トピック
換算180mmマクロで描く小さな世界…“SUPER MACRO WORLD”
M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 MACRO IS PRO
2023年3月17日 08:00
180mm相当(35mm判換算)の画角が得られる望遠マクロレンズがM.ZUIKO PROレンズシリーズに新たに追加された。大きな特徴となるのが、レンズ単体で4倍相当(35mm判換算)となる最大撮影倍率。その撮影倍率が見せる異次元のマクロの世界に出合うべく、風景写真家・萩原史郎氏が初春のさまざまな被写体に向き合った。(編集部)
※本企画は『デジタルカメラマガジン2023年4月号』より抜粋・再構成したものになります。
【CHECK 01】フォーカスリミットスイッチを搭載
0.25m ~∞、0.25m ~0.5m、そしてS-MACRO( 0.224m ~0.5m)の3段階に切り替えが可能。通常は「0.25m ~∞」で使えば良いが、マクロ撮影したい場合に「0.25m ~0.5m」を使い、さらに寄りたいとなれば「S-MACRO」にセットする。
【CHECK 02】マクロ撮影で有効なシフトぶれ補正を強化
5軸シンクロ手ぶれ補正による最大の補正効果は約7段。S-MACRO域での撮影においては、ファインダー内での像の安定感は低下するものの、1倍以下なら気持ち良く撮影に集中できる。マクロ領域では特に心強い性能だ。
【CHECK 03】各モードにおける撮影距離と実効F値
マクロ領域においては、撮影距離が近づくほどセンサーに当たる光の量が減るため、表のような実効F値となる。
S-MACRO域では、画質確保のため絞りを1段絞っているので、仮にF4を選んでいてもF5.6となる。
0.224m先に広がる異次元のマクロワールド
待望の望遠マクロレンズが登場したが、まず何よりも体験したかったのは撮影倍率2倍(35mm判換算4倍相当)から生まれるマクロの世界。目の当たりにしている被写体がどのような姿として表現できるのかは、このレンズを手にしたときからの最大の興味であった。
早咲きの桜にレンズを向け、フォーカスリミットスイッチをS-MACROに切り替え、倍率を2倍にセット。微動装置に取り付けたOM-1をしべに近づけていくと、どこまで寄れるんだ? という世界が広がる。被写体と極端に近いため、ごくわずかな風でもブレが生じ、構図を少しでも変更しようものならピントが外れるという難しさはあるが、その困難を乗り越えた先には次元の異なるマクロワールドが広がる。
ちなみに1倍程度までなら手ぶれ補正の効きも優れているため、手持ちでもらくらく撮影できる範囲にある。レンズのサイズも小さく軽量なのでハンドリングが良く、きびきびとした撮影が楽しめた。シャープかつボケ味が柔らかいことも、花などをはじめとするマクロの世界を堪能するのに最適な性能だ。
【POINT 01】35mm判換算4倍相当の高倍率マクロ撮影が可能
鏡筒の先端部に「2×」とあるのは、レンズ単体で2倍の撮影ができることを示しているが、35mm判に換算すると4倍(撮影範囲8.7×6.5mm)相当までの撮影が可能となる。
早速、4倍相当のマクロ領域に挑むべく、息を殺しわずかなブレも発生させないよう慎重に撮影した。シャープな描写と美しい背景のボケ味による立体感は見事というほかない。普段は見たことがない桜の真実に触れたようだ。
【POINT 02】高速高精度なAF性能でマクロ領域でも苦労いらず
レンズ単体で35mm判換算4倍相当という高倍率撮影を可能にした本レンズだが、高い倍率でも高速で精度の高いAFが可能という点も大きな魅力。おかげで被写界深度の浅くなる高い倍率領域であってもピント合わせの苦労が大きく軽減される。
窓ガラスにできた氷を撮影してみたが、このAF性能のおかげで構図作りに集中できた。細かいテクスチャを持った被写体を克明に表現するのは本レンズの真骨頂だ。
制作協力:OMデジタルソリューションズ株式会社