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4月に分社するソニーのイメージング新会社とは

αはこれまで通り注力 開発は各事業横断で

ソニー株式会社は2017年春、デジタルカメラなどのイメージング事業を分社化。「ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社」を設立し、4月1日付の営業開始を目指す。

分社化が正式発表された10月26日から約2カ月。新会社の社長に就任する石塚茂樹氏がインタビューに答えたのでお伝えしたい。石塚氏は現イメージング・プロダクツ&ソリューション事業(IP&S)担当でソニー執行役。デジタルイメージング事業を以前から掌握している。

新社長の代表取締役社長に就任するソニー執行役でイメージング・プロダクツ&ソリューション事業担当の石塚茂樹氏。

新会社に移管される事業・商品は、デジタルイメージング本部(デジタルスチルカメラ、交換レンズ、デジタルビデオカメラなど)、プロフェッショナル・ソリューション&サービス本部(放送局・シネマ用ソリューション)など、プロフェッショナル・プロダクツ本部(放送用機材、ネットワークカメラなど)、メディカルビジネスユニット(医療機器)など。これにフェリカ事業が加わる。

経営方針として掲げるのは、コンシューマー、プロフェッショナル、メディカルにおける顧客価値の最大化だ。安定収益を確立したのち、成長フェーズを目指す。

上記の事業ユニットを技術開発部門が横断的に担当。光源、レンズ、イメージセンサー、画像処理、IP伝送、ディスプレイといった技術をもとに、連携しながら開発する。これらの技術は「Light to Display」プラットフォームとして位置付けられ、入口から出口まで関与できる強みを生かす。

具体的には、現在もαマウントなどで見られるが、コンシューマー市場から(放送用などの)プロ市場へ、プロ市場からコンシューマー市場へといった、技術の横展開を進める。

放送用ソリューションにおいては、映像伝送にIPを用いるIP Liveについて強化。IP伝送にはいくつか規格が存在するが、ソニーが開発した「ネットワーク・メディア・インターフェース」により、IP対応を進めるとする。

また、これまでのソニーのイメージと異り、他社との連携も深めるという。例えば放送用機材では、認識技術を応用したホークアイ社と提携。テニス中継などでの利用が見込まれる。ネットワークカメラではカメラの開発・設計・製造をソニーIP&Sが担当し、販売とマーケティングはボッシュが行う、といった具合だ。

では、デジカメ Watch読者が気になるコンシューマーカメラ事業はどうなるのか。「いままで通り、αシステムがコア事業であるのは間違いない」と石塚氏。カメラの出荷台数が全体で減っている中ソニーは一定のシェアを維持しており、その上で石塚氏としては、それほど台数にこだわらないという。その姿勢は、引き続きRXのようなプレミアムゾーンを続けるという発言にも表れている。「一流のカメラメーカーとして認めてもらう。これはカメラ事業をやってきて変わらない目標」。

αはコンシューマーカメラという位置付けだが、現在プロの利用が進んでいるという。そうするとBtoCではなく、BtoBの話になり、今後はコンシューマーとプロシューマーの境は低くなるというのが石塚氏の論。伸び代のチャンスはプロ向け市場にあると見るが、それには自社の能力を高め、他社との連携を図る必要もあるとした。