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富士フイルム、中判ミラーレス「GFX 50S」を2月下旬に発売

約44×33mm・5,140万画素のCMOSセンサー搭載

富士フイルム株式会社は、中判ミラーレスカメラ「FUJIFILM GFX 50S」を2月下旬に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税別80万円前後の見込み。同時に正式発表された交換レンズ3本についても本稿で触れる。

GFXは、43.8×32.9mmサイズの「FUJIFILM G Format」を採用するミラーレスカメラシステム。2016年9月のフォトキナで開発発表し、今回が正式発表となる。

高解像度の大型センサーを採用し、APS-CフォーマットのXシリーズにおける色再現をそのままに、商業写真やスタジオポートレートの用途に向けて開発したという。カメラ、レンズともに防塵防滴仕様としている。

対応するフジノンGFレンズは、新規のGマウントを採用。1億画素のセンサーを見据えた光学設計としている。マウント径は67mm、フランジバックは26.7mm。レンズ鏡筒に絞りリングを設けるが、カメラのコマンドダイヤルでも操作できるように「C」ポジションを用意している。

GFX 50Sは、同社が設計した有効5,140万画素のCMOSセンサーを搭載。位相差検出画素は持たない。感度はISO100〜12800(拡張設定でISO50/ISO25600〜102400)。カラーフィルターは一般的なBayer配列。43.8×32.9mmの撮像面積は、35mm判(36×24mm)の約1.7倍。35mm判換算時のクロップファクターは0.79倍。超音波式のセンサークリーニング機構を備える。

画像処理エンジンはX-Pro2やX-T2に搭載された「X Processor Pro」を採用。フィルムシミュレーションを静止画と30p動画の双方で使用できる。

シャッターはフォーカルプレーン式で最高1/4,000秒。電子先幕シャッターや、電子シャッターのみでの撮影も可能。物理ダイヤルを備えるが、「T」ポジションではコマンドダイヤルでも操作可能。

グリップ部に前後2つのコマンドダイヤルを備える。前ダイヤルは押し込むことで「絞り」と「感度」を交互に切り換えるといった使い方が可能。

EVFは369万ドットの有機ELで、着脱可能。別売のEVFチルトアダプター(EVF-TL1)を併用すると角度調整ができる。ファインダー倍率は35mm判換算0.85倍相当。

背面モニターは3方向チルト式で、3.2型236万ドットのタッチパネル。フリックでヒストグラム表示、タップでAFエリア選択、ダブルタップでライブビュー表示を拡大するなどの操作ができる。拡大倍率は2.5倍〜16倍(8倍が等倍表示)。

カメラ上部に備わるサブモニター(情報表示パネル)は電源OFFにしても表示が残り、カメラの状態を把握できるとしている。

画像設定の新機能に、高彩度で階調表現の難しい被写体に向けた「カラークロームエフェクト」がある。例えば赤が強い被写体の場合、色飽和を起こすと赤は鮮やかだが、他の色の情報がなくなってしまう。そこで飽和した色以外の情報を使って(=赤が飽和している場合、RGBの緑と青)階調を加えるという。グレインエフェクトと同様に画質設定のひとつで、フィルムシミュレーションと組み合わせられるのが特徴。

画像再生時には、撮影画像にボイスメモを録音可能。Exifへのコピーライトデータ記録、カメラ内RAW現像での8ビットTIFF記録も可能としている。

記録メディアはSDXC/SDHC/SDカード(UHS-I/UHS-II)に対応。

電源はNP-T125。撮影可能枚数は約400枚。

外形寸法は147.5×94.2×91.4mm。重量は約825g(バッテリー、記録メディア込み)、約920g(EVF装着時)、約740g(本体のみ)。

各種アクセサリー(別売)

縦位置バッテリーグリップ「VG-GFX1」は、レリーズボタン、ダイヤル、ファンクションボタンなどを横位置と同様に配置。バッテリー1つを装填できるほか、「AC-15V」(別売)を使用するとグリップ内のバッテリーを約2時間で充電可能。

GX645AF用マウントアダプター「H MOUNT ADAPTER G」は、銀塩中判カメラ用のSUPER EBC FUJINON HCレンズ計9本とテレコンバーター1本をGFX 50Sで使えるアダプター。MFでのマニュアル露出および絞り優先AE撮影に限定されるが、ボディ側で絞り値を設定でき、レンズシャッターも使用可能。レンズ補正データを独自に作成・保存・適用できるという。三脚座も同梱。

ビューカメラアダプター「VIEW CAMERA ADAPTER G」は、GFX 50Sをデジタルバックとして使うアクセサリー。アオリ撮影の実現を特徴とする。4×5カメラのフィルムホルダー位置に装着し、CM FUJINONなどの大判レンズを使える。シャッターはレンズ側、ボディ側ともに使用可能。

そのほか、テザー撮影用ソフト「HS-V5」やLightroom用のテザー撮影プラグインを用意。「RAW FILE CONVERTER EX2.0 powered by SILKYPIX」(無償)も提供される。アドビのPhotoshop Lightroomとともに、フィルムシミュレーションの色再現に限りなく近い画像データが作成できるとしている。

同時発表レンズは3本

カメラと同時に3本、2017年後半にはさらに3本が発表予定。

フジノンレンズGF63mm F2.8 R WR

フジノンレンズGF63mm F2.8 R WR

35mm判換算50mm相当となる標準レンズ。前群繰り出し方式で撮影距離による収差変動を抑えた。価格は税別19万5,000円。

最短撮影距離は0.5m。フィルター径は62mm。

最大径×全長は84×71mm。重量は約405g。

フジノンレンズGF32-64mm F4 R LM WR

フジノンレンズGF32-64mm F4 R LM WR

35mm判換算25-51mm相当のズームレンズ。リニアモーター駆動のインナーフォーカス方式で、高速・静音AFを実現したという。価格は税別29万9,500円。

最短撮影距離は広角側が0.5m、望遠側が0.6m。フィルター径は77mm。

最大径×全長は92.6×116mm。重量は約875g。

フジノンレンズGF120mm F4 R LM OIS WR Macro

フジノンレンズGF120mm F4 R LM OIS WR Macro

35mm判換算95mm相当の中望遠マクロレンズ。リニアモーター駆動のフローティングフォーカス方式を採用。最高5段分の手ブレ補正機構も搭載した。価格は税別34万9,500円。

最大撮影倍率は1/2倍。最短撮影距離は0.45m。フィルター径は72mm。

最大径×全長は89.2×152.5mm。重量は約980g。

本誌:鈴木誠