特別企画

風景写真家・萩原俊哉が選んだ“相棒”は……

自然を愛する者として 三菱自動車「アウトランダーPHEV」

風景写真家にとって車は重要なアイテムの一つ。何処に行くにしても自分の車を利用して移動することがほとんどだ。長距離を長時間移動するため、自分の命を預けることになるので安全性は重要なポイントだ。そしてなによりも、クルマとしての魅力がないと運転も楽しくない。

そんな2015年の夏、三菱アウトランダーPHEVに出会い、相棒にすることに決めた。風景写真家にとって、PHEVが供給してくれる100Vの電力は心強い味方であると感じたからだ。

実際に愛車として約4カ月が経ったが、予想以上に満足させてくれている。カメラのバッテリーやノートPCの電源が確保できるといった機能性はもちろんのこと、アウトランダーPHEVの静粛性や環境負荷の小ささは、自然との対話を求める風景写真家にとって、想像以上に満足のいく結果をもたらしてくれた。今回はそんな、風景写真家にとってのアウトランダーPHEVの魅力について語っていきたい。

PHEVという選択

今の車に替える前に乗っていたガソリンエンジン車(2.4L)アウトランダーは7年ほど乗り約23万kmほどの走行。年間で約3万kmちょっとといったところだ。大きな不満もなく、よく走ってくれた。しかし、晩年はさすがにくたびれてきたようで、細部のがたつきなども出てきた。もともとアウトランダーPHEVが発売された時から次の車はこれにしようと決めていたのだが、昨年の夏にアウトランダーPHEVがマイナーチェンジをすることを知り、買い替えることに決めたのだ。

居住性なら間違いなくデリカD5に軍配が上がるだろう。日本全国を車で駆け巡り、1年のほとんどを車中泊をしながら撮影するようなスタイルでは車内空間の広さは必要だ。しかし、群馬県の嬬恋村を基点としていることもあって、何日も車中泊をしながら全国各地を渡り歩くことはほとんどない。1〜2泊くらいの仮眠程度ならアウトランダーPHEVの広さでも十分なのだ。

嬬恋村の冬は厳しく降雪もある。もちろん、冬の取材先は豪雪地域もその対象であることから4WDであることは必須だ。むろん夏の取材では未舗装道路を走ることもある。最低地上高を確保するためにはSUVが有利である。

さらに国産車は取材先のトラブルでもすぐに対応できるメリットがある。それでいて純EV走行も可能な車といえば、国産4WD SUVとして、三菱アウトランダーPHEVは唯一無二の存在でもあるのだ。

むろん、風景撮影の移動手段としての使いやすさは前車で十分に知り尽くしているつもりだ。そんなアウトランダーにPHEV車がラインナップされたと聞けば、次の車の第一候補になることはごく自然なことだった。

自然との一体感を味わえるPHEV

厳しい寒さが作り出す繊細な霧氷だ。温暖化が進むと、このような美しい姿を撮影することも難しくなるかもしれない。(撮影:萩原俊哉)

アウトランダーPHEVの静粛性は圧倒的だ。撮影現場に到着して駐車スペースに車を静かに寄せる。車速が低下するに従い、車内に静けさが序々に戻り、窓の外からは小鳥たちのさえずりや、渓流のせせらぎがさらさらと聞こえてくる……これまでは車のエンジンを切って車を降り、撮影現場に立ってからでないと自然風景と対峙することはできなかった。

しかし、PHEVは乗車しているときからすでに自然風景との対話がはじまっている、そんな感覚だ。車を降りてカメラを取り出し、被写体にレンズを向けると、すっと自然にフレーミングに集中できる。自然との一体感を味わえるクルマがPHEVなのだ。

そういえば、これまでは走行中にカーステレオから音楽を聞きながら運転をしていたが、PHEVに替えてからというもの、長距離の高速道路以外はほとんど音楽を聞くことがなくなった。信号待ちで車を停止させたときの車内の静けさがなんとも心地よいのだ。

さらに、静けさ、という点ではほかにもメリットがある。風景写真は夜討ち朝駆け。深夜に自宅から出発したり、帰宅することも多い。その際にもエンジン音を気にすることなくモーターだけで走行できるため、近隣への配慮も万全というものだ。都市部に住んでいる人にはむしろこちらのメリットのほうが大きいかもしれない。

風景写真家としてできること

自宅からさほどの距離ではない嬬恋村の丘だ。村内の丘の撮影ならEV走行だけで事足りる。この、どこまでも澄み渡る美しい青空をいつまでも残したい。(撮影:萩原俊哉)

現在居住している嬬恋村の周辺は、人が作り出した丘の風景や、数々の自然風景が残っている場所で、シダの森や光芒の入る滝などもある。そのような近距離にある風景の撮影なら、無粋なエンジン音やCO2を排出することなく約60kmほど走行できるEV走行だけで済んでしまう。自然風景を愛する者の一人として、なによりも自然に与えるダメージを軽減することに寄与していることに喜びとステータスを感じるのだ。

地球の温暖化が問題になって久しいが、実際風景を撮影していると花の開花や紅葉のタイミングが大きくずれたり、豪雨による土砂崩れなど、異常気象を目の当たりにすることも多い。自然風景を撮らせてもらっている風景写真家として、すこしでも自然に対するダメージは軽減したい。PHEV車に乗ることでCO2排出の低減に貢献していることは、もしかすると全世界規模からすれば、ごくわずかなことかもしれない。しかし、これが幾重にも積み重なることで、温暖化ストップに対する貢献量は必ず大きくなるはずと信じたい。

アウトランダーPHEVというクルマ

星の撮影では車で待機することも多いがCO2を排出するのは避けたい。その点、PHEVはエンジンを掛けることなくシートヒータで暖をとることができるのだ。(撮影:萩原俊哉)

PHEVを選択したときから、(最大で1500Wも使える電源を使って)取材先で暖かい食事をとることができる! と考えていた。そこで、電気ケトルを購入。秋の取材では電気ケトルと水とカップめんを持参して月山の見える駐車場で温かい昼食をとり、その日の午後も充分なモチベーションを維持しながら撮影することができた。

多くの場合、取材先では時間がもったいないことと食事ができる店が都合よくあるとは限らないので、ほとんどのケースでコンビニで購入したパンやおにぎりで済ましている。しかし、寒い時期では暖かいものをとりたいと思うことも多い。そんなときに一杯のカップ麺と熱いコーヒーは五臓六腑に染み渡り、次の撮影の活力になるのだ。ガスコンロを使うという方法もあるのだが、秋冬はともかく、気温が上昇する夏場の車内にはガスボンベを置いておきたくないことと、密閉された車内で湯を沸かすケースを考えると電気ケトルのほうが安全であることは明白だ。

もちろん、PCを持ち込んでのバックアップや、万が一のカメラのバッテリー上がりでも、その場で充電できるメリットは計り知れないものがある。

前述したように嬬恋村を拠点にしているため、そうそう車中泊をすることはないが、早朝や夕方の撮影では車での待機や仮眠をすることも多い。暖をとるためにエンジンを掛ると排気ガスを排出することになるため、毛布や寝袋にもぐりこんで待機することになるが、底冷えする寒さでは、それでは十分とはいえないこともある。

そして万が一、大雪などで立ち往生して密閉された車内に閉じ込められた場合、エンジン作動で暖をとっては酸欠の可能性だってあるだろう。だが、PHEVならエンジンをかけることなくシートヒーターで温まったり、いっそ電気毛布を持ち込んで暖をとることだってできるのだ。

シートヒーターには、もう一つの効能がある。家族を連れての撮影では、待機する家族のために車内を温めておくこともあるだろう。そのようなときに、寒い車外から暖房で温まった車内へカメラを持ち込むと、レンズの前面が結露してしまう恐れがあり、最悪、撮影できなくなってしまう可能性がある。その際にエアコンは使わず、シートヒーターで寒さをしのいでおいてもらえればそのようなトラブルはなくなるのだ。

ところで、冬になってから新兵器を車に導入した。それはヘアードライヤーである。氷点下を下回る厳冬期の渓流や滝で撮影したことがあるなら、だれもが経験したことがあると思うのだが、滝からの水飛沫が三脚に付着すると、そのまま凍ってしまい脚の出し入れができなくなってしまう。そのうえ、しっかり拭いて三脚をしまい込んだつもりでも次の撮影地についたら拭き切れなかった飛沫が凍ってしまい、脚が伸ばせず立てられない、といった事態が頻発するのだ。また、レンズの鏡胴に飛沫が付着してそのまま凍ってしまうとすると、ピントリングやズームリングが動かせなくなり、最悪、撮影不能という事態にも陥る。

これまでは、車の暖房を使うしか方法はなかったのだが、それでは時間がかかってしまい、シャッターチャンスを逃しかねない。そんなときドライヤーを使えば、すぐに使用することが可能となるのだ。これは1500Wという大出力の電力を使うことができるPHEVだからこその技だ。

ヘアードライヤーは冬場だけでなく、梅雨時の撮影でも有効活用できるだろう。濡れた機材を素早く乾かすことができるので、機材トラブルを防ぐことができると考えている。

3.11のときにはガソリンの入手が困難になり、車による移動が困難になったことは記憶に新しい。また、計画停電によって数時間とはいえ電気が使えなくなり、パソコンを動かすことができず仕事に支障が起きたことも事実だ。

そうそう大事件が起こっては困るが、いつ噴火するとも限らない浅間山の山麓に住んでいることもあって、有事の際にPHEVを大容量バッテリーとして使用できることの安心感を感じる。

風景写真家にとって申し分のない「相棒」

降雪していることもあり、ハイキーで表現した。(撮影:萩原俊哉)
上の作品を撮影しているところ。跳ね上げるタイプのテールゲートは屋根がわりにもなる。

さらにEV走行できるPHEV車としてだけでなく、車を替えたことでのメリットはほかにもある。そのひとつが長距離の運転が格段にラクになったことだ。多くの風景写真家は車を利用して長距離の取材を行っている。群馬から青森まで700kmほどの距離を1日で走行するなんてことはよくあることだ。

昨年の秋、紅葉を撮影するために東北方面へ長距離取材を行ったが、前車を追随するレーダークルーズコントロールのおかげで、これまでのような前車との車間距離を常に意識することから開放され、過剰な緊張感を強いられることなく快適に高速走行ができるようになった。むろん、自宅から都内へ車で移動する際の高速道路でも役立っていることはいわずもがなのことだ。

さらに衝突安全装置の装備も見逃せない。年齢を重ねていくにしたがって、若い頃から比べれば運転の集中力や技術が低下してきているはずだ。長距離を走行することの多い風景写真家だからこそ、より安全性の高い車が求められるといってもよいだろう。

アウトランダーPHEVで各地に赴き風景を撮ることは、ある意味ではステータスにも感じる。もちろん、自然を愛する者の一人としてアウトランダーPHEVは十二分に満足なクルマだ。

協力:三菱自動車
状況撮影:大浦タケシ

萩原俊哉

(はぎはらとしや)1964年山梨県甲府市生まれ。浅間山北麓の広大な風景に魅せられ、2008年に本格的に嬬恋村に移住。カメラグランプリ選考委員 ニコンカレッジ講師 日本風景写真家協会(JSPA)会員
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