オールドデジカメの凱旋

ニコンD80(2006年)

デジタル一眼レフ“進化の前夜”を感じる1台

 今回のブツは、レンズ交換式か? それとも一体型のコンパクトか? …その点はともかく、前回このコーナーで扱ったのが「ニコンCOOLPIX 5000」だったから、少なくともニコン製品はないだろう。なーんて考えていたら、なぜかニコン製品になっちゃいました(苦笑)。いや、これでイイかも。メーカーの違いよりも、タイプの違いの方が新鮮味を覚えるからね!! ……って、別に言い訳する必要はないか(笑)。

 そのカメラは「ニコンD80」。有効1,020万画素の撮像素子や2.5型液晶モニターを採用した、ミドルクラスのAPS-C(ニコンでは「DXフォーマット」と呼ぶ)デジタル一眼レフである。発売時のボディ価格は12万円前後だったが、今回見つけたブツはABランクで1万7,850円也(元箱とストラップは欠品)。しかし、今回もニコン製品を選ぶとは……。

 もちろん、今回の中古店では、ニコン以外のメーカーを率先的にチェックした。ええ、しましたとも。だけど、そこで「コレだよ、コレ!」と思えるようなメーカー&製品が見つけられず、機種数と品数が多かったニコン製のデジタル一眼レフの中から「コレ、ビミョーに懐かしいわ」と感じるD80を見つけて購入したのである。

前モデルのD70sは鋭角的なラインが目立つボディだったが、このD80は全体的に丸みを帯びたボディになっている。このあたりの印象は、次モデルのD90にも受け継がれてゆく。そういえば、D70sくらいまでは、レンズマウント下の“広い空間”がミョーに目立ってたよね(笑)

 この「D80」は、2005年に発売された「D70s」の後継モデル。前述の撮像素子の画素数アップの他にも、上位機種「D200」と同様の「マルチCAM1000オートフォーカスモジュール」を採用した11点AFシステムを搭載、といった特徴を持っていた。発売日は2006年の9月1日。

 D80ボディと一緒に購入するレンズには、現行の標準ズームに名を連ねている「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6 G VR」を選択した。こちらもABランクで価格は7,350円也。うーん、コレはちょっと芸のない選択だナァ(笑)。でもまあ、D80ボディとのマッチングは悪くないし、価格や実用性のバランスを考えるとイイ選択じゃないかな。ちなみに、D80発売時のキット用レンズは「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-135mm f/3.5-5.6G(IF)」や「AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-70mm f/3.5-5.6G(IF)」だった。

 「D80」が発売された頃、ボクは上位機種の「D200」を使用していた。ニコンユーザーということで、D80にもそれなりに関心を持っていた。でも、D200の前には「D100」を使用していた“D3桁ユーザー”なので、機能や仕様の面では「D80も欲しい!」という気持ちは起きなかった。まあ、D200よりもコンパクトで軽量なのは魅力だけど、記録メディアがCFじゃなくて「SDメモリーカード」という点がネックだったね。

記録媒体は「SDメモリーカード」で、容量が2GBを超えるSDHC対応。ホント、高かったんだよなぁ、4GBのSDHCメモリーカード……。なお、この個体(D80ボディ)だけの感触かもしれないが、カード出し入れ時の動きが少々“ねっとり(じんわり)”している。
側面部カバー内には、USB端子、DC入力端子、リセットスイッチ(DC入力端子の横の小さなスイッチ)、ビデオ出力端子、が装備されている。また、このカバーの下には、リモートコード接続端子も備わっている(ここではカバーを閉じた状態)。

 そう、当時のSDメモリーカードはまだ高価だったから。そういえば、この頃(2006年の秋)、1枚だけ4GBのSDHCカードを2万円近くも出して買ったよなぁ…(遠い目)。だけど、カメラ誌の取材などで何度か使ってみて「あ〜、こういう軽快なDシリーズも旅とかにイイかも」と感じたのを覚えている。

 では、ニコンD80の主なスペックを紹介! 撮像素子は前述の通り、有効約1,020万画素のニコンDXフォーマット(23.6×15.8mm)CCDセンサー。感度はISO100〜1600、ISO1600に対して約1段までの増感(1/3段ステップ)。露出モードはP/S/A/M、カメラまかせの「オート」、6種類のシーンモードを搭載。

 連写速度は最高約3コマ/秒。シャッター速度は30秒〜1/4,000秒。露出補正は±5段まで。シンクロ同調速度は1/200秒以下。ファインダーはペンタプリズム式(視野率約95%、倍率0.94倍)。液晶モニターは2.5型・約23万画素。記録媒体はSDHC/SDメモリーカード。外径寸法と重量は132×103×77mm、約585g(本体のみ)。

使用電源は、付属の充電式リチウムイオン電池「EN-EL3e」。これは先行発売の上位機D200と同じ電池である。だから、以前にD200やD300を使っていたボクの手元には、予備用として買った2個の「EN-EL3e」が今でも手元に残っている。その2個も久しぶりに充電しておこう。使うアテないけど(笑)。

 ちなみに、このニコンD80と同時期(2006年後半〜2007年前半あたり)に発売されていた近いクラスのデジタル一眼レフは……以前にこのコーナーでも取り上げたペンタックス K10D(2006年11月発売)くらいかな。あと、少し下位のモデルになるけど、ソニーα100やペンタックスK100Dとかも同時期の発売だった(どちらも2006年7月発売)。う〜ん、意外と少ないね。しかし、こうやってD80や同時期の製品を列挙してみると、この時期の機種って“デジタル一眼レフ、進化の前夜”って感じなんだよねぇ。理由はこの後に触れるけど。

 前モデルD70sとこの「D80」の機能や仕様を見比べると、前述の撮像素子(画素数)やAFシステムや液晶モニターも含め、いろいろ進化しているポイントがある。

D70s→D80の主な進化点

  • 撮像素子:約610万画素CCD→約1,020万画素CCD
  • AFシステム:5点測距AF→11点測距AF
  • 液晶モニター:2.0型・約13万画素→2.5型・約23万画素
  • 感度(増感域も含む):ISO200-1600→ISO100-3200
  • ファインダー倍率(50mmレンズ時):約0.75倍→約0.94倍

といった具合。

 ……そういえば、D70sあたりの機種だと“ファインダー倍率の低さ”が気になったけど、D80ではその不満点がかなり解消されてますわ。まあ、シャッター最高速に関しては、D70sは「1/8,000秒」だったところ、D80は「1/4,000秒」に下がったけどね。

 このように、D70sから進化したポイントが多い「D80」だが、それから飛躍的に進化したのが、次モデルの「D90」である。

D80→D90の主な進化点

  • 撮像素子:約1,020万画素CCD→約1,230万画素CMOS
  • 連写速度(最高):約3コマ/秒→約4.5コマ/秒
  • 液晶モニター:2.5型・約23万画素→3.0型・約92万画素
  • 感度(増減感域も含む):ISO100-3200→ISO100-6400

 ……などなど。そして、現行モデルでもお馴染みの必須機能とも言える「ライブビュー機能」や「HD動画撮影機能」が搭載されたのも「D90」から。あと、画質調整機能に関しても、D80にはない「ピクチャーコントロール」や「アクティブD-ライティング」が搭載されている。カスタムメニューなんかも、D90は種類別に階層分けされていて項目数も増えてる。

 今のニコンユーザーには「ピクチャーコントロール」などはお馴染み機能だから、これに相当する(実際には違う部分もあるだろうけど)機能の名称が「仕上がり設定」のD80とかだと、やっぱり「これは古めの機種だわ」と感じてしまう。それと、撮像素子前面のローパスフィルターを振動させてゴミを払い落す「イメージセンサークリーニング」が搭載されていない点も古さを感じる点。この機能も、次モデルのD90から搭載されるようになった。

5種類のメニューにタブ分けされたメニュー画面。で、カメラのアイコンで表示される「撮影メニュー」のいちばん上には「仕上がり設定」が配置されている。その機能の名称と同時に、各設定の名称も懐かしいなぁ……。

 ……とまあ、機能や仕様がちょっとビミョーな「D80」だけど、外観デザインや操作フィーリングは、D70sよりもD90の方に近かった。液晶モニターサイズとファインダー倍率が大きく違うと、使用感もかなり変わってくるからねぇ。ただし、連写速度はD70sと同じ「約3コマ/秒」なので、レリーズ時の動作感は「約4.5コマ/秒」のD90とは違うかもね。まあ、D90は手元にないから、わかんないけど…。

 前モデルよりも基本性能は上がり、ボディデザインの印象も違う。だけど、次モデルのような“決定版”ではない……。というのが、今回「ニコンD80」を使ったボクの印象。これは自分が“D100→D200→D300と使ってきて、D200で感じた印象とよく似ている。「ピクチャーコントロール」や「アクティブD-ライティング」、それに「ライブビュー」や「イメージセンサークリーニング」。こういった機能の有無も共通してるからね。

ローパスフィルター振動による「イメージセンサークリーニング」は搭載していないので、画像上にゴミの痕跡が見えたら「クリーリングミラーアップ」で自分で清掃!
セットアップメニュー内の「電池チェック」。バッテリー残量が1%単位で表示され、充電してからの撮影回数やバッテリーの劣化度が表示される。このあたりの機能&仕様は、ミドルクラスらしい充実度。

 でも、撮像素子の有効画素数やファインダーやAFの仕様など“カメラとしての基本的な部分”に関しては、実際に使う上ではさほど古さは感じなかった。そう考えると、今でもまだまだ現役でイケそう。実際に現役で使い続けている人もいるだろうし。

ホワイトバランスの微調整は、現在のような座標方式ではなく、1段刻みで±3段の範囲で数値で調整する。マイナス方向に調整すると画像が赤っぽくなり、プラス方向に調整すると青っぽくなる。
ISO感度の設定は、ISOボタン+メインコマンドダイヤルの操作か、メニュー画面からおこなう。ISO1600以上は画質劣化(ざらつきや色むら)のリスクが大きくなる増感域。HI 0.3はISO2000相当、HI 0.7はISO2500相当、そしてHI 1はISO3200相当になる。

 今、あえてこの「D80」を選ぶ必然性は乏しいかもしれない。でも、RAWモードで撮影して「Capture NX-D」のようなRAW現像ソフトで仕上げれば、思った以上に高品位な描写が得られそう。手元に「D80」がある人は、こういう可能性を追求してみてはいかが? そう、カメラや写真を楽しむ行為の一環としてね。

再生メニュー。何だかあっさりとした内容ですなぁ。次モデルのD90の再生メニューでは、これに「再生画面設定」と「撮影直後の画像確認」と「Pictmotion」の項目が加わる。
画像再生時の表示内容は、マルチセレクターもしくはサブコマンドダイヤルの操作で、標準表示→撮影情報1→撮影情報2→ハイライト表示→RGBヒストグラム表示→標準表示、と切り換わっていく(これは標準表示と撮影情報2)。拡大表示の倍率は、画像サイズLの場合で約25倍。う〜ん、約23万画素の液晶モニターの拡大表示(細部描写)はちょっとキツイなぁ…。ちなみに、画面右下の全体縮小表示は、拡大率変更やスクロール操作の数秒後に消える。
カスタムメニューとセットアップメニュー。カスタムメニューでは、撮影に関する詳細な設定がおこなえる訳だが、D90以降のモデルのような階層分け(第1階層、第2階層)にはなっていない。

・仕上がり設定
 色の鮮やかさや輪郭の強調度合いなどを設定(選択)する機能。現在のモデルだと「ピクチャーコントロール」に相当する機能。「ソフト」で色鮮やかさが抑えられていない点や、本来は「鮮やかに」よりも鮮やかになるはずの「より鮮やかに」がコントラスト強調により青空の濃度が下がって(明度が上がるため)あまり鮮やかじゃない点などが意外だった。

標準
ソフトに
鮮やかに
より鮮やかに
ポートレート
白黒

・参考:D7100のピクチャーコントロール
 同じ被写体&条件(カメラ設定や使用レンズ)で、現行モデルのD7100で撮り比べてみた。露出レベルの違いで見え方も変わってくるけど(D80の方が明るめ)、全体的にD80の方が色鮮やかな印象。特に緑色の発色が鮮やか…というか、少々やり過ぎな色かも!?

スタンダード
ビビッド
風景

 D80の「仕上がり設定」と、D7100の「ピクチャーコントロール」の色再現の違いをもう一丁!(D7100の方はRAWデータをCapture NX-Dで現像したもの)。このケースでも、D80の方が色鮮やかな描写になっている。特に、塗装のオレンジ色の違いは圧倒的。背後の青空もD80の方が鮮やかに見える。

D80:鮮やかに(仕上がり設定)
D7100:ビビッド(ピクチャーコントロール)
D7100:風景(ピクチャーコントロール)

・ホワイトバランス
 青空を背景にした夕方の外灯を、ホワイトバランスの「オートホワイトバランス」と「晴天」で撮り比べ。この場合、青空の色鮮やかさでは「晴天」が勝るけど、暖かみを感じる「オートホワイトバランス」の方を選択するかなぁ、個人的には……。

WB:オート
WB:晴天

・ホワイトバランスの微調整
 風景写真のホワイトバランスは「晴天」がセオリー。だけど、ボクは“オートホワイトバランスで微調整”の活用もアリだと思う(外灯の比較を見ても)。

WB:オート(0)
WB:オート(+3)
WB:オート(-3)

・感度

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200(HI 1)

・RAW現像
 古めの機種だと、高感度時の画質が期待できない。……という先入観があるし、たしかにD80もISO1600くらいになると画質的にはキツい。でも、カメラ“撮って出し”のJPEG画像ではなく、RAWデータをRAW現像ソフトで現像すれば、印象も変わってくる。ここでも「Capture NX2」で現像してみたところ、ノイズに関しても細部描写に関しても、満足度はかなり高まった。

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
ISO1600(撮影時のJPEG画像)
ISO1600(RAW現像で作成したJPEG画像)

・カメラ内補正を適用
 撮影画像を拡大チェックしてみると、な〜んかシャキッとしないんだよなぁ……。古めの機種を使って撮影すると、そう感じる事がある。それって、レンズの「色収差」が原因かも!?(←商品CMのフレーズ風) ということで、ここでもRAWデータを「Capture NX2」で現像してみた。「自動倍率収差補正」と「自動ゆがみ補正」機能の活用で、シャッキリ&スッキリな描写に!!

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
撮影時のJPEG画像
RAW現像で作成したJPEG画像(自動倍率色収差補正と自動ゆがみ補正を使用)

・AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRの画角変化

広角端(18mm)
望遠端(55mm)
「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR」の最短撮影距離はズーム全域「0.28m」で、最大撮影倍率は「1/3.2倍」。極端に小さい品種でなければ、花のクローズアップ撮影もけっこう楽しめる。

・作例

ISO100 / F11 / 1/60秒 / 27mm相当
ISO100 / F11 / 1/80秒 / 27mm相当
ISO100 / F8 / 1/50秒 / 72mm相当
ISO200 / F5.6 / 1/160秒 / 82mm相当
ISO100 / F8 / 1/500秒 / 33mm相当
ISO100 / F8 / 1/400秒 / 51mm相当
ISO100 / F5.6 / 1/100秒 / 82mm相当
ISO100 / F5.6 / 1/125秒 / 27mm相当
ISO100 / F5.6 / 1/125秒 / 82mm相当
ISO100 / F8 / 1/100秒 / 27mm相当
ISO100 / F8 / 1/60秒 / 82mm相当
ISO100 / F8 / 1/100秒 / 82mm相当
ISO100 / F11 / 1/50秒 / 27mm相当
ISO100 / F11 / 1/100秒 / 27mm相当
ISO100 / F8 / 1/60秒 / 27mm相当
ISO100 / F5.6 / 1/30秒 / 27mm相当
ISO100 / F8 / 1/30秒 / 63mm相当
ISO100 / F8 / 1/40秒 / 43mm相当
ISO100 / F8 / 1/60秒 / 27mm相当
ISO400 / F8 / 1/50秒 / 82mm相当
ISO400 / F11 / 1/60秒 / 33mm相当
ISO100 / F14 / 1/4秒 / 33mm相当

吉森信哉

(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”