クルマとカメラ、車中泊

タイヤ交換のついでにブレーキ周りも掃除とメンテナンス

DIXCELのパッド・ローターで安心リフレッシュ

今回の1枚

写真はとある山梨の林道。左側が崩落しかかってるのわかります? この林道、地元の方が山の中の畑に行く時にも使われているので、生活道路とも言えるでしょう。だけどいかんせん交通量は少ないので、整備は後回しになるのは仕方ないことです。道路幅は3.5mかなあ、ここ。対向車とすれ違いたくないよねえ。

こんな時に軽自動車でよかったなあと思うわけですが、これほど深刻な状態じゃなくても、狭いし、路肩も弱いしって道路は日本国中いっぱいあるわけです。むしろ軽自動車でよかったなあと思う時間のほうが長かったりします。

そうした道路って、整備が後回しになってしまいがちだけど、そこに住む人にとっては生活を支える大切なもの。道路はインフラなので個人でできることは少ないけれど、せめて車幅が狭く、すこしでも軽い車に乗ろうかなと思うわけです。まあ、個人的な思いでしかありませんが、日常を過ごす九十九里にも海沿いから一歩入ると軽自動車同士でさえ、すれ違うのが困難な道路ってまだいっぱいあったりします。

先月トランプ大統領が日本や韓国の小型自動車を褒めたことがニュースになりましたが、思わずちょっと嬉しくなってしまいました。でも、冷静になって考えると、あれって、軽自動車みたいな小型車をアメリカで生産せよってことになるんだよね? う〜ん、こっちにも困難な道が。日本の自動車メーカーに頑張ってもらうべく、エールを送ります。

注意 :ブレーキは重要保安部品です。整備には専門知識が必要で、不適切な作業は重大な事故につながる恐れがあります。作業は自己責任で行い、不安がある場合は必ず整備工場にご相談ください。

冬支度のタイヤ交換は愛車の足回りメンテナンスの好機

みなさん、タイヤ交換はお済みですか? 今年の冬はどうなんでしょうね。雪が降る前にスタッドレスタイヤに交換しておきましょうね。でね、そのついでにブレーキ周りを掃除しませんか? 普段の洗車では手の届きにくいところなのでタイヤ交換のついでがいいチャンスだと思うのです。

でも、車載工具だけではできません。最低限ジャッキスタンドとトルクレンチ、ソケット類は用意しておきましょうね。

ジャッキアップしたらジャッキスタンドを噛ませ、リアには車止めを置く

ちなみにエブリイの締め付けトルク一覧はこちら。他の車種の情報も集まっていてありがたいサイト。

ボルト類を締め直す時はトルクレンチを使って締め付けトルクを管理してくださいね。また、くれぐれもABSの配線を切ったり外したりしないように気をつけましょうね。

以前紹介したインパクトレンチが活躍。日常的に使っているが今のところ不具合なし

フロントブレーキのスライドピンとピストン周りを徹底清掃

さて今回の主な目的はブレーキ周りの清掃ですが、フロント周りに使われているゴムブーツ類をメンテナンスしてあげたいんです。フロント周りはブレーキダストや路面の塵埃、雨、塩などで汚れが固着してて、ほっとくとブーツが切れちゃったりするんですよね。

フロント側をジャッキアップして、ジャッキスタンドを噛ませたら、リアタイヤには輪止めをしておきましょうね。そして一旦エンジンをかけてハンドルを目一杯切ってやるとキャリパー裏側が見えるようになります。

左側を整備するのでハンドルを右いっぱいに切るとキャリパー裏側が見える

まずはキャリパーを保持してるスライドピンを固定してるボルトを外します。赤矢印のところね。上下2本あるけど、まずは下の1本だけ外します。

黄色い矢印がスライドピン。これを掃除したいんです。これも2本ありますよ。

パッドの清掃や交換だけなら下の1本を外せば良い。スライドピンを清掃する場合は赤を2本とも外す。するとキャリパーが落ちるので注意

するとキャリパーを上に持ち上げることができるので、ブレーキパッドは簡単に外せます。ブレーキパッドを掃除したり交換するだけならこの状態でOKです。

キャリパーを上に上げるとパッドの交換ができる

パッドは外して掃除しましょうね。ここではペンチ使ってますけど手で外側に引っ張れば簡単に外せます。

パッドは外側にずらすだけで外れる

で、これがスライドピン。スライドピンは上下2本あるので固定ボルトは2本とも外します。キャリパーが宙ぶらりんになるので、針金などで吊るして固定しておきましょう。スライドピンは引っ張れば抜けるので丁寧に掃除してあげます。

ブレーキダストなんかが固着してますので結構しつこい汚れが固まってます。パーツクリーナーと歯ブラシで優しく丁寧にですねえ。

掃除が済んだらスライドピンとゴムブーツにシリコングリスを塗ってあげます。シリコングリスは耐熱性が高くブレーキ周り向き。そしてゴム類を侵食しないのでブーツの保護にも向いています。

スライドピンを清掃してグリスアップ。この写真はグリスつけすぎ。このあと拭き取って適量に

走行9万6,000kmのブレーキ残量測定と交換判断

いい機会なので、ブレーキパッドとブレーキローターの厚みを測ってみるとパッドは5mm、ローターは12.33mmでした。新品時に測ってないのでなんとも言えませんが、ネット情報によればパッドは10mm、ローターは12mmってことでした。ローターは測定誤差もあるでしょうけど、ほとんど減ってないってことになりますね。ほんとかなあ。ともあれうちのエブリイは走行およそ9万6,000km。このままでも、あと5万kmは使えそうです。ローターの摩耗限界は10mmなのでパッドを交換すればもう10万kmいけるかな?

パッドの実際に削れる部分がライニング。ライニングの残りを測る
エブリイではバンの場合ソリッドディスク。摩耗限度は10mmなのでまだ余裕がある

そしてもう1つ、掃除したいのがピストン周り。ここはピストンも外さないと本格的に掃除できないんだけど、面倒な作業になっちゃうので手の届くというか歯ブラシが届く範囲で丁寧に掃除してからシリコングリスでグリスアップ。

さらにフロントのサスペンション周りのパーツの錆落としと錆止め。そしてブッシュ類も掃除してシリコングリスを塗ってやります。これで掃除は完了。あとはパーツを戻せばよし。

可能な限りピストンの汚れを落としておく。汚れたままピストンを押し込むとブーツを痛めてしまう

コスパに優れたDIXCEL製でパッド・ローターを一新

以上、掃除だけならサクッと終わりですがどうせバラすなら、ローターもパッドも交換しちゃいたいのです。そこでこれ、DIXCELのパッド・ローターセット。

大変リーズナブルな価格設定なので、パッドを交換するならローターも一緒に交換してしまった方がよい

ウチのエブリイはワゴンではなく、バンなのでこうしたパーツがお安いのです。ありがたや。DIXCELは大阪に本社を置く、ブレーキパーツ専業メーカーですがレースなどに使う高性能ブレーキパーツのみならず、純正品相当のリプレイスメント向け製品も多数揃っていて、DIYメンテナンスには大変ありがたいメーカーです。純正ディーラーで取り扱うことはないでしょうけど、町の整備工場なら相談に乗ってくれるところもありますから、整備工場に依頼する場合は社外品で安くあげてねって相談してみてください。

さて、僕はDIYで進めますよ。ローターを交換するにはキャリパーを保持しているパーツ、キャリパーホルダーなんて言われたりしますがこれを外さなくてはいけません。エブリイの場合はボルト2本で止まってますが、ここは85N・mで締め付けられているので外す時にも大きな力が必要です。僕はインパクトレンチで外してしまいましたけど、ハンドツールの場合はボルトの頭を舐めないように注意しましょう。赤矢印の2本です。

キャリパーホルダーを外すには赤矢印のボルト2本を外す。強く締め付けられているのでインパクトレンチがあると楽

キャリパーホルダーを外せば、ローターを引っ張るだけで外せる構造なんですが、まあまず間違いなくサビで固着してるはずです。そこで、ボルトを捩じ込んでローターを外すようになっています。ほとんどの車で同じ仕組みになってます。エブリイの場合は8mm、ピッチ1.25のボルト2本が必要です。

盛大に錆びているんで、まずはタップでさらってネジのサビを落とします。次にボルトを捩じ込んでいきますが、2本を均等に締めていきます。数回転捩じ込むとローターが外れます。

ディスク外しのネジは1度タップで浚ってやると良い
8mmボルトを少しずつ均等に捩じ込んでゆくとローターが外れる

ところでここで使ってるボルトなんですが、僕は黒染めの六角穴付きボルトを使いました。黒染めの六角穴付きボルトは通常SCM435という鋼材が使われていて、普通のボルトよりも強度が高いのです。ローターはかなり強く固着していることがあるので、強度の高いボルトを使わないと頭だけが捩じ切れちゃうこともあるのです〜。

このページを参考にどうぞ。購入もできます。

ローターが外れればハブ周りも掃除できます。ここもそれなりに錆びてますので金ブラシでゴシゴシ錆を落としておきます。

ハブの錆落としは金ブラシで

DIXCELのパッド・ローターの厚みも測っておきましょう。ローターはおよそ12.5mm、パッドは9.3mmでした。これでまた10万kmは確実に行けますなあ。純正の減り具合からすれば15万kmいけるのかな。

DIXCEL 新品ローターの厚みはおよそ12.5mm
DIXCEL 新品パッド、ライニングの厚みはおよそ9.3mm

さて、パッド・ローターが新品になると厚みがもどるのでピストンを戻さないといけません。まあ、いろいろ代用する方法はあるんですが、専用の工具を買ってしまうのがおすすめです。安物で十分なので。

使用頻度は高くないものの、ピストン戻しはあった方が良い

新品パッド&ローターに入れ替え完了。ローター&パッドの交換て実はそんなに難しい作業じゃありません。だけど、重要保安部品ですからね、締め付けトルクはしっかり確認して慎重に作業します。とはいえ、フロント片側1時間くらいなものです。

新品のローター、パッドに交換完了。同時にフロント周り錆落とし、グリスアップを行った。

リアドラムブレーキは清掃のみで次回交換を検討

タイヤ交換はリアもやるわけですから、リアブレーキも掃除しましょうね。エブリイのリアブレーキはドラム式です。

リアはブレーキシューなどを今回は交換しません。フロントよりも寿命長いからね。あとブレーキシューって交換と調整が面倒なのよ。いずれ時間がある時か、車検のついでにプロにお願いしますぅ。

前置きはそれくらいで、ドラムブレーキにもローターと同じように取り外し用のネジ穴があります。ここにボルトを捩じ込むだけ。2本をゆっくり交互にね。

ドラムを外すのも8mmボルトで。ゆっくりと均等に捩じ込む

ドラムの中はブレーキシューが削れたダストで汚れてますけど、ドラムで囲われてる分フロントのブレーキ周りほどは汚れていません。洗車ブラシなどで擦れば十分綺麗になります。今回は掃除だけして元に戻しまーす。

ドラムブレーキの中はこのようになっている。清掃前だが、汚れはさほどひどくない

リアも計っときましょうね、まずブレーキシューから。残り3.7mm。ドラムの方は180mm。リアも新品時がわからないので、なんともですがあと5万kmくらいはいけるでしょう。ですが次にタイヤ交換する時には一緒に交換しようかな。

リアブレーキーシュー、ライニングの残りは3.7mm。一般的には2mmになったら交換検討時期、1mmでは至急交換と言われている
ドラムは内径を測る。現在180mm。使用限度は182mmなので、2mmの余裕。これも次回チェック

以上、フロントは余裕があるけど早めの交換、リアは余裕はあるものの交換見送りとしました。いずれにしても大事な部分なので、ぎりぎりまで使わずに早めに交換したいと思います。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ