が可能なのも、スピーディーに撮影したいときや初心者には便利だろう。編集部中:今回の作例はすべてマニュアル調光です。
定番! 白い背景に花を明るく浮き上がらせる
さて、今回は実際に小さなスペースでテーブルフォトを撮影する際に、電源部1台に2つのストロボヘッドを使用してワンランクアップした写真の撮り方を紹介したい。
最小限のアクセサリーとB2でできるアーティスティックなテーブルフォトの世界だ。
まずは、定番の花をうつくしく。
白いバックに、花を浮き上がらせるには。
背景は光を透過する薄い白い布やトレペなどを固定し、その後ろからストロボを1灯。
もう1灯は手持ちで照射し、逆光により暗くなった部分をやや起す。光量はかなり小さく。
ポイントとしては、正面からの光が強くなり過ぎないほうが花の質感を鮮明に表すことができる。
背景を落としてシックな表現に
つぎは花の写真のアレンジバージョン。
ポイントは背景の落ち方。背景を落とすために、ストロボを被写体に近づける。
正面からのストロボの正面に「グリッド」というオプションをつけて、光が背景に回らないように、確実に花に当てていく。
グリッドは発光部に装着する光を集約するアクセサリー。
B2に装着できるグリッドは3種類あり、10度・20度・30度から好みの光の広がりを表現できる。
正面から光を当てない状態にしてみた。背後からのストロボの入り方はこのような感じ。
正面のストロボは手持ちなので、色々と動かして気に入った部分にハイライトと影を作る。
自然なライティングで小物を撮影
次は、しっとりと繊細な雰囲気の花と、透明な硝子、古本のセッション。
ポイントは、自然光で撮った写真に近いライティングにすること。
光が逃げないように白いパーティションで囲い、ストロボを1灯背後から拡散させ当てる。
そして正面からのストロボ光には、トレーシングペーパーを間に入れて弱く照射する。後ろから透過した光の反射の柔らかさを確認しながら、少しだけ影を起こす。
料理写真では「湯気」を活かしてみよう
料理や食べ物は、逆光や反逆光をうまく利用するとより美味しそうに臨場感のある写真を撮ることができる。
例えば、湯気を活かしたいときは柔らかい逆光を作る。冬や秋っぽい演出をする場合、全体の印象は穏やかな影を作ることをおすすめする。
深い皿の中などが暗くなってしまうときは、グリッドをつけたもう1灯を弱めに当てる。ここで強く当てすぎてしまうとせっかくの湯気を消してしまうことになるので注意だ。
「夏の日のゼリー」のような演出にはギラッとした硬い光が必要なので、角度が高い位置から直接振り下ろす。
しかしサイドから1灯だと影が強く濃く出過ぎるのと、ゼリーの透明感を表現しづらいので、逆光を入れて透明感を演出する。逆光はメインの半分より少し弱め。ここで直に強い光を当てると、下に敷いている紙や布の色味がかぶることがあるので、色味の弱い被写体は要注意だ。
被写体が集合体で色々な質感を持っている時、例えばボコボコしたような天板の質感や苺の光沢などを一度に出すライティングは、まずざっくりと雰囲気を決めて細かな調整を。正面から強い光を当ててしまうと立体感が失われてしまうので要注意。
そこで2灯に。限りなくフロントに近いサイド光と、逆光を照射。
メインは硬い光を直接当てずに、光を透過する素材で拡散させる。直接光を当てると影が強く出てしまうのだ。このメイン光の拡散により、全体に光が回るようになる。アンブレラやボックスを使わなくても、ストロボヘッド単体だけで優しい質感や立体感、みずみずしさも表現できる。拡散させるメイン光は、逆光より少し強めにした。
金属のきらめきは硬い光で
金属やアンティークな小物を渋く撮るときは、硬めの光を狭く照射しつつ全体を作り上げるがおすすめ。
正面からの照射だけだと立体感に乏しくなる。
そこで、逆光をうまく利用する。これは逆光のみを照射した状態。
影が出る場所に注意しながら、正面からグリッドをつけた1灯、逆光からストロボヘッドそのままの1灯を照射する。すると余分な光がまわりすぎないのでシックな雰囲気と金属の固い雰囲気を表現できる。正面、逆光とも光の強さは同じ程度。
まとめ
カメラもレンズも格段に優れてきている昨今。その状態で人よりもワンランクアップするには、光をコントロールするということも必要になってくる。
例えば今回のB2なら、自由度の高いライティングで、テーブルフォトでアーティスティックな写真を作り込むことができる。使いこなせば、朝でも夜でも、また晴れの日でも雨でも関係なく、本格的かつ手軽に光を作ることができるのだ。
Air Remote TTL-Sが出たことにより、ソニーユーザーにも恩恵が受けられるようになった。ストロボ撮影は、やるかやらないかで大きな違いが出てくる。ぜひ挑戦してほしい。
制作協力:プロフォト株式会社
機材協力:ソニーマーケティング株式会社