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ニコン、光学ローパスフィルターレスの「D7100」

望遠に強い「対DX 1.3xクロップ」も使用可能

 株式会社ニコンイメージングジャパンは、ローパスフィルターを省略したデジタル一眼レフカメラ「D7100」を3月に発売する。1.3倍クロップやF8対応AFセンサーなど、DXフォーマットが得意とする望遠撮影が強化されているのも特徴。

 価格はオープン。店頭予想価格は、ボディのみが14万円前後、18-105 VRレンズキットが18万円前後、D7100 16-85 VRレンズキットが21万円前後、18-200 VRIIレンズキットが23万円前後の見込み。

 同社が2010年10月に発売した「D7000」の流れを汲むデジタル一眼レフカメラ。APS-Cサイズ相当の撮像素子を採用するニコンDXフォーマットの最新モデルとなる。

 D300Sの供給が終了している日本市場では、DXフォーマットにおける最上位モデルに位置づけられる。また、ニコンイメージングジャパンによると、「D7000の後継機種ではない」とのこと。D7000は併売される。

D7100 18-105 VRレンズキット(AF-S NIKKOR 18-105mm F3.5-5.6 G ED VRが付属)
D7100 16-85 VRレンズキット(AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VRが付属)
D7100 18-200 VRIIレンズキット(AF-S DX NIKKOR 18-200mm F3.5-5.6 G ED VR IIが付属)

 小型軽量ボディ、視野率約100%の光学ファインダー、SDダブルスロットなどD7000の特徴を引き継ぎつつ、撮像素子に使うCMOSセンサーの有効画素数を1,620万から2,410万に高画素化。さらに光学ローパスフィルターを廃したことで「高い鮮鋭感を実現した」としている。D800/D800Eと異なり、光学ローパスフィルター搭載モデルは用意されない。

 またD800Eのように、2枚目の光学ローパスフィルターを回転配置することで、1枚目の光学ローパスフィルターの効果を弱めるといった措置はとられていない。D7100において、光学ローパスフィルターは存在しないという。なおダストリダクションは、従来と同じタイプのものが搭載されている。

 D7100の鮮鋭感の高さを引き出すレンズの一つとして、ニコンでは16-85VRレンズキットに付属するAF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VRを挙げている。

 画像処理エンジンはEXPEED 3。D7000はEXPEED 2だった。最高感度は常用ISO6400、拡張ISO25600相当。

 もうひとつの大きな特徴は、「対DX 1.3xクロップ」での撮影が可能なこと。撮影画角がDXフォーマットから約1.3倍、望遠寄りになる。FXフォーマットから見ると約2倍のクロップとなり、遠くの被写体を引き寄せて撮影するのに有利。撮影画素数は最大約1,540万(4,800×3,200ピクセル)となる。

内側の枠線が1.3xクロップ時の画面。AFポイントは、ほぼ画面の横端までカバーする

 さらに1.3xクロップ時には、連写性能が通常時の最高約6コマ/秒から最高約7コマ/秒に高速化する。

 ちなみに、D7100のレリーズタイムラグは0.052秒。ミラーと絞りを独立駆動するタイプで、ミラーバランサーも搭載されている。最高シャッター速度は1/8,000秒。レリーズテストは15万回をクリアする。

 位相差AFセンサーには、新開発のアドバンストマルチCAM 3500DXオートフォーカスセンサーモジュールを搭載する。D300Sと同じく51点AFシステムとなり(D7000は39点)、中央15点はクロスタイプセンサーでもある。また、最中央1点はF8に対応している。開放値F4の望遠レンズと2倍テレコンバーター装着時にもAFが作動する。

 -2EVでの低輝度撮影が可能。AF初動も高速化したという。

 なお1.3xクロップ時には、撮像範囲の横幅ほとんどを51点AFが占めることになる。事実上、画面の端でも位相差AFが可能だ。

 背面モニターにも手が加えられた。ニコン初の白色画素入りタイプで、RGBW配列を採用した約122.9万ドット、3.2型液晶モニターが採用されている。D4、D800/D800E、D600と同じく、液晶パネルとガラスの一体構造をとる。

 光学ファインダーは、D7000と同じくガラスペンタプリズムを採用する視野率約100%、倍率約0.94倍(50mm F1.4レンズ使用時)、アイポイント19.5mmというスペック。基本的にはD7000と共通だが、情報表示に有機ELを採用することで、視認性を高めたという。

 その他の新機能としては、ライブビューでホワイトバランスのプリセットが可能な、スポットホワイトバランスが挙げられる。ライブビュー時にホワイトセットしたい特定の箇所をマルチセレクター(8方向コントローラー)で選ぶことで、マニュアルホワイトバランスが設定できる機能。選択範囲は小さく、「スタジアムなど、種類の異なる光が混在する状況にも有効」という。

 操作面では、INFOボタンが「i」(アイ)ボタンに名称が変更され、呼び出せるメニューも多様化した。具体的には、光学ファインダー撮影時とライブビュー撮影時で、それぞれ異なる情報表示を行なう。再生時には画像編集メニューを表示する。

 ボディの上部と背面にはマグネシウム合金を採用。D800/D800E、D300Sと同様の防塵防滴性能を有している。

 D7000と同じく、SDXC/SDHC/SDメモリーカードのダブルスロットを搭載。UHS-I規格に対応する。

 内蔵ストロボも引き続き搭載。ガイドナンバーは約12(ISO100・m)。アドバンストワイヤレスライティング対応のコマンダー機能も受け継いでいる。

 バッテリーも同じくEN-EL15を採用。新たに専用のマルチパワーバッテリーパック「MB-D15」(4万2,000円)が用意される。EN-EL15×1、または単3形電池4本を収納可能。装着しても連写性能は変わらない。

マルチパワーバッテリーパック「MB-D15」
MB-D15装着例

 動画は1,920×1,080/30p/60i対応のH.264/MPEG-4 AVC。D7100特有の機能としては、「対1.3xクロップベース」での動画記録が可能になっている。

 D7100に無線LAN機能を追加するワイヤレスモバイルアダプター「WU-1a」(5,250円)や、GPSユニット「GP-1」(2万2,050円)などに対応。D7100と同時発表のワイヤレスリモートコントローラー「WR-1」(6万9,300円)も使用できる。

WU-1a装着例
WR-1装着例
製品名D7100D7000
撮像素子APS-Cサイズ相当(23.5×15.6mm)CMOSセンサー
有効画素数2,410万1,620万
光学ローパスフィルター-
対DX 1.3xクロップ-
画像処理エンジンEXPEED 3EXPEED 2
最高シャッター速度1/8,000秒
連続撮影速度(通常時)約6コマ/秒
連続撮影速度(1.3x時)約7コマ/秒-
ファインダーペンタプリズム使用
視野率約100%
倍率約0.94倍(50mm F1.4使用時)
アイポイント19.5mm
AFポイント最大51点最大39点
F8対応センサー1点-
液晶モニター3.2型RGBW
約122.9万ドット
3型RGB
約92万ドット
記録メディアSDXC/SDHC/SDメモリーカード
バッテリーEN-EL15
撮影可能枚数約950約1,050
防塵防滴性能
約133.5mm約132mm
高さ約106.5mm約105mm
奥行き約76mm約77mm
質量約765g約780g

※質量はバッテリー、記録メディアを含む

(本誌:折本幸治)