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中判ミラーレスカメラ「FUJIFILM GFX」発表会レポート

「デジタルカメラの大政奉還」 35mm判と一眼レフからの解放を強調

既報の通り、フォトキナ2016で開発発表していた富士フイルムの中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX」が正式に発表された。ここでは、1月19日に開催された発表会の模様をお伝えする。製品の詳細については下記を参照されたい。

発表会の会場は京都の世界遺産 二条城。国内でのカメラの発表会が東京以外で行われることは珍しく、同社の並々ならぬ意気込みが感じられた。

古森CEO「デジタルカメラの歴史を変える」

冒頭は同社代表取締役会長 CEOの古森重隆氏が挨拶した。

古森重隆氏

「二条城は大政奉還が行われた場所。これによって日本は新しい歴史になった。それになぞらえて発表会の会場に二条城を選んだ。デジタルカメラの歴史が35mmの一眼レフカメラからミラーレスカメラに変わる歴史的転換点になる。後で振り返ったときに、この発表会がゲームチェンジになったと思ってもらえると確信している」

古森氏は、今回のGFXによって「35mmフルサイズ」と「一眼レフカメラ」という2つの要素からの開放を宣言。大型センサーとミラーレスシステムで「デジタルカメラの新たな歴史を作る」とした。

また、コダックを初めとする同業者が去って行った歴史に触れ、社長に就任したときに「富士フイルムは写真文化を守り、発展させる」ことを宣言した」とカメラ・写真事業に対する強いコミットメントがあったことを明言。その後、主力のカラーフィルム需要が激減する中、思い切った投資や事業構造改革を進めたという。

その後、デジタルカメラは2010年をピークに需要が激減。コンパクトデジカメがスマートフォンに取って代わられた。当時古森氏は投資家から「なぜデジカメをやめないのか?」と聞かれ、「写真文化は人間になくてはならないもの。それをカメラとプリントの両面で支えているからだ」と応えたそうだ。

その理念をもとに、コンパクトデジタルカメラを越える高画質なカメラを出さなければならないと考えて生まれたのが「Xシリーズ」。「X100は数十万台というヒット商品になったし、X-T1でフルサイズに匹敵するカメラを作ることができた。数値性能では表せない色再現性やデザインなどで高い評価を得ている」とした。

なぜ中判でミラーレスなのか?

続いて富士フイルム 光学・電子映像事業部長の飯田年久氏がGFXの説明を行った。

飯田年久氏

35mmフルサイズではなく中判のセンサーを採用した理由については、大きな画素で潤沢な光を得るためだとした。5,000万画素クラスであれば、フルサイズセンサーに比べてGFXは1画素あたり7割多い光を取り込めるという。これによってGFXでは14段のダイナミックレンジを確保し、滑らかな階調を実現したとする。

さらに、大きなセンサーは豊かなボケを得られることから、写真に立体感が生まれるとした。

イメージセンサーは独自設計で、マイクロレンズやフォトダイオードの開口部も自らに設計したという。またマウントもこのイメージセンサーに最適な集光効率となるように設計したとのことだ。

色再現性についても触れ、「富士フイルムの最大の特徴が記憶色の再現。感動を呼ぶ色再現技術がある。フィルムシミュレーションで好評を得ている撮って出しのJPEG画像は、GFXの大型センサーとの組み合わせでさらなる高みに達する」とした。

新機能のカラークロームエフェクトを使用すると高彩度の被写体でもディテールが保てるという

またミラーレスとしたことについては、まず「重さからの開放」を挙げた。従来の中判デジタルカメラより4割軽く、フルサイズの一眼レフカメラに比べても軽いと言えるほどだという。

「この鞄にGFX本体と3本のレンズが入る」と、コンパクトにまとまる点をアピールした

また、ミラーによるショックが無いのもメリットとする。5,000万画素ではミラーショックによって解像度が15%落ちるとのこと。加えて、シャッター音も静かになっている。

さらに、被写界深度の浅い中判カメラにおける高いAF精度や、短いバックフォーカスを活かしてレンズを小型化できる事もミラーレスカメラのメリットだとした。

ビューカメラに装着できるアダプターも用意する

発表では、同じく新製品の「FUJIFILM X-T20」「FUJIFILM X100F」も展示されていた。

X100F
X-T20

本誌:武石修